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『Lume de soarta』  作者: Celi
192/194

191話『最低最悪の絶望』セリ編

香月のところに来てから1週間が経った頃(和彦は仕事溜まってるから帰りました)

カニバから最近の写真が数枚、手紙と一緒に届いた

なんやかんやいつも元気でやってるようだ

「えー?それ誰から~?」

天使に写真見たいって言われて、俺は天使と結夢ちゃんに写真を渡す

「あっ!カニバからだったんだね

なんかまた雰囲気変わった??」

カニバの写真には、自分の部屋で贅沢三昧して心配ないよアピールの他に

(逆に心配になるくらいの贅沢…帰ってきたらそんなに贅沢させてやれねぇぞ!?)

町の様子もたくさん撮ってくれてる

この国の女神である結夢ちゃんがいなくなってタキヤのせいで、あれだけ荒れてた国もカニバが来てから元に戻りつつあるな

天使は結夢ちゃんがいた頃の国を知らないから変化に驚いてる

たった1人…いや1羽のウサギが国を大きく変える

カニバには王の素質があるんじゃ?

たまたまタキヤに気に入られただけの幸運かもしれないが

まぁウサギって死ぬほど可愛いから当然の結果だよな!?

「ここって結夢ちゃんの国なんだよね?」

天使が結夢ちゃんの顔を覗き込むと、結夢ちゃんは複雑な顔をしていた

話せない結夢ちゃんの気持ちに答え合わせはできないけど、結夢ちゃんは自分の国から…タキヤから逃げてここにいる

でも、ずっといつも自分だけ逃げたコトに後ろめたさを感じてるんだと思う

逃がしたのは俺なんで、俺が結夢ちゃんを誘拐した罪人になってるんだけど(タキヤのせいで)

女神のいなくなった国は、大神官のタキヤのせいで一度は破滅するほどにめちゃくちゃになってたが

カニバが来てから、カニバの言うコトを聞くようになったタキヤを使って少しずつ国を元に戻してきた

それがもう少しで結夢ちゃんがいた頃の国に戻りそうなのだ

「懐かしい……?って顔じゃないよね…」

天使も口にしないだけで、わかってるのかも

結夢ちゃんは自分が守らなきゃ救わなきゃいけなかった国を、見捨ててしまったコトに酷く傷付いてる

カニバの存在は本当にラッキーなだけだった

タキヤを倒さなきゃ救えなかった国を、たまたまウサギは可愛いに負けたタキヤだったから

「大丈夫だよ、カニバに任せてたら結夢ちゃんの国は何も心配ない」

なんて言葉、結夢ちゃんの慰めにもならないが

結夢ちゃんが苦しんで続く国なんてなんか違うだろ

自分を犠牲にしなくていい、安全なここにいた方がいいんだ

「……破滅寸前の国が変わったなら…今のタキヤと話して、仲良くできたりしないかな?」

天使は相変わらずまっさらな意見を言う

何も知らないからそんなコトが言えるんだ

薄々感づいてるのかもしれないが、それでも天使の純粋さは世界が綺麗に見えすぎてる

「仲良く…?死んでも無理だな」

結夢ちゃんはタキヤに酷いコトをされたんだ

俺が結夢ちゃんだったら死んでも許さねぇし

…………あれ?酷いコトされて死んでも許さねぇって俺にも思ってた時期あったよな……

和彦とかフェイとかレイとか……

……まぁ!アイツらは特別……

それに、俺と結夢ちゃんとじゃ違う

俺は自分でも自分がおかしいと思ってる

「タキヤの執着は異常だし、根本の考え方は絶対に変わらねぇ奴だ

結夢ちゃんのコトもそうだし、俺に死ぬまで嫌がらせしてくるんだよ」

カニバがいなければタキヤを倒せば良いって話だが、タキヤを倒すコトは不可能だ

結夢ちゃんは守護の女神

自分の国の人達を守ってる

そして、大神官であるタキヤは1番強く加護を受けてる

不老不死で、タキヤへの攻撃は全て結夢ちゃんが受けるコトになる

タキヤと戦うってコトは結夢ちゃんに攻撃するコトと同じ

最初はその辺りどうにかならないかって考えていたが、カニバの存在で結夢ちゃんの国が元に戻りつつあるなら

それが1番の解決法じゃねぇのかなって

結夢ちゃんが心配してるのは自分の国の人達のコトだから

「それって最初から話し合いを諦めてるからじゃないの?

