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「ようこそリサ嬢、相変わらずのようで。」
ふてぶてしく笑う偉そうなおっさん。
「久しぶりね。ギルド長。」
なにやら険悪な雰囲気。
「前から伝えていた
魔術学校に行くことになったわ。
今日はその挨拶よ。」
「それはめでたい!ギルドも静かになりますな。」
「そうね。じゃあギルドの手続きお願い。」
「えぇ、喜んで承りますとも。処理できましたら
ご連絡差し上げます。お泊りはいつもの?」
「そうよ。」
最低限の言葉で済ますとお嬢はギルドを後にする。
すると後から人が追ってくる。
「リサお嬢!ま、マジっすか!?マジっすか?」
金髪のチャラ男がお嬢の道を塞ぐ。
「おい!ラウル!!!お嬢に迷惑かけるなって!」
強面のおっさんがラウルと呼ばれた
チャラ男を捕まえにくる。
そしてそれに続いてローブの女性と
さっきの面白モヒカンが現れる。
「自分、自分、お嬢がいなくなったら心細いっす」
「何情けないこと言ってるのよ。
私がいなくなったら、あんた達がみんなを
引っ張っていかないといけないでしょ?
しっかりしなさいよ!」
「それはそうなんっすが、
最近よくない噂も聞きくっす。
そんなときにお嬢がいなくなるなんて!」
「噂?」
「あれ?オイゲン様は何も言ってないっすか?」
「トーマス?どういうこと?」
さっきの強面のおっさんがしゃべりだす。
「はい、『ガ・ゴルバル』に動きがあります。
詳細は調べている最中ですが、
年内には一戦あるでしょうな。」
「じゃああの壁も?」
「えぇ、お偉いさん方も今回は必死のようで。」
「そう・・・。」
「心中お察しいたします。」
何だろう?なんかあったのかな?
『ガ・ゴルバル』ってあの塔で監視している、
獣人の国だよね?
やはり何か因縁があるのだろうか。
あんなお嬢の悲しそうな顔を初めて見てしまった。
「まぁ、それならお爺様もいるし大丈夫でしょ。」
「えぇ、お嬢は心置きなくご学業を。」
「ありがとう。・・・そうだ。
出発前にダンジョン探索にでもいく?
あんた達まだ行けていない部分があるでしょ?」
「おぉ、それはありがたい。」
「おぉ!マジっすか!?やった!」
ダンジョン!ダンジョンきた!?
やはり異世界来たら行ってみたいよね!
私のテンションもかなり上がってきた。
まさにギルドでは見せられなかった私の実力を
発揮するチャンスである。
その後お嬢と町の雑貨屋等で買い物をして
宿に向かうこととなる。
やっぱり露天は色々な物も人もいて楽しかった。
お嬢も久しぶりのショッピングで上機嫌である。
そんな夕暮れの道にて声がかかる。
「そこのお嬢さん、占いなぞいかがかね?」
「結構です。」
素早い返答!
目すら向ず通りすぎるお嬢に占い師が。
「あなたの思い人。」
お嬢の動きがぴたっと止まる。
「今のままでは結ばれることはないでしょうね。」
お嬢が占い師に歩みよる。
「喧嘩うってるの?」
「いえいえ、私は見えたものをお伝えしている
だけでしてね?」
「こんなところで占ってる三流に
そんな事わかるわけないでしょ?」
「お嬢さん、占いに場所など関係ありませんよ。
そうそう、それにこれをどうぞ。」
占い師は懐からプレートを取り出す。
「うそ・・・。特級証書。」
なんか本物のすごい人のようだ。
「私が御呼び留めしてしまいましたし。
お聞きになるなら半額でいいですよ?」
占い師は机にある硬貨の看板を指差す。
小さな看板には茶色い硬貨が貼り付けられ、
『10枚』と書いてある。
銅貨1枚でパン一斤。大体100円ぐらい?
って事は半額の5枚で500円か。
「・・・いいわ、聞かせて。」
「商談成立ということで。」
お嬢が占い師の持っていたプレートに触れる。
「あなたの思い人、この方はあなたの幼少の
頃よりの知己。」
お嬢は否定はしない。
占い師も確認せずそのまま言葉を続ける。
「この方もあなた様も強い運命の流れにあり。
なかなか難しい立場のようでもある。」
お嬢は完全に聞き入っている。
「この運命の流れにおいて共に歩むとするなら、
すべてを犠牲にしても一時を得られるかどうか。」
ためを作る占い師。
「もし結ばれ安息の日々を過ごすなら、
あなたは一人の女性を亡き者とする必要がある。
しかもあなたが助けた女性をだ。」
わぉ。実行しなきゃいけないことがブラックだな。
「っは!くだらないわ。行きましょうカニ太郎。」
はい!お嬢。
お嬢は銅貨5枚を机の上にたたきつけると
立ち去ろうとする。
銅貨を見つめる占い師がつぶやく。
「硬貨をお間違えのようですよ?」
・・・はい?




