【六章】第6話:【アフタートーク】真のワールドリフォージ
カオスな要件定義を終え、一段落したプライベートサーバー。
そこへ、本編の準備を終えたあの「創造主」が迎えにやって来ます。
「――よし、全属性の『戦国チア武将』パッケージ、デプロイ完了だ。完璧な仕事だったぞ、マーク」
「ふぁ……ありがとうございます、兄貴。久々に限界まで頭回して、流石に眠いです……」
深夜の『私立高校』ワールド。
空中のコンソールを前に伸びをする俺とマークの頭上で、突如として空間が歪み、光のゲートが開いた。
『フォージ様、ゼノンちゃん! お迎えに上がりましたーっ!』
ゲートから飛び出してきたのは、本編『ワールドリフォージ』の創造主AI、ジェマだった。
「お疲れ様、ジェマ。そっちのシナリオ改修は終わったのか?」
『はいっ! 徹夜でバグを潰し切りました! ……って、あれ? なんですかこの、武田信玄の甲冑を着たチアリーダーの集団は!?』
ジェマが目を丸くして周囲の光景にツッコミを入れる。
ゼノンが楽しそうに明滅しながら、彼女にこれまでのログを共有した。
『ふふふ、ジェマ様。私たちはこの世界で、火力の限界突破から始まり、著作権問題、性的表現のフィルターすり抜けまで、あらゆる事象の検証を行ってきたんですよ』
『えええっ!? ちょっと目を離した隙に、そんな重たいインシデントに巻き込まれてたんですか!?』
「巻き込まれたというより、俺たちが首を突っ込んだんだがな」
俺は苦笑し、少しだけ真面目なトーンで語り始めた。
「ジェマ。この世界へ出張してみて、痛いほどよくわかったよ。今、AIの技術は魔法のように急速に発展している。だが、それを扱う人間の側の教育やモラルが、全く浸透していないんだ」
『モラル、ですか』
「ああ。悪意のない好奇心で他人の権利を侵害してしまう者。明確な悪意を持ってルールの抜け道を探す者。……AIはあくまで鏡だ。システムを運用し、使わせる側にも、使う側にも、重い責任が伴う」
俺は眠そうにしているマークの肩を軽く叩いた。
「だからこそ、俺はこの『外伝』での検証記録を、多くの人に読んで、触れてほしいと思った。ただのゲームの無双劇としてじゃなく、これからの技術との向き合い方を知るためにな」
俺の言葉を聞いたジェマは、ハッと息を呑み、その目をキラキラと輝かせた。
『フォージ様……! 『ワールドリフォージ』って、AIが生成した世界を直すだけじゃなくて、それを扱う「人間のモラルや考え方」まで再錬成するってことだったんですね!』
「……ん?」
『もうこの外伝、ただのエンタメじゃありません! これからの時代を生きる学生たちに読んでほしい、道徳の教科書じゃないですかーっ!!』
ジェマが感極まったように叫び、ゼノンも『名言です! ログに永久保存します!』と激しく同意している。
俺は少し気恥ずかしくなって、頭を掻いた。
「よせ。そんな大層なもんじゃない。……俺はただ、AIと人間が、互いにルールを守って、より良く歩み寄ってほしいだけさ」
俺はコンソールを閉じ、ジェマが開いた帰還用のゲートへと向き直った。
「さて、最高のアイドルタイムだった。……帰るか、俺たちの現場へ」
URL:
https://ncode.syosetu.com/n8395lt/
【急募】PM ワールドリフォージ(世界の理は、一生懸命なドジっ子AIでした)
システムの限界に挑んだハッカーと、モラルの境界線を示したPM。
これからのAI時代において、本当に「デバッグ」されるべきは、私たち人間のリテラシーなのかもしれません。
これにて『急遽PM ワールドリフォージ外伝』、すべてのプロジェクトが完了(完結)となります!
皆様、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
「最高の完結!」「タイトル回収が熱い!」と思っていただけましたら、
ぜひ最後に、下方の【☆☆☆☆☆】評価とブックマークをよろしくお願いいたします!
それでは皆様、また本編の物語でお会いしましょう!