話してみたら変わるかもしれないよ

やってもいないのに最初っから無理ってなんでわかるの?」

あ~…イラつく……

天使は俺と同じ姿をしているが(自分に似た人が3人いるっていうあれみたいなもん)

天使の中身は9歳だ

つまりガキ、23歳の俺とは経験も知識も違う

頭ではガキだってわかっても、たまにイラつくのは

見た目が俺と同じだからなのかも

そんな甘い考えでこの世界を生きていけるかよって気持ちと、天使は俺と違って運命に守られてそうだからそんなまっさらなコトが言えんだろうなって…

「結夢ちゃんが可哀想じゃん

自分の国に帰るコトができないなんて

セリくんは結夢ちゃんの安全は考えてるけど、気持ちまで考えてないよね」

それはオマエの方だろ!?結夢ちゃんにタキヤを会わせるつもりか!?バカ言うな!!

「だから!!?」

「セリくんじゃタキヤと話せないコトくらいわかってるよ

だから、セリくんじゃなくて契約が必要なの」

天使のまっさらな笑顔の内に秘めてるものは綺麗なだけじゃない

天使は純粋で無邪気さゆえにその強さまで持っている

子供とはいえ、人間じゃない天使は…

「契約の話ならタキヤも聞いてくれるよね?」

勇者の意識を引っ込めて、俺が表に出てくる

というか、出てこさせられた…?

