44/78
幼馴染はじめました
人生の大部分を共に過ごした夫を亡くし、子どもたちに苦労をかけるのもと施設に入ることにした。
海が見えるきれいなホーム。私と同じような境遇の高齢者が人生の最後の時を快適に過ごすために集まっている。
最初は少し馴染めなくて、多少ここに来たのを後悔したこともあったが、ある人との出会いが気持ちを変えてくれた。
同い年の幸子さん。名前の通り人に幸を与えてくれる人、その人が私に、
「福さんって言うのね、私たち二人合わせると幸福ね」
と笑ってくれて、その日からこの人を大好きになったのだ。
「もっと早く会いたかったわ。そうよ、幼馴染だったらどんなによかったことