目覚め
改稿済みです。
修正点11/8
聖魔のコートのスキルを多少調整しました。少しスキルが多すぎたので。
修正点11/9
ミレアのエクストラスキル【偽装】を消し、【プチゲームメニュー】を追加しました。プチゲームメニューはパーティー登録した際に獲得するスキルです。また、それにあたりやり取りのシーン等を一部修正しました。
カイン視点
うーん、よく寝た。
って、ミミックとかいう魔剣に呪われたんだった!
『その件に関しては、ミレアがマスターを解呪してくれたので大丈夫です。』
『大丈夫だけど大丈夫じゃないような…。で、ここどこ?』
あたりには俺の屋敷の自室と同じ光景が広がっている。
しかし、雰囲気が違いすぎる。
禍々しいというかおどろおどろしいというか…。
『【マップ】を見てください。』
あ、そうか。
【マップ】は地図が表示されるけど、地図の上に地名も出てたっけ。
なになに…うわっ!?
【マップ】がバグってる。
地図にはノイズがかかり、普段はちゃんと表示されている地域名は文字化けしている。
いや、文字化けがたまに直るな。
ギリギリ解読できるか。
……幻想世界?
ギードの【精神世界】みたいなものか?
それとも異世界の異世界?
『不明です。』
うーーむ……。
『あ、マスター。』
『ん?』
『干渉によ…スキル…えなくなり……』
『え?』
スキルなくなるって言った?
でも、【ゲームメニュー】は現在進行形で発動してるし。
【ゲームメニュー】からステータスを確認すると…「ふぁ!?」
【ゲームメニュー】、【殺奪】、【偽装】を除くスキルが全て文字化けしている。
魔法も〈爆発魔法〉を除き文字化けしている。
さらに、ステータスはオール1。
幸いにも使えるスキルのレベルはそのままだった。
…何が起きているんだ?
……武器と装備のスキルは発動しているな。
なくなってはいない。
「なくなる」じゃなくて「えなくなる」ってサータは言ってたかも。
えなくなる…使えなくなる!
「なくなる」じゃなくて「使えなくなる」か。
ミミックの呪いか?
…いや、スキルにはデバフのものはない。
おまけに【狂乱】と【求血】は隣に封と書いてある。
サータの力かミレアの〈神聖魔法〉か別の何かかの力で封じられたってことか?
とりあえず、ミミックのせいでこうなっているわけではなさそうだ。
ということは幻想世界の発動源が原因ということだ。
状況をまとめよう。
原因は幻想世界。
幻想世界は誰かのスキルなのか、異世界なのかは不明。
ミミックが原因ではない。
さて、どうするか。
魔力がない以上、唯一の〈爆発魔法〉は使えない。
あ、【転移】は使えるかな。
……発動しないか。
ーザクッー
「!?」
突如、目の前に鎌の刃が現れた。
そこから空間が斬られていき、切れ目ができる。
この鎌…執行者が使っていたのに似ている。
まさか俺を殺しにきたのか?
それで、この空間に閉じ込めた?
ービュンー
「危ないだろ!」
切れ目から短剣が投げ込まれた。
うっかりツッコんでしまったが、殺し屋相手に言っても通じるはずがない。
『カイン、聞こえるか?』
「え、誰ですか?」
『その短剣には転移魔法が仕込んである。それに触れろ。そこから出してやる。』
敵…ではなさそう。
他にやれることもないし信じてみるか。
俺は床に突き刺さっている短剣に手を伸ばした。
『ゴットスキル:【???】が発動しました。【???】が発動します。』
と、ログに出た。
すると、視界が急に入れ替わった。
……いや、夢から覚めた感覚だ。
目を動かすと、どうやら俺は寝かされているらしい。
もちろん地面に。
膝枕なんて夢を見てはいけない。
「カインッ!」
急にミレアが抱きついてきた。
俺もミレアも子供の姿とはいえ気恥ずかしい。
「ミレア、ちょっと恥ずかしい。」
「あっ、ご、ごめん。」
【ゲームメニュー】で時刻を確認すると、意識を失ってから1時間ほど経っている。
「カイン君、大丈夫?」
「あ、ミレアの試験官をしてくれた。」
「えぇ。改めて名乗ると、Sランクパーティー【月夜】のリーダー、山村 美桜。日本ってとこからの異世界転移者よ。で、こっちが【月夜】のメンバーで私の友達の竹上 真也。」
転移者!
「よろしくお願いします。カインです。」
「よろしくね。」
「よろしく。」
この声、さっきの短剣の人だ。
「よぅ、カイン。目、覚めたか?」
「あ、ギードさん。いたんですね。」
「……俺も傷つくからな?特別にメンタルが強くはないからな?」
「あ、ミオさん。その鎌ってミオさんの武器ですか?」
俺はミオさんの持っている大鎌を指で指しながら問う。
「そうよ。これは死神の大鎌 エクスティン。これであなたの囚われていた独創世界を破ったの。」
「すごい鎌ですね。」
「えぇ、もちろん。で、転移魔法の刻印されていた短剣は真也の神狼の幻剣 イマジン。武器と隠蔽に長けているの。」
武器に長けているって言語としておかしい気がするけど、操作性とか親和性がいいってことかな。
「私のエクスティンは滅びと斬ることに長けているから独創世界を無理やり破れたの。」
「シンヤさんのもミオさんのもどちらもすごいですね。」
「ねぇ、カイン。カインが暴れちゃって大変だったんだからね?」
「あ、ごめん。本当にごめん。」
「もう。ところで、サータはどうしたの?〈神聖魔法〉を使ったくらいから反応がないんだけど。」
ミレアが小声で俺に尋ねてくる。
「あー、実はスキルが使えなくなって。レベルも1だし。」
「え!?ほ、ホントだ!」
ミレアとのパーティー登録は継続されているため、【プチゲームメニュー】は残っているのだろう。
その機能で俺のステータスを見たんだと思う。
「この魔剣が原因ではないみたいなんだけど、犯人もわからなくて。」
「大丈夫なの?」
「だいじょばない。」
「んー?カイン君、レベル1なの?」
ステータス補正かな。
あの距離で、小声で話してたのに聞かれるとは。
「はい。この魔剣の呪いで自我がない時にこの状態になったみたいなんですけど、かといって呪いが原因の可能性は低そうなんですよね。」
「ふーん。私はそういうの詳しくないから、ごめんね。あ!魔王なら…。」
「あいつはさっき転移魔法で帰ったぞ。」
「マジ!?あいつめ、勝手に帰って!」
シンヤさんの発言に、ミオさんが怒りを露わにする。
「なぁ、ミレア。魔王って聞こえたんだけど…。」
「うん。魔王シャーインさんが急に来て…」
「なんでそんなことになってんの!?」
「私に訊かれても…。」
すごいカオスな状況だったみたいだ。
「よし、みんなでお疲れ会開こう!ミレアちゃんのクラスメイトたちがギルドで待ってるんでしょ?その子たちも誘って、ね?」
ミオさんが急にそう言ってきた。
「おー、いいですね!」
ミレアが嬉しそうに答える。
「ギード、奢ってね。」
「はぁ!?」
「ギルド内に売店あるんだから、ギルド内でやろうよ。そしたらギードが権力を振りかざすだけでタダで飲み食いできるし。」
「おい、それ……。人としていいのか?」
「もちろん。」
「ギードさん、たまには大人らしいとこ見せてくださいよ。」
俺も強請っていく。
「いや、金ならシンヤが一番稼いでる…「何か言ったか?」
「い、いや。俺が稼いでます、奢ります、席確保します。」
ギードって、意外と不憫かもしれない。