俺は傍観するつもりだったのに…

勇者と契約の俺の意識の切り替えは俺しかできないハズなのに…なんなんだこの強引なガキは

天使なのは姿だけかよ

「どうかな…ある意味、俺の話なんて聞かねぇぞ」

確かに、タキヤと勇者を会わせるのは無理だ

勇者が死ぬかもしれないし

俺ならある程度は話せるかもだが…

天使が思ってるほどうまくいく相手じゃねぇだろ

「大丈夫!タキヤと話に行こう」

「まぁいいか、ちょうどシンのケツ叩きに行こうと思ってたとこだし」

天使に言われると、もしかしたらって気になる

本当に話し合いで解決できるんなら結夢ちゃんも勇者も助けられてラッキーだ

一度はやってみてもいいかもな

大悪魔シンがサボりすぎて大悪魔の力が弱まってて契約の俺も迷惑だから、そのついでってコトで

「結夢ちゃんも大丈夫?」

天使が聞くと結夢ちゃんは少し弱気になったけど、すぐにそれを振り切って頷いた

意外に強いとこもあるんだな結夢ちゃんって

でもずっと不安そうな顔してる

「……無理すんなよ

俺の傍にいれば大丈夫だからなるべく離れるな」

タキヤも俺が隣にいれば結夢ちゃんに何もしないだろう

1人にさせなきゃ問題ない

不安そうな顔をしていた結夢ちゃんが俺の顔を見て微笑んだ

……可愛い…

そうして俺と天使と結夢ちゃんで、結夢ちゃんの国へタキヤと話をしに行くコトになった



「セリちゃん!いらっしゃ~い!!」

相変わらずカニバはいつ来ても全力でお迎えしてくれる

あ~フワフワのウサギカニバ可愛すぎてずっと抱っこしてたい

「俺もカニバ抱っこしたーい!」

天使が近くで騒ぐ

後でお土産の美味しいリンゴさんあげよう

「タキヤは?」

「タキヤに用があるのか?今日は出かけてるからいないぜ

明日には帰って来るって言ってたかな」

結夢ちゃん、この国に帰ってきてからずっと顔色が悪かった

タキヤに会うのが怖いのかもしれない

今日はいないってカニバの言葉に少しホッとしたような気がしたから

やっぱりタキヤと話す時に結夢ちゃんは一緒にいない方がいいのかも

「じゃあ、暇だし町の中でも散歩するか」

「僕が案内するから楽しみにしていいぜ!」

カニバは張り切って、城下町を案内してくれるコトになった

町の様子はかなり変わっていた

1番ヤバかった時と本当に同じ場所?ってくらい元の町に戻りつつあるんだなって

淀んでいた空気まで澄んできてるもんな

天使と結夢ちゃんはその辺のお花を見つけて愛でてる

あっとカニバは思い出したように話す

「前は僕みたいな子供が昼間でも1人で歩いてたら姿消してたけど、今じゃ夜道だって平気なんだぜ」

怖すぎるだろ…

カニバは小学生くらいだけど、ウサギだからなのか精神年齢はそこそこ高い

「そうそう、ここでその姿消した子供の臓器が抜かれたりとかして

それを見つけて僕がやっつけましたー!」

恐怖すぎて吐きそう

いや、俺も悪魔の契約だからそういうのは珍しい話じゃねぇんだけど…

むしろどうしたらこうまで変われるんだこの国

悪魔の仕業もあったのかもな

そして、カニバは強かった

今は神剣も持ってるしね

カニバは俺にここここ!って指差す建物は今は肉屋さんになっている

……本当に変わった…?裏で人間の肉売ったりしてね?大丈夫?

なんか「今まで食べた事のないような美味しいお肉あるよ!!」ってお店の人言ってお客さん集めてるけど…

「そもそも、結夢ちゃんがいなくなっただけで

どうして国が破滅寸前までいくんだよ

タキヤが好き放題してたってのはわかるが、だからってあんなヤバい状況になるもんか?」

「あーそれ、タキヤがわざとそうしたんだって

国がヤバくなれば心優しい女神結夢が帰ってくるだろうって」

そこまでして…ゴミクズだな

その時は悪魔に手を借りたんだろう

女神がいなくなっただけで、元々住んでた人間達が正反対に変わるなんてありえねぇ

ヤバい時期はどうだったか知らないが、この国は他より悪魔の出入りが多い

それも今は少なくなっているが、タキヤは自分の思い通りにしたいために悪魔に国を売った…

きっと結夢ちゃんは帰るだろう、でも勇者はそれがタキヤの罠だってわかってたから止めてた

さっき天使が言ったように、結夢ちゃんの安全は守れても…心まで守れてはいなかったかもしれない

でも、どうしようもなかった

「腹立って蹴り殺しそうになったよ

まっ、僕の言うコト聞くようになってタキヤもマシにはなったかも

まだまだだけどさ」

「いやそれでもスゲーって

運良くタキヤにウサギは可愛いって正義が勝っただけでも、その後のカニバがタキヤを導いたんだ

今もただ言うコト聞いてるだけかもだが、言うコト聞かないより良くなるなら聞く方がいいだろ

オマエはスゲーよカニバ」

「褒められた!?嬉しい…

でも、僕はやっぱりセリちゃんと一緒がいいよ

タキヤが改心するまで帰らないって自分が決めたコトだけど

だから早く帰れるように僕頑張ってるよ!」

本当にカニバは良い子すぎる…

ナデナデたくさんしてあげよう

頭を撫でてやるとカニバはとても幸せそうにした

「いつもオマエに無理させてって俺も勇者も思ってる…ごめんなカニバ、何もできなくて」

「心配しないで!セリちゃんは危ないからタキヤに近付いちゃダメ……僕に任せて

契約のセリちゃんだって、危ない感じがするから心配なんだぜ」

子供のカニバはわかってなくても、危なそうっていうのは動物の本能でわかるのかも

俺もそう思う、アイツは危険だ

「契約の俺のコトまで心配してくれるカニバ本当に良い子で可愛い」

もうずっとナデナデできる

しかし、カニバの力は自分が思ってるよりスゴイところだ

破滅寸前のこの国は悪魔も多く入り込んで人間の弱さに漬け込み破壊していっただろう

人が変わったのはそれも大きい

それが、今じゃ悪魔の気配は少なくなってる

むしろ結夢ちゃんが町を歩けば歩くほど悪魔は去っていく

さすが女神様、俺が悪魔だったら一緒にいたら消えてたかも

そもそも悪魔は聖地に入れないしな(神族が長期不在になると聖地じゃなくなる)

