外伝 天罪武具
改稿済みです。
報告12/10
この次の話で一回改稿ペースダウン予定です。
これは、カインが街への帰り道でミミックから聞かされる話……。
そして、この世界が生まれた、遥か昔の話。
あるところに、相手を殺すことに特化した力と、万物を殺す魔槍を持っていた男がいた。
その男の強さは異常で、神々に匹敵する程だった。
生まれも上流階級の貴族で、金も権力も名誉もあり、なに不自由なく幸せに暮らしていた。
しかし、青天の霹靂は訪れる。
その男は強くなり過ぎた。
そして、見境なく魔物、天使、神を滅ぼしてしまった。
神々は神罰と称し、その男の国を灰燼に帰させた。
無論、男は生き残った。
言わずもがな、男の家族も、友人も、恋人も、国王も、見ず知らずの他人も、全てが死んだ。
力あるその男しか生きながらえることができなかった。
その男は嘆いた。
己の愚かさを、無力さを。
その悲哀の感情は憎しみの感情へと変わる。
その後はひたすらに魔物を狩り、力をつけていった。
その男は誓った。
神々は何も罪のない人々を殺した。
神なんて殺す、殺してやる。
自分は自然の摂理に則り、人々の脅威となるものを殺しただけなのに。
無罪ののその男が狩ったのは厄災と呼ばれし魔物、堕天使、魔神といった悪の存在だった。
それなのに、神は神罰を課した。
神々はその男が反逆するのが怖かった。
自分たちすら滅ぼせるのだから。
神だろうが死は怖い。
そんな中、男は運命の出会いを果たす。
一人は無限に強くなる可能性を持ち、殺した存在から全てを奪う剣を持っていた。
一人は万物を、自身すらも虚無へと化す力を持ち、、全てを無へと還元する盾を持っていた。
その二人の力も強力すぎるものだったため、神々は二人にも神罰を課した。
結果はその男同様に、無罪の人々のみを殺したに過ぎなかった。
三人はお互いの境遇を理解し合い、手を取り合うことにした。
三人は協力し、強力な魔物を殺して回り、力を高めあった。
そして、時は来た。
一人は神の力を奪い、その力にて神界への道を築いた。
三人は神への宣戦布告をした。
それに呼応し、神々が武器を手に三人に向かった。
そして、正面から激突する。
一人は神々の攻撃を全て無へと帰させた。
そこに上位神が参戦する。
圧倒的な力による、三人は劣勢を強いられる。
一人は自身の権能にて神の魂を滅ぼした。
その力により上位神ですら苦戦を余儀なくされる。
三人が持つ力は千差万別だが、共通点があった。
一人の持つ力はゴットスキル:【魂戮之神】。
一人の持つ力はゴットスキル:【渇喰之神】。
一人の持つ力はゴットスキル:【殺奪之神】。
それらは全て天罪と呼ばれるものであった。
絶望という人々の感情の成れの果てから生み出されし負の権化。
それが天罪だ。
そして、三人の武器は神界での争いを通し、進化した。
一人の武器の力はゴットスキル:【神殺之神】。
一人の武器の力はゴットスキル:【虚無之神】。
一人の武器の力はゴットスキル:【擬態之神】。
のちに、天罪の影響を受け、生まれた最凶の武具として、それらは天罪武具と呼ばれるようになる。
天罪武具の恩恵により、神々との戦争は優勢へと変わりつつあった。
……創造神と破壊神が顕著するまでは。
彼らは上位神ではあるが、最高神に準ずる権能を持っている。
それゆえ、他の神々とは比較にならないほどに強かった。
三人は二体の神により瞬殺された。
しかし、三人は気付くと地上にいた。
はて、先程まで何をしていたのか。
そうだ、夕食を食べに行こうとしていたんだ。
三人は肩を並べて平和な街の中を歩いていく。
昔の悲劇なんか忘れて。
◇◇◇
彼らは冒険者として、国を転々とし、強き魔物を狩って回っていた。
ある日、休暇ができ、その男は祖国へと帰ることにした。
