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異世界ヤドカリ物語  作者: 村吏
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1-9

炎が消え去る。


どうやら私は無事みたいだ。


ってかあれ?無傷?


そんなことよりゴブリンは!?


魔方陣が展開されていた場所には


少しこげたゴブリンが横たわっていた。


あれ!?生きてる!?


よかった。ホントよかった。生きてるよ!



「まだ死ねないゴブ。こんなところで

まだ死ねないゴブ!」



すごい!すごい気迫を感じる!!!


あのすごい炎を気合で乗り切ったって事か?


ありなんですか?



そんなあたふたしている中お嬢が来る。



「あら?カ二太郎どこ行ってたのよ。」



お嬢!あなたって人は!あなたって人は!!!


お嬢に訴えかけようと身振りをする。


しゃべれないのが悔しすぎる。


そしてゴブリンとお嬢の目が合ってしまう。



「・・・え?うそ!このゴブリン

直撃させたのにまだ生きてるの!?」



お嬢が身構え第二撃を加えようとしたそのとき。



「お願いゴブ!」



真摯で熱のこもった声が響く。


お嬢も魔法を放つのを待っているようだ。



「ゴブを!ゴブを可愛くして欲しいゴブ!!!」


「【火:フレイムタワー】」



再度ゴブリンの足元に魔方陣が展開され

先ほどの火柱が上がる。



・・・あれ?


何だろう?幻聴かな?


なんか変なセリフが聞こえた気がする。


こういう展開って「私たちの集落を助けて!」


とかそういうパターンだよね?



呆然としていると火柱が消える。


真っ黒にこげた地面には何も残っていない。



「っち!よけられた!!!」



お嬢は何か別の魔法を放つ準備をしている。



「ま、まって欲しいゴブ!話を!

話を聞いて欲しいゴブ!!!」



どこからかゴブリンの声がする。


確かに、このまま見殺しはひどすぎる。


お嬢のローブを引っ張り止めに入る。


お嬢、話ぐらい聞いてあげようよ。



「・・・いいわ、話ぐらい聞いてあげる。」


「ありがとうゴブ。」



ゴブリンの話す内容は以下のようなものだった。


集落が人間たちに滅ぼされ天涯孤独となったこと。


死に掛けていたゴブリンを旅人が救ってくれ、

その旅人に迷子のヤドカリの主人に聞けば

可愛くなれる方法がわかるとのことだった。



あれ?なんか重要なところ抜けてません?



「何で可愛くなる必要があるのよ?」



せやな。そこだいじやな。



「人間たちはゴブリンが集落を作ると

必ず潰しに来るゴブ。

それはゴブたちが可愛くないからだゴブ。

他の集落は平気なのはそいつらが可愛いからゴブ」



おっとー、あまりの悲劇に遭遇して

思考が道理をぶっちぎっちゃったかな?



「それはあんた達が人に迷惑掛けるからでしょ?」


「違うゴブ。ゴブたちは人を襲ったことなんて

なかったゴブ。ゴブのお父さんもお母さんも

優しかったゴブ。」



っくっそ。必死に訴えかける声に泣いてしまう。


心なしかお嬢も目がうるうるしている。



「・・・わかったわ。」



おぉ。あの強気なお嬢が構えを解いた!



「でも、私変身魔法なんて使えないわよ?」


「魔法は駄目ゴブ。解けてしまっては駄目ゴブ。」



お嬢はどうやら考え込んでいるようだ。



「じゃあ、体ね」


「体ゴブか?」


「酒場の馬鹿共が言ってたことがあったわ。

『顔が駄目でも体がよければ』って」



え?え?お嬢?



「あんたはがんばって体を磨いて

人間を魅了できるような体を作り上げなさい!

そうすれば馬鹿な男共なんていちころよ。」



すごい!


言ってることはあれだけどすごいアドバイス!


ウィンクしているところなんて可愛すぎる!


ついて行きます!私お嬢について行きます!


ゴブリンもなにやら感銘を受けているご様子。



「やるゴブ!やるゴブ!!!」


「そうね。じゃあ餞別にあなたに名前をあげる。

あなたは今日から『ゴリ子』よ!

そして私の名前は『リサ・ベルクヴァイン』

人間に襲われたらその名前を出しなさい。

よほどの馬鹿じゃない限り手は出さないわ。」


「ゴブー!!!」


草むらから現れたゴブリンことゴリ子は

涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら

何度もお礼を言い夕暮れと共に消えていった。



「カ二太郎。今までの全部無くしても

これからの目的だけは無くしちゃ駄目だからね?」



そうつぶやくお嬢の言葉にはすごい重みを感じる。


こうしてちょっとした出会いを経て


無事目的の町へ到着するのであった。


次回から町編になります。

一つの区切りとなるので今までのところで

改善点があれば教えてくれると助かります。

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