俺は悪魔自身じゃなく悪魔の『契約』だからなのか、不思議なコトにあまり影響は受けない

大悪魔シンが離れた別荘にいるのにな、今のシンの力が弱くなったのも奇跡のような偶然の重なりもあってかな

それからも俺達はカニバに案内してもらう

もっとも美しい国の1つが帰ってきたと実感する頃には、結夢ちゃんの不安な表情は消え去っていた

「結夢ちゃんの国って素晴らしいね!あっという間に1日が過ぎちゃった」

観光するところめっちゃあるし、めっちゃ楽しいわ

行きたい国で常に上位入りはさすがだな

破滅寸前の時期がウソみたいだ…現実にあったコトなのに

「やっぱタキヤ殺すか、アイツいらねぇだろ」

「賛成!!」

俺とカニバが半分冗談で笑ってると天使は真面目かって発言をする(現実的に加護のせいで殺せないしな)

「ダメだよ!ちゃんと話し合わなきゃ!」

「はいはい」

天使ちゃんの言う通りに

そんなこんなでタキヤのいない間の楽しい時間は過ぎていき、次の日を迎える



帰ってきたタキヤを俺と天使とカニバで出迎えると、顔を真っ青にして腰を抜かした

「ひ、ひいやあああああ!!!!!」

今にも逃げ出しそうな恐怖に満ちたタキヤに、みんな首を傾げていたが

あっ!と思い出したように天使が手を叩く

「あー!そうだった!あの時の鬼ごっこ、まだ終わってなかったね?デーンする?」

鬼ごっこ…?なんだ天使の奴、タキヤに遊んでもらってたのか

まぁ…タキヤの様子からして遊びの鬼ごっこじゃなさそうだけど…

天使が恐ろしい鬼のようにでも見えてるのか、捕まったらどんな恐ろしいコトになるのかって顔してる

「やめてやれ、デーンしたら心臓止まりそうだぞ」

「でもこれじゃお話できないよ?」

「いいよ、俺が話すから」

大丈夫?って顔を天使はするが、きっと誰が話しても結果は同じだろう

タキヤはそんなに簡単な相手じゃない

カニバの言うコトを全て聞いてるワケじゃないのは知ってるから、きっと無駄かもしれないが

天使にわからせるためにもやってやる

俺とカニバはタキヤと一緒に客室に移動する

天使がいなくなったコトでタキヤはいつも通りの調子に戻った

「この前は和彦様と一緒でしたが、今日は私に会いに来てくださったとの事でしょうか契約様!」

俺とカニバがソファに座って、何も言ってないのにタキヤは目の前で地べたに正座する

自然と見下ろすような形になって、それをなぜかタキヤは喜んでる

「いや、会いに来たんじゃなくて話をしにきた」

「契約様から私めにお話が!?」

なんかドキドキワクワクしてる感じが目に見えて嫌だな~…って不快な目線を送るとさらにタキヤは喜ぶだけだった

「長話するつもりないから、2つだけ

結夢ちゃんに近付くな、それと勇者を狙い続けるのをやめろ

それだけだ」

俺の話を聞いたタキヤはさっきの表情からは一変して、悪魔よりおぞましい感情をさらけ出す

「それは聞けません」

だからって、俺が怯むコトはない

大悪魔の契約が、悪魔レベルの人間に何を恐れるコトがある

「俺の言うコトが聞けないって?」

「それ以外の事でしたら、契約様の言う事なら聞きましょう」

やっぱりな…話し合いなんて無理なんだ

カニバも小声で「僕もずっとそれは言ってるけど聞いてくれたコトないよ」って

だろうな、コイツの闇は深い…

「それ以外のコトはねぇよ」

俺はソファから立ち上がってタキヤの前に立ち見下ろす

「オマエ、ずっと俺に踏まれたかったんだっけ?

