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殺奪  作者: 夏野
学生編

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38/318

解説11/30

セリフではない「」と『』。

頭の中の考え事の際に「」がついていることがあります。これは、固有名詞や強調の意味です。

また、話してる最中に『』があると、同じく名詞の強調です。

「」と『』の違いは、「」の分の中でもう一度「」があるとわかりにくいので、わかりやすく『』にしてます。『』の中の「」も同じ理由です。

また、【】はスキル、称号以外に、店名や商品名などの固有名詞にも使っています。

ミレアは剣術部に仮入しているため、終了時刻が違く、俺だけで帰宅中だ。


もう夕食の時間だ。


「いらっしゃい……カインか。」


「とりあえず、この、季節の海鮮丼ってのをお願いします。」


「おい。俺が言うのも何だが、金は平気なのか?昼飯も夕飯も寿司なんか食って。」


「こう見えてSランク冒険者だったんですよ、だから、金銭には困ってないです。」


「そりゃぁ凄いな。…だった、ということは今は違うのか?」


「えぇ。色々あり冒険者の仕事であまり稼げなくなって。」


「そうなのか。はいよ、海鮮丼だ。」


「ありがとうございます。……味噌汁とサラダが付いてませんが?」


「あー、忘れてたー。」


「棒読みすぎます。」


大将はそう言いつつも味噌汁とサラダを用意し、俺に差し出してくる。


「そういや、もう学校は終わったのか?」


「今日から部活が始まったんですけど、30分前くらいに終わりました。」


「ほー。こっちでも宿題とかあんのか?」


「無かったですね。制服もないですし、昼食はどこで食べてもいいですし、意外と日本とは制度が違います。」


そんな話をしつつ、海鮮丼をたべる。


うーんっ、やっぱり生魚は美味しい!


