メリー
改稿済みです。
家を買った日の午後
俺はギルドに来ている。
理由は、この前メリーに色々あった。
で、その時に翌日ギルドに来てくれたら説明すると言われた。
なので、ここに来たのだ。
メリーという名の受付嬢のカウンターに行く。
「メリーさん。カインです。」
「カイン君、ちゃんと来てくれたのね。今から説明するからこの前の部屋に行っておいてもらえる?」
「分かりました。」
「私もギードを呼んですぐ行くので。」
「はい。」
「ここ、誰か変わっといて。」
「はーい、私やっとくのでボーナスには色付けて下さいね。」
「もちろん。」
俺はこの前の部屋に入りソファーに腰掛ける。
「ふー。」
なんか色々終わってひと段落ついた感じがする。
……何もひと段落ついてないんだけどさ。
「待たせた。」
「お待たせ。」
メリーさんとギードが入ってきた。
ギードだけ呼び捨てなのは気にしてはいけない。
「で、メリーさんは結局スパイだったんですか?」
「落ち着け。言われなくても今から話す。」
「私は魔王に呪いをかけられスパイとして送り込まれたけど色々あって今はギードの味方なの。」
「おい、メリー!人の見せ場をとるな!」
「見せ場も何ももともと私の話だし。」
「あぁ、もう!お前のそういうところが嫌いで好きなんだよっ!」
「うんうん、ありがとうねー。」
これは喧嘩するほど仲がいいってやつだな。
喧嘩というかからかいあいみたいな感じだけど。
「あの、詳しいことを教えてもらっても?」
「私が教えるよ。この人、色々と荒れてるから。」
「誰のせいだ、誰の!」
「私以外の誰かというのは確かだね。」
「お前のせいだよ!」
「で、私の種族は魔族。これは鑑定されてるから知ってると思うけど。」
状態と称号しか見てないては言えない。
「はい、もちろん知ってます。」
「俺を無視するんじゃねー!」
「魔族は魔大陸に住んでるけど私はその中でも西。西の魔王の支配する魔大陸の魔族。そして、魔王は私の種族を偽り人類の国へと間者として送り込んだ。」
急に新情報がわんさかきたんだが。
たしか魔大陸はこの国のある中央大陸を囲むように北、東、西にありそれぞれ魔王が治めている。
ちなみに北と西の魔大陸の間より若干下、中央大陸からみて北西に北の大陸と言われる人類国家の大陸もある。
で、魔族は人と見た目も性能も同じで名前が違うだけ。
ラノベでは尻尾や角があったり肌の色が違ったりするがこの世界は違うらしい。
なので簡単に誤魔化せる。
だから魔王はメリーのステータスを偽装して送り込んできたのだろう。
「で、送り込まれる前なんだけど私ってそこそこ美人だし?魔王に気に入られてたのよ。だから側室として結婚してたんだけど急に気が変わったらしくて変な呪いとかかけて今に至るわけよ。」
「よく分からなかったけどこれそりゃまた大変そうで。」
「そうそう。昨日今日、色々と冒険者をあたって私の呪いを解けそうな人を探してたんだけど見つからなくてね。そ、れ、で、ね?」
「お前に解呪を頼みたいんだ。」
「あー!私の台詞取った!」
「お互い様だ。で、やってくれるか?」
「色々説明不足な気がするんですが。そもせも、ギードさんはメリーさんはスパイなのにいいんですか?」
「構わない。」
「分かりました。でも、僕は光系統が不得意で。代わりの人材を呼びたいのですが。」
「「代わりの人材?」」
「はい。」
『というわけだから来てほしい』
『えぇ……。いいけど急だねぇ』
『じゃあ今から迎えに行く』
『はーい』
「一度抜けます。すぐ帰ってきます。」
「わかった。」
「りょーかい。」
「【転移】。」
俺が【転移】した先はミレアの家の前だ。俺の実家とは近所なのでマップの適応範囲なのだ。
マップを見る限りミレアの両親は出かけてるらしい。
ナイスタイミング。
ーコンコンコンー
ミレアの家のドアをノックする。
「カインです。」
「あー、はいはい。今開けるね。」
ーガチャー
「やっほー、久しぶり。」
「といっても数日しか経ってないけどな。」
「まぁね。」
「いきなりで悪いけど早速ついてきてもらっていい?」
「うん。」
「じゃあ、【転移】!」
俺とミレアはギルド内の際ほどの部屋にワープした。
「お待たせしました。」
「お、お待たせしました!」
「その子は?」
「ミレアです。〈回復魔法〉を補助してくれるユニークスキルを持ってるので、お役に立てると思います!」
「ですので僕が呼んできました。」
「ミレアちゃんね。来てくれてありがとう、事情は聞いてるの?」
「来てくれてありがとう。」