さっきの2つ聞けたら、満足するまで踏んでやるけどどうする?」

って、こんな駆け引きに食い尽くほどコイツの闇は浅くな……

「嘘じゃないですよね!?いいんですか!?約束しますよ!?」

浅いどころじゃなくて一切闇がないってコト!?

「こ、この…おみ足で…私めを……はぁはぁはぁ」

タキヤは俺の足元に触れないギリギリまで近付き荒い息が足にかかる

き……きしょ~~~……気持ち悪すぎる……

「カニバ…すまねぇが、席外してくれねぇか?」

こんなの子供のカニバに見せられねぇ

カニバはなんで?って首を傾げるけど、いいから外で遊んで来いって俺が言うと素直に部屋を出て行った

「靴と靴下は脱いでください!!」

何そのこだわり?フェイも足フェチだけど、ここまでキモくないよなぁ…

でも、タキヤを踏みつけるだけで2つの問題が解決するならラッキーな方だよな…

俺がちょっと我慢すればいいだけなんだし……

言われた通りに俺は靴と靴下を脱ぐ

「貰っていいですか?」

まだいいって言ってないのに、タキヤは俺の脱いだ靴下を素早く掴むとそのまま食べた

「う…うわぁ……」

ドン引きしすぎて、涙が溢れる

靴下って食べれるのか…コイツ本当に人間か!?大悪魔の契約も恐れるほどの化け物じゃねぇのか

俺は大きな間違いをしてしまったのかもしれない

子供の天使とカニバ、そして女の子の結夢ちゃんだけじゃダメだったんだ

香月を連れて来るべきだった!!!

香月がいればこの場で俺が1人になるコトはなかったし、勇者の身体だから守ってもらえたと思う!!

なんで俺は大人の男を連れて来なかったんだよ!?いや俺も大人の男だけど!?なんか俺は違うっていうか

苦手だがキルラでもよかったぁ…

「泣いてるんですかぁ?契約様にも可愛いところがあるんですねぇ

契約様の脱ぎたての靴下…花のような甘い香りがしますーはぁすーはぁ」

もう片方の靴下の匂いを嗅ぎながらこっち見るタキヤの顔は恐怖以外の何物でもない

「約束でしたよねぇ?私が満足するまで蹴ってくださると、そうすれば契約様の言った2つは守りますよ

私は大神官ですから約束は破りません」

俺が…我慢すれば……結夢ちゃんを助けられるし、勇者の命を狙われるコトもなくなる

大丈夫……俺ならできる

「約束…絶対守れよなッ!!」

俺はタキヤの顔面を踏みつけた

裸足で人の顔面なんか踏みつけたコトないから、足裏に感じるこの妙な感覚がとてつもなく気持ち悪く感じた

「もっと!もっと強くお願いします!!」

タキヤに言われてさらに力を入れるが、コイツ…何回踏みつけてもまったく満足する気配がない

もっともっとと欲望が増すばかりで…

「もう…疲れた……」

「まだです!!」

ふ…ふざけんな……この変態野郎…

それでも俺は約束のために、足を上げるがもう限界が来て足が震えてる

そんな俺の足をタキヤは掴んで、足裏をベロッと舐められた

生暖かくヌルッとした感覚に一瞬で身体が冷えるくらいゾッとした

「ぃっ…嫌…!もうヤダ…!!気持ち悪い!!」

助けてレイ…もうこんなのヤダぁ……

タキヤの顔を蹴り飛ばして、俺は逃げ出した

でも、タキヤに舐められた足が地面を滑って不運にもテーブルの角に頭を思いっきりぶつけてしまった

ま…ずい……!?意識が…切れる……最悪だ…

今、勇者に意識が変わるとタキヤと対面するコトになる

俺の意識も暫くなくなるから…助けられ……ない

ふっと消える契約の意識と入れ替わりで、俺の意識が戻る

「いたた…」

頭に激痛が走り、頭を手で押さえる

「け…契約様……?大丈夫ですか…?」

聞いたコトのある声に振り向くと、目の前にはタキヤがいる

な、どういう状況なんだ!?