でも、やっぱり……。


「お酒っておいてますか?」


「日本酒に似てるのがあるぞ。……子供なのに飲んでもいいのか?」


「…この世界の法律では自己責任だったと思います。うー、成長が止まるは嫌ですけど、お酒飲みたいなぁ。」


「……。」


「そんな目で見ないでください。わかりましたよ、今日は我慢しときます。」


「それがいいぞ。」



「では、また来ますね。その時はきちんと10万持ってきます。」


「助かる。ミレアの嬢ちゃんにもよろしく言っといてくれや。」


「はい。」


雑談で盛り上がってしまい、一時間以上居座ってしまった。


『今何してる?』


俺はミレアにメッセージを送る。


『部活で知り合った友達とご飯ちゅー』


『おけ。買い物?をしてからいくからミレアよりかも遅くても気にしないで』


『り』


さて、前々からやりたかったことをやりますか。


俺は【マップ】でとある店を探す。


よし、あった。


そして、そこに足を運ぶ。


ーカランカランー


「らっしゃい。」


店に入ると、無愛想な店主が挨拶をしてくれた。


何もかもファンタジーの「ザ・武器屋」のイメージ通りの雰囲気だ。


店内には剣や盾といった武器に、魔法剣みたいなのまである。


俺はそれらを尻目に会計にいる店主の下までまで行く。


「武器に銘を入れてほしいんですけど…。」


「武器を出してくれ。」


俺は【ポーチ】から邪龍の魔剣を取り出す。


「なかなかの業物だな。一回貰うぞ。」


俺は剣を店主に手渡しする。


古代(エンシャント)の魔物が持っていたんです。」


「よし、ついて来い。」


店主はそう言って、俺を奥の工房まで案内した。


工房内には鍛治の道具以外に、ペンのような魔法道具(マジックアイテム)もあった。


「この魔法具(マジックアイテム)で銘を入れるんだ。」


店主はそう言ってペンを持ち上げた。


それは…書くってことかな。


なんか思ってたのと違う。


こう、〈刻印魔法〉で「銘、○○、刻印!」みたいにやるもんだと思ってた。


「で、銘は何にするんだ?」


「龍魔剣 イビルドラゴンでお願いします。」


「……わかった。」


「待ってください。その目、やめてください。……結構厨二な名前なのはわかりますが、そこまでやばくないので、そんな目で見ないでください。」


「ちゅうに?」


「と、とにかく、そこまでヤバい人物じゃないので、その目はやめてください。」


結構日本の言葉が通じるとは思ってたけど、厨二は通じないか。


地球の言葉は転生、転移した地球人から広められているだろうし、実用性のない言葉はあまり広められていないだろう。


そんな俺の考えをよそに、店主はペンで刀身に魔法陣を描いた。


魔法陣の中央部分には「龍魔剣 イビルドラゴン」とこの世界の言語で書いてあり、それ以外の術式は簡素なものだ。


「ほら、持ってみろ。」


【鑑定】を使い、剣を見据える。


ふむ……名前が変わった以外わからん。


「今更ですけど。銘を入れると何が変わるんですか?」


「名前のある武器だと、武器の持つ力が上がるんだ。その名前と相性がいいほど潜在していた力が解放される。」


「相性、大丈夫ですかね。」


「何も知らないのに入れにきたのか。」


「返す言葉もございません。」


「剣に問題はないよな?1200ビーケだ。」


「では、これで。」


金貨1枚と銀貨2枚を【ポーチ】から取り出し、店主に渡す。


「毎度あり。」



翌日


家の中の必要なものを【ポーチ】に突っ込むだけという、荷造りが終わった。


決して夜逃げでも、借金取りからの逃亡でも、国外逃亡でもない。


【ポーチ】の中はカイン用、ミレア用と分けれるので、二人ともそれぞれの個人スペースに色々と入れている。


で、なぜそんなことをしているのか。


なんと、今日はバハムス学園開校記念日なのだ。


さらに、明日は土曜、明後日は日曜。


よって、三連休だ。


そのため、一度帰省することにした。


「カイン、できたよー。トイレ済ましたらそっち行く。」


奥の方からミレアの声がする。


「わかった。先に車に乗ってる。」


「はーい。」


車とは、知識のある異世界人が作り上げた魔法道具(マジックアイテム)のことで、魔導車(まどうしゃ)と言う。


それを使い、異世界人がタクシー会社として運営している。


何故【転移】じゃないのか、気分‥と言いたいが、現実的にこの歳で〈空間魔法〉であんな距離を移動できる子供はいない。


別に隠す必要もないが、不審がられはするはずなので、見聞を広めるためにも一度魔導車に乗ることにした。


馬車ではないのは、数時間は流石に時間がかかりすぎるからだ。


車なら30分程度で着く。


信号も制限速度もなく、馬車のための車道があるためそこを走れば人身事故の心配もない。


ちなみに、ここから故郷まで20キロ程だが、タクシーにしては割高で2万ビーケ程かかる。


俺は門を開け、屋敷の前に待たせている車へと向かう。


「すみません、もう間もなく用意が終わります。今日と明々後日はよろしくお願いします。」


「もちろんですよ。今回、運転手を務めるアードです。お貴族様かと思ったら、こんな子供でびっくりしましたよ。もちろん、これは大丈夫ですよね?」


アードさんが手で輪っかを作る。


「もちろん、多めにこれだけ持って来てますよ。」


俺は右手の指を五本全て立ててみせる。


「それはそれは。こちらもちゃんと仕事をしなければ。ちなみに、支部のものからカインさんはとてもお強い冒険者だと聞いたのですが。」


この国、ザーベスト王国の王都にある、タクシー会社の支部で予約を取ったのだが、その際に身分証として冒険者カードを提示した。


そう、Sランクの黄金に輝くカードを。


職員も驚いていたし、きっと上司あたりに報告したのだろう。


「その通りですが、一般社員のアードさんが何故それを知ってるんですか?個人情報保護法に則り、警察に突き出してもいいですか?」


「あんたも日本人なのか?」


「はい。【異世界転生者】のアードさん。」


【鑑定】の映し出したもの、それは【異世界転生者】の称号だった。


そして、この会社の名前は……。


「それとも、【アードタクシー会社(蕪)】の社長本人のアードさんですか?」


ご丁寧に会社の看板には野菜のかぶのイラストも描いてあった。


蕪とはかぶ、つまり株式の株とかけているのだろう。


もちろん、それは日本語でしか通じないので……。


「……。そんな疑わなくても、ちゃんと話しますよ。。その通り、俺はこのタクシー会社の社長です。で、下から子供のSランク冒険者が予約をしてきたと報告が来てですね、俺のスキルで魂胆や本音を暴いて、もし悪意がないならいい取引相手になれないから話をすることにしたんですよ。」


「なるほど。確かに、あなたのユニークスキルならいけそうですね。残念ながら、僕は経営のノウハウも、安定した収入もないので、取引はお勧めできませんが。」


「確かにそのようで。でもまぁ、関わりは作れたじゃないですか。カインさんはこれからもっと上に行くでしょう?同じ日本人同士仲良くしましょうや。」


「それもそうですね。とりあえず、行きと帰りの間は仲良くしましょう。」


「カイン、お待たせー!あ、運転手さんもお待たせしました。」


ちょうどミレアが来た。


「ミレアさん、カインさん、乗ってください。出発しますよ。あ、荷物は…なさそうですね。乗ったらシートベルトをちゃんと締めてください。」



十分後


「すーすー。」


「彼女さん、寝てしまいましたね。」


「だーかーらー!彼女じゃないですって!」


「いいじゃないですか、認めても。」


「ただの幼馴染みですから。それに、こんな歳から交際も恋愛もしないでしょ。」


「お貴族様ならその歳からでも許嫁くらいいますよ。」


「それでも違います。」


「その歳って言ってますけど、ミレアさんも転生者ですよね?歳もクソもないじゃないですか。」


「それでも違う。断じて違う。」


「はいはい。なぁ、敬語めんどくさいしやめませんか?」


「別にいいです。社交辞令としてやってただけなんで。」


「助かる。」


「アード、【寿司屋 ジャパン】って知ってるか?」


「寿司屋なんかあるのか?王都にもそんなのないぞ。」


鮮度とかの問題もあるからだろう。


【鑑定】してないけど、大将はそう言った料理に関するユニークスキル持ちなのだと思う。


「今日来てもらった領地のガース子爵領にある、国立バハムス学園の近くにあってね、日本の回らない回転寿司屋並みに美味しい。」


「ほぅ。詳しく聞かせてもらおうか。」


そんな話をしていたら、愛し…ではないけど、懐かしい故郷(ふるさと)が見えてきた。

解説12/2

蕪は野菜のかぶの漢字です。

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