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既知はいずれ未知に転じて
今ここに
絶望が生まれた瞬間
私は神の存在を疑い
世界は悲鳴に満ち溢れて見えた
人は既知を恐れる
未知を切望すると同時に
既知に懇願する
そんな矛盾がこの中に
現れては消えていく儚い夢のよう
神は私の命の中に
未知は明日の前に漂い
既知は明日の中に陣取る
神は明日にはもういない
既知も未知も明日をただ待つのみ
今日にはただ
絶望だけが佇んでいる
世界が悲鳴をあげている
今日いた神々は
明日を待たずして消え去り
未知と既知がモノクロの絵のように
私の前に現れる
そんなつぎはぎの明日の前で
世界が悲鳴をあげている
誕生を喜ぶ赤子のように