仕掛け
のそのそと今ごろになって起きてきたエマと、エマの世話を頼まれたルカを置いて、レオーネ邸を出る。リベリオが運転してくれる。
「リベリオってよく運転を担当するんですか?」
「そうだな。単に車が好きってだけだけど、よく任されるよ」
まぁレオーネのメンバーを考えてみても、運転が荒そうな人とかいそうだと納得した。
「よし、そろそろ着くぜ」
「あれ、入り口って……」
パッと見建物が続いているだけで、出入口らしき扉は見付けられなかった。隣にいるラウルはもう仕組みをわかっているようだった。
「ちょうどいいじゃん、お嬢解いてごらん」
ちょうどよくない!勉強苦手なのを知っててやらせようとしてるのか、それとも知らないでやらせようとしているのか。どちらにせよ、好奇心の意地悪であることに変わりはない。ちょっとだけラウルを睨み付けて、建物の周りをぐるっと1周する。
すると、建物の窓のうち鍵がかかっていないものがあった。
「一つだけ鍵の空いてる窓がありました!」
「よし、お嬢にしては上出来じゃん?それを開けてからが実は本番だったりするんだけどっ…!」
ラウルは私が見つけた鍵の空いた窓を全開にすると、たくさんの蝙蝠が空へと羽ばたいていった。
「うわっ見逃したかも…」
「たぶん十二だな」
ちょっと二人がもう何言ってるか全然わからなくなってきた。元からこの世界のことでわからないことはたくさんあるが、こうやって周りは理解しているのに私だけ理解できてない、というものが一番私としてもやりにくい。
「さっすがリベリオ」
「煽てても何もでねぇよ。ほら、お前もせっかく診察してもらうのにぼーっとしてんなよ」
いやぼーっとせざるをえないというかなんというか…
「病院に行くだけのはずだったのにこんなに苦労するとは思いませんでした…」
「あのおばあさん慎重だからな、ちと色々めんどくさいんだ」
結局、飛び出してきた蝙蝠も朝の挨拶も、意味は分からずじまいのまま診察をしてもらうことになった。
さっき開けた窓から、ぬっと侵入する。なんだか不法侵入をしている気分だ。
ながーい廊下を進んで光の漏れでている場所へ突入する。そこには小柄なおばあちゃんがいた。
「久しぶりだな、おばあちゃん。しばらく見ない間にまた若返ったか?」
「冗談はその辺にしておきな」
何も言うことができずに端っこの方で彼らとおばちゃんものやり取りを見ていると、彼らと話していたはずなのおばあちゃんとばっちり目が合ってしまった。
目があったままずいずいとこちらへ向かってきて、少し乱暴に私の顎を掴んだ。
「あんたこの世界の者じゃないだろう」
…え?
「どんな世界はわからないが、この世界の"気"だけじゃない何かがありそうだ」
とっさに何て答えたらいいかわからず、ラウルとリベリオの方を見る。
二人が無言で頷いたのを確認してから、はっきりと伝えた。
「はい、私はこの世界の住人ではありません」
久しぶりに時間が取れたので更新できました




