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私は今食事をしている。
そう、土と水のことではない。
パンとスープのことである。
うまし、実にうまし。
子供が食べやすいように一口サイズに切りながらも
絶妙な煮込み具合で形崩れせずに食べれる。
そう、このスープには子供に対する愛を感じる。
YES、ラブandスープ。
「ヤドカリさんお名前はー?」
ちびっ子たちは食欲が満ちてくると好奇心に
従って私に絡んでくる。
私はね?カニ太郎っていうんだよ。
腕の刻印を見せる。
「シスター。なんて書いてあるの?」
シスターは刻印に目を通す。
「まあ!あなたリサ様の使い魔でしたのね?」
「「「ホント!?」」」
子供たちが一斉に集まってくる。
どうやらここではお嬢は人気者らしい。
「すげー!リサ姉ちゃんの!?」
「かっけー!」
「今度は誰吊るすの!?」
吊るす?
「誰かの不幸を願っては神が悲しみますよ?」
苦笑いを浮かべながら子供たちをたしなめるシスター。
その後、みんなの話を総合していくと
どうやらこの町の名物人形はお嬢が吊るした人たちが
モデルのようだった。
お嬢武勇伝集として書籍化されてたのは
さすがのカニ太郎も苦笑い。
まぁ、シスターが読んでくれたので
ちびっ子たちと一緒に聞きました。
かなり長くなるので要約すると。
まずアモちゃん人形のくだりから。
町で有名なセクハラ親父が町に来たばかりのお嬢に
絡んできて吊るされたらしい。
正確にはぶちのめした後にお爺さんがそのことを知り
虚勢された上で吊るしたらしい。
何でもその後悟りとオカマバーを開いたらしい。
続いてルシちゃん人形。
これはこの町で好き勝手やってた貴族の息子が
モデルらしい。
こいつはお爺さんが家ごとつぶしたらしい。
何それ?怖いんですが!!!
そしてマモちゃん人形。
この町の大商人だったらしい。
お嬢の逸話を利用し二人の人形を製作
この町の名物にしようとしたらしい。
が、お嬢の実名を利用したらしく
お嬢によってめでたく三人目となったらしい。
ワロス。
しかしお嬢武勇伝はここでは終わらない。
商人根性たくましく、もう割とブームになっていた
人形を売りさばきかなりの利益を得たマモちゃん。
冒険ギルドのマスターに袖の下を使い、
お嬢に嫌がらせのような指名クエストを
出しまくったらしい。
だが、そんなクエストをクリアしてしまい。
お嬢はこの町の筆頭冒険者となりました。
めでたしめでたし。
という書籍だった。
どうしよう、フィクション要素が見つからない。
あの人たちなら絶対する。
想像力を駆使せずとも
イメージの方からやってくる。
まぁそんなこんなで敵も多いらしいが人気らしい。
そしてカニ太郎もその人気にあやかったらしく
引っぱりダコである。
「カニ太郎さん、本日はありがとうございました。」
いえいえ、私も楽しかったです。
身振りで答える。
夜もかなり深け、やっと子供たちも眠りについた。
夜道も危ないということで止めてもらうことに
なったのだが部屋は子供たちでいっぱいだし。
脱皮をすると汚してもらうので物置き小屋にでも
寝かせてもらうことにした。
なかなか神聖な感じのするいい物置き小屋だ。
「気に入られましたか?カニ太郎さんが良ければ
いつでも使って頂いてかまいませんよ。」
ありがとう。シスターさん。
物置き小屋に入ると猛烈な眠気に襲われる。
スラ子、明日はどうしよっか?
返事がない、もう寝ているようだ。
私も意識が途切れて・・・。
(カタカタカタカタ)
(ピロピロピロリン)