そこには何も無かった。
全て滅ぼされたのだ。
神によって。
その男は2人の下に戻り、その旨を伝えた。
しかし、二人は各々の身に起きた悲劇を思い出すことはできなかった。
段々と、その男と二人の距離は離れていった。
その男は一人で神界に乗り込んだ。
そうして神々の殺戮を始める。
しかし、また破壊神が来た。
破壊神とその男の力の差は絶望的だった。
絶望を力へと変える。
男はひたすらに槍を振るった。
固有スキル:【願望実現】、ユニークスキル:【絶望者】を獲得した。
ユニークスキルではゴットスキルには遠く及ばない。
しかし、破壊神は破壊を司る神。
二つのスキルは絶望から願いを実現する、創造の力。
両者は拮抗していた。
破壊神は破壊しか出来ない、しかし、男は殺すことが本来の力だ。
男はついに破壊神を殺した。
そして、スキルを獲得する。
それは破壊神の権能と、男の権能の合わさった最強にして最凶のスキル。
その名は、ゴットスキル:【黄昏之神王】。
最強とされていた【終焉之神】や【生誕之神】すらも軽く凌駕する力。
それの持つ権能は終焉と滅亡。
すなわち、事象そのものを無かったことにする力だ。
終わることなき滅び、それがこのスキルの本質だ。
そして、破壊神の仕返しとばかりに創造神が降臨し、その男に剣を向ける。
両者の破壊と創造の権能がぶつかり合う。
その男の力が勝つはずだった。
しかし、創造神は倒れない。
そう、持っていたのだ。
ゴットスキル:【黎明之神王】を。
その権能は生誕と興隆。
すなわち、事象を生み出し、活性化させる力だ。
始まり続ける生命、それがこのスキルの本質だ。
両者のスキルに差異はない。
しかし、男は疲労困憊している。
さらには、人の身だ。
その力には限界がある。
対して相手は神。
存在自体が格上で、滅多なことでは滅びない。
だが、男は諦めない。
無実の人々を殺した神々を絶対に殺す。
絶望を活力に、渾身の槍を振るう。
その一撃に獲得したばかりの権能を使い果たさんとばかりに力を注ぎ込んだ。
創造神もそれを向かい撃たんと剣に全霊の力を注ぐ。
結果、男は創造神を滅ぼした。
また、創造神は男を滅ぼした。
しかし、相手の持つ権能は生誕。
滅びからも蘇った。
しかし、男の持つ権能は終焉。
滅びとは無縁の存在。
創造神はまだ余力を残している。
しかし、男は満身創痍、力が微塵も残っていない。
創造神とて終焉の力を持つ男を滅ぼせない。
そのため、男を槍と同化させ、封印した。
そして、それを地上に結びつけ、二度と神界に渡れぬようにした。
おまけに、男の罪として世界を一度滅ぼした。
生命の死が訪れるほど、それを補わんと創造の権能は力を得る。
それを得るために創造神は地上に生けしモノを全て滅ぼしたのだ。
否、天罪の力を持ち、神々にも劣らぬ二人はその滅びに抵抗した。
弱っている創造神では彼らを殺すことはできなかった。
それでも、二人と一つを除いて地上に生命はいない。
そして、創造神は神々を蘇らせる。
世界の法則は無数の神々の死によって一度不安定になった。
創造神のおかげでそれは元通りになる。
また、創造神は世界を復元した。
否、新たに世界を創造し直したのだ。
国も、霊子も、量子も、生命も、全てが作り変えられた新たな世界。
これからその生命たちが国を興したり、家庭を築いたり、殺し合いをしたりする。
無論、人なんて存在しない。
魔物だって弱小な存在しかいない。
これから微弱な生物たちが進化を遂げ、昔のような世界へと戻っていくのだ。
それを見届けるのは二人だ。
彼ら以外に過去の世界から生き続けたものなどいない。
また、二人はそれを見て過去の悲劇を思い出した。
そして、その男のことを思い出した。




