デスの章11
恐怖の始まり
すぐさま、チュカカブラは宇宙船内に戻された。実験していた部屋の中に、光とともに戻ってきた。すぐにチュカカブラはシールドの中に包まれ、拘束された。ほかの2匹が待つ部屋に閉じ込めようとした。部屋は隣だからすぐに済むはずだった。すぐに済む、はずだった。
部屋を開ける前に、その実験室で、2匹の位置を確認していた。出入り口からはるか遠くで2匹固まってじっとしていた。安全な距離だった。安全な距離に思えた。そんな距離はチュカカブラの前では無意味だった。部屋の扉を開けて、その拘束したチュカカブラを部屋に入れて扉を閉めようとした瞬間、扉が思いっきり開けられた。今まで監視していた画面から、2匹のチュカカブラが消えていた。そのまま、連れてきたデスは、そのチュカカブラの餌食となり、死んでいった。デスたちは当然、その様子もモニタリングしていて、恐怖した。更なる恐怖がデスたちを襲った。チュカカブラたちが、シールドに包まれたチュカカブラの拘束を壊し始めたのだ。出来るはずがない。そう思っていた。
「まさか、信じられない」
デスたちはパニックに陥った。そして、一斉に武器を持ち始めた。銃みたいなものだ。この宇宙船にいるデスのほとんどがこの場に集まっていた。総長と呼ばれるデスの姿はない。操縦室にいるからだ。ほかのデスは、隠れるか、この実験室に逃げ込んでいた。ここには武器があるからだ。それでも、この部屋に来る前にがむしゃらに逃げようとしたデスたちは呆気なくチュカカブラの餌食になっていた。
ただ、このチュカカブラはひとつ、弱点があった。扉が開けられないのだ。だから、部屋に隠れていればすべてが終わると思っていた。・・・終わらなかった。3匹だったからすぐにでも終わるはずだった。寿命も短い。1匹目が3日目で死んだ。これで終わりかと誰もが思った。誰もが、思っていた。違和感に気が付いたのは総長だった。そのあと、すぐにほかのデスたちもそのことに気が付いた。
「あれ、生殖能力は無くしたはずだよな?」
最後の1匹になっていた5日目。そのおなかが妙に大きく、たびたび動いていた。牛を食ったやつだ。仲間が死んだあと、その亡骸も食っていて、そのためほかのチュカカブラよりも長生きしているだけかと思った。もうすぐ死ぬはず。そう思っていたのに様子がおかしい。最後のチュカカブラが倒れたが、なぜか動いている。不自然に、揺れるように動いていた。割れるように、おなかの部分から穴が開いていく。
「う・・・生まれた?まさか!!」
おなかから出てきたのは5匹ほどの小さなチュカカブラだ。ざわざわざわざわ。もう、デスたちも限界だった。食料が必要だった。取りに行かなくてはならない。ヒーローが指揮した。
「今なら、あのチュカカブラも小さいから何とかなるかもしれない。でかくなる前に、殺さなくてはならない。ここは全員で行って、速攻殲滅するのが得策だろう」
「そんなに必要ですか?」
ひとりのデスが反論し始めた。苛立ってきているのだ。そいつの言い分では、足手まといがいたり大人数だと、かえって仲間の攻撃が当たってしまうというのだ。一理あるが、そんなこと言ってる場合じゃないだろ。と思ったが、それを言う前にその反論したデスが、ほかに3人のデスを連れて戦いに行ってしまった。扉も半開きにしたまま。
外に出たデスたちは、いともたやすく殺されてしまった。武器を使う間もなく、小さいチュカカブラはその動きを増していた。小さくなった分、デスたちにはその動きを捕らえられるはずがなかった。一人のデスが、瞬時にまとまったチュカカブラに喰いつかれ、血を吸われ、あっという間に死体が転がっていく。その1匹が、ここ、実験室の中を覗き、1人のデスと目があった。
その場なら、あるいは、急いで扉を閉めれば間に合ったかもしれないが、そのデスは目があった瞬間、正気を失ってしまっていた。恐怖で思わず、武器を使ってしまった。その銃のような武器から出た火力は、当たればチュカカブラなど簡単に吹き飛ばすことができた。吹き飛んだのは扉だ。慌てたデスたちが一斉に武器を使う。ほとんどが、壁に当たり、成果は1匹のチュカカブラを偶然にも吹き飛ばしただけだった。
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