急に意識が入れ替わるのにも慣れて、一瞬で状況を理解するコトにも長けた

俺の意識が契約に変わる前は天使と話してた

あれからタキヤと話をしに行ったんだろうとは察せる

そして、タキヤは契約とは話ができるからのこの2人っきりの状況なんだろうが

とにかく俺が契約じゃないってコトに気付かれたらダメだ

頭痛いし血も出てるが、とりあえず回復はしない

契約は回復魔法が使えないから、使ったら一発でバレる

「頭を冷やす氷をお持ちします!」

あわあわとタキヤは急いで部屋を出て行った

すぐに戻ってくるから、一旦状況を整理しよう

ってか、回復魔法使わないって辛ぇ……痛すぎて転げ回りたいくらいだ

とりあえず、タキヤと2人で客室ってコトは話し合いの途中だったんだろう

で、なんで俺は裸足なんだ?靴はその辺に転がってるけど、靴下が見当たらないな…

後…なんか片足の裏がヌメヌメしてるんだけど

なんか変なもんでも踏んだか?

頭も打つような状況ってどんなんだよ

まぁいいや、とにかく話し合いの途中ならタキヤに合わせてどんな話してたかさりげなくまとめてもらおう

「お待たせしました!」

タキヤが戻ってきて俺に氷とタオルを渡してくれる

俺はそれを打った頭に当てながら聞く

「…で、どこまで話してたっけ?」

「頭を打ってお忘れに?痛そうですからねぇ…

契約様が女神結夢様に近付くな、勇者を狙い続けるのをやめろとおっしゃいました

その代わり、私が満足するまで踏み続けるといったお約束でしたね」

………おっ…思ってたんと違う……

契約の話はわかるが、タキヤの交換条件ってそんなコトでいいの!?

いや、そんなコトってレベルじゃねぇな

契約はきっと途中でそれに耐えられなくなった

だからもう無理って逃げ出して、足を滑らせてテーブルの角に頭を打ちつけて意識が途切れたってところか?

タキヤは絶対に満足できない

最初から約束にもならない話だ

「そうそう…思い出した……

満足するまでオマエを蹴るって話」

頭を冷やしてた氷をテーブルに置いて、俺はタキヤの腹を蹴り飛ばす

そのまま尻餅つくタキヤの頭に足を乗せた

「頭高すぎなんだよ、地面から浮かせんな」

「いい……さっきまでより…いいですねぇ…」

契約じゃ最初から無理、最初からそんな経験のない契約にできるワケねぇんだ

何発かタキヤの顔を踏みつけると、タキヤは俺の足を掴んで舐めはじめた

「最高のおみ足で」

ゾッとする気持ち悪さ…こりゃ契約が逃げ出すのも無理はない

タキヤは俺の足の親指にしゃぶりつこうとしたからそのままタキヤの口の中を蹴った

「舐めていいなんて話はしてねぇだろ、この俺の足をオマエみたいな奴が好き勝手できると思うなよカス」

「失礼いたしました…」

「まぁ…特別に許してやってもいいぜ」

俺の言葉にタキヤは飢えた獣のように俺の足に執着する

好きなだけ舐めさせて、たまに踏みにじるとさらに喜ぶ

きっ…しょ~……本当、最低……

もうこういうのもやりたくないんだけどな…

身体売らされてた時の昔のコト思い出すから……色んなコトさせられたっけ……

あー吐きそう…死にてぇ……

「大満足ですねぇ…」

ならよかった

タキヤのこれ以上にない満たされた表情に俺は無でしかない

とりあえず、気持ち悪いから洗面所で足洗おうっと

ってか、本当に靴下どこやったんだよ

……まさか食ったとか…?口の中に入れる客はいても、さすがに食う奴はいなかったぞ!?