「はい、一から十まで聞いてます。」
「……やっぱり俺は無視なのか。」
「あ、ギードさん話も聞いてますよ。」
「同情してくれてありがとうな。」
「それで、ミレアちゃんは私の呪いを治せるの?そもそも、私を治してくれるの?」
「カインから聞いただけなんでメリーさんの本性を知っているわけではないんですが、一方的に受けた被害だと聞き及んでますし何より本人がそう望んでいるならそうしてあげるべきじゃないんですか?」
「いや、あのね?私は魔王の間者だったからそこに嫌悪感とかないの?」
「ほへ?そうだったんですか?」
「あの、カイン君?」
「あー、すみません。伝え忘れてました。」
魔王から呪いを受けた可哀想な人がいるから治してほしいとかしか送ってなかった。
「別に悪気があってそうしてたわけじゃないんですよね?それなら私はやれることはしますよ。」
「昔は間者だと思ってここに来てたけど今はもうギルドの一員でこの人の妻って思ってるわ。」
「なら全然問題ないですよ。……ところで、私で治せるんですか?」
「カイン君?」
「魔王の呪いとは伝えました。僕を疑わないでください。」
「私、レベル1だけど頼まれたから来たけで、魔王の呪いと改めて聞くと尻込みしてきちゃって。」
「「……。」」
「いける。俺が魔力を貸す。嬢ちゃんのユニースキルの補正があればいずれは成功するさ。魔力は24時間て全回復する。そして嬢ちゃんのスキルは補正というより確率を固定する力だ。それが50%でも一週間も続けりゃ3回は成功するはずだ。」
「わ、分かりました!頑張ります。」
「メリーはステータスの精神をできる限り抑えろ。そして魔法に抵抗しないように魔力を微塵も動かすな。」
「う、うん!」
「嬢ちゃん、今から魔力を送る。魔法陣もこれが作ってやるから魔法の発動だけやってくれ。魔法名は〈神威解呪〉だ。」
「はい!」
「そして、カイン!お前も魔力を貸すのを手伝え。」
「あ、はい。」
「魔法陣は分かるな?」
「いいえ。」
「……。俺の真似をしろ。」
「え…。」
「では今から始める。〈魔力譲渡〉!」
「え、えーっと…魔力を送れ、〈魔力譲渡〉!」
俺とギードの魔力が無職の魔法陣を通じてミレアに流れていく。
「嬢ちゃんは魔力を放出していけ!ただし、魔法陣も術式も描くな。今から俺が魔法陣を構築する。」
ギードがミレアに流れていく自身の魔力を操り魔法陣を描いていく。
流石はギルドマスター。
俺では敵わないほど魔力操作が精密だ。
なにせ、素人の俺ですら分かるくらいだ。
魔法が苦手って言ってたけどこれで苦手とか、俺は何になるんだ?
超不得意?
「嬢ちゃん、解呪のイメージを固めて魔法名を唱えろ!メリーは無意識に近い状態で魔力を消せ!!」
「…〈神威解呪〉ッ!!」
『ミレアがユニークスキル:【保救生命】を使用し、成功しました。』
と、ログに流れた。
これ、普段は鬱陶しいな。
あとでスキル成功うんぬんはオフにしておこう。
そんなことを考えていると、金色の魔法陣がメリーを包み込んだ。
そして、優しい光を放ち、魔法陣は消えていく。
「ふぅ、完了だ。ミレア、メリー、成功したか?」
ギードが二人に問う。
「私はスキルはちゃんと発動した感覚がありました。」
「私は……!?状態から呪いが消えてる!称号も魔王軍スパイとかが消えた!!」
「おめでとうございます。」
「おぉ!成功できてよかったです!」
「本当によかった!ありがとう、ミレアの嬢ちゃん。おまけにカインも。」
「僕が呼ばなきゃメリーさんは助からなかったんですが。」
「カイン君、ミレアちゃん。本当にありがとうございました。これからギルドに用事があったら私のカウンターに来て。色々とおまけするから。」
「ありがとうございます。」
「登録するときはここに来ますね。」
「おい、ギルドマスターの俺はいいって言ってないんだが。」
「いいんでしょ?」
「まぁ…いいが。」
「よし!バンバン素材を高く売り払おう。」
「あ、他の人たちには内緒だからね。二人とも、悪いんだけどこれは秘密でお願い。治してもらった恩人にこんなこと言うのも失礼なんだけど…。」
「全然構わないですよ。ここの近くに住んでないので話したくても話せませんし。」
「僕もそんな話す人いないし問題ないですよ。」
「カイン…。今度奢ってやる。」
「ギードさん!?」
「カイン君、私ならいつでも話し相手になってあげるからね。」
「メリーさん!?」
「カイン、ぼっちじゃないよ?私がいるから。」
「ミレア!?」
ミレアの言葉が一番刺さった。
※北の大陸≠北の魔大陸