食べたいって言うだけで、実際食べる奴ははじめてだ

まぁいいや、靴下買いに行けば

足を綺麗に洗って靴をはく

靴下なしで靴はくの苦手かも…なんか落ち着かねぇなぁ

「これで約束は守ってくれるんだよな」

満足の余韻が冷めず地面に大の字で寝てるタキヤを見下ろす

「約束?何の話ですかねぇ」

起き上がるタキヤは嫌な笑みを浮かべる

「はっ!?まさか破る気じゃねぇだろうな!?」

「私は契約様とは約束しましたが、勇者の小僧の貴方とは約束していませんよ?」

気付かれていたのか!?いや、俺は契約だと押し切る

「ふざけんな!俺は契約だぞ!?約束は守っ…」

腹に熱いものを感じる

タキヤは俺の腹を隠し持っていたナイフで刺した

ナイフが抜かれると、血が止めどなく流れ落ちて膝から崩れ落ちる

「早く回復魔法を使わないとそのまま出血多量で死んでしまいますよぉ?」

コイツ……わかってる

タキヤからしたら俺でも契約でもどっちでもいいんだ

俺だったらそのまま回復するし、契約だったら回復魔法が使えないから致命傷を回復するために俺に交代する

その瞬間に約束は無効だと言い切る

どっちにしろ俺を表に出すつもりだったんだ

「卑怯なのは相変わらずかよ…ゴミ野郎」

俺は回復魔法で頭と腹の怪我を治す

「小僧…お久しぶりですねぇ……

約束のために頑張って無駄だとわかって死にたくなりましたぁ?」

「カスが、あの程度で死ぬならとっくの昔に死んでるっての」

契約なら耐えられないだろうけど、俺はもうとっくの昔に底辺まで落ちてんだよ

タキヤは再び俺にナイフを向けて襲いかかってくる

勇者の剣でタキヤのナイフを弾いたが…

「できませんよねぇ…?」

わざとだ…俺がタキヤを斬れないってわかってて

タキヤの傷は全て結夢ちゃんが受ける

タキヤは俺を壁まで追い詰めると、勇者の剣を持つ右手首にナイフを突き刺した

右手から勇者の剣が落ちる

ナイフが刺さったままじゃ回復はできない

「もう一度底辺に突き落として差し上げますよ

貴方が絶望して自ら死ねるお手伝いをします」

「オマエが死ね…」

「小僧の味方は誰もいない場所で、いつまでその余裕を保てますかねぇ…」

タキヤの不敵な笑みを最後に俺の瞼が重くなる

急激に…眠気が……意識が遠のく



気が付くと知らない場所にいる

変わった部屋だな…ドアはあるが窓がない

当然ドアには鍵がかかってるし、勇者の剣も落としたままでここにはない

「くそ…タキヤの奴、覚えてろよ」

って言って腹立つだけで現実アイツを倒せないコトにどうしようもない

タキヤは俺を絶望に落とすって言ってた…

きっとこの部屋は…考えたくもないが、そういうコトなんだろう

いつか誰かがここを見つけて助けてくれるとは信じてるが、タキヤがそう簡単に見つけられるような場所にしてるとは思えない

とにかく時間がかかりそうだ…助けが来るまで俺が耐えられるかどうか……

絶望を知っているとは言っても…あんなものは慣れるワケじゃねぇ

何度だって嫌に決まってる…二度と…経験したくない

でも、ここで俺が死ぬってコトはタキヤの勝ちでそれも死ぬほど腹が立つ

大丈夫…俺なら耐えられる……そうして23年生きてきたんだから……

「なんで我慢して耐えるって発想しか出てこねぇかな、俺の勇者様は」

勇者の意識を引っ込めて、契約の俺が表に出る

ふざけんじゃねぇぞ!!!あのタキヤの野郎!!帰ったらぶっ殺してやる!!!(って気持ちだけ)

勇者の剣もない力もない勇者に任せてたら地獄見るぜ

悪魔を従わせるコトができる俺に任せなって

ここがどこかってハッキリとはわからないが悪魔の数が多い

それだけ良くない場所ってコトだが

それが逆に俺のピンチを救うんだぜ!!

「あっちょっとそこのオマエ」

壁も関係ない悪魔が通り過ぎようとこの部屋に入ってきたところで声をかける

「こんにちは~」

だけでスルーされた

「ちょっと待てや!!俺に声かけられてそのままスルーって失礼だろうが!!」

「あんた、あのよぼよぼでほとんど力のないシンさんの契約でしょ~

いつまで貴族ぶってるの?没落しかけのくせに

悪魔は自分より強い者には従っても、弱い奴には従わないよ~さよ~なら~」

スーッと壁に消えていった…

あ……はっ?……大悪魔シンの契約のこの俺が、あんな低級悪魔に……ナメられるなんて……

なんたる屈辱……

大悪魔は貴族、悪魔は庶民みたいな感覚がある

俺は大悪魔の契約というプライドだけ高くて、オマエらとは違うって調子乗っていた

この俺が…没落?ふざけんな…俺は大悪魔の契約だぞ…言うコト聞けよ

いや、あんな低級悪魔どうでもいいや

とにかく俺は近くにいる悪魔に片っ端から声をかけた

だけど…誰も俺の話を聞いてくれるコトはなかった

「そん…な……」

ちょっと前まではまだ何人かは言うコト聞いてくれてた…

でも、もう…どんな悪魔も聞かないくらいシンは弱くなったんだ……

クソ……ふざけんな…なんでこの状況でなんだよ!?

俺の武器が……何もない…

どうしよう…どうしたら……ここから出られる…?助かる…??

大丈夫……レイが絶対助けに来てくれる…大丈夫…大丈夫……絶対来るもん…信じてるもん……

震えが止まらない……心ではそう言っても、頭ではわかってる

これから自分の身に何が起きるかなんて……

「お客さんだよ」

ドアが開くと俺の3倍近くある大男が入ってくる

逃げられるのはあのドアだけ…手を伸ばしてドアに走るけど、すぐに大男に掴まれる

「はじめは皆、君みたいに怯えるけど」

大男は俺と同じ目線に屈むと優しい笑顔を見せる

何…もしかして良い奴…?なんて一瞬でも勘違いした俺が甘かった

「すぐに慣れるさ、壊れなかったらね…」

「えっ…」

タキヤは言ってた

絶望に落とすと…それも最低最悪の死にたくなる場所に……

嫌……絶対に嫌だ…なんで俺がこんな目に…

勇者に代わろう…こういうコト慣れてるんだし…

俺が引っ込んでも勇者が経験するコトは俺にも通じるけど、直接じゃないだけマシだ

………また…俺は逃げるつもりか?

タキヤから逃げたのは俺だ

俺が逃げなきゃ、結夢ちゃんも守れたし、勇者の命も狙われるコトもなく、こんな場所に連れて来られるコトもなかった

天使も俺が行方不明になって、自分が話し合いなんて言わなきゃよかったって後悔して泣いてるかも

違うよ…俺がうまくやれなかっただけなんだ…

俺が表に出てる間は勇者の意識は眠ってる

俺に何かあっても勇者は知らないままでいられる…

勇者に代わるのはダメだ…今の勇者は不安定だから死なれたらレイが悲しむ……

俺が…俺が……耐えなきゃ…

「1人目で壊れるなんてつまらない事はやめてくれ」

大男の掴む手に力が入って腕が痛い

怖くて声が出ない…

レイ…早く助けに来てね……信じて待ってるから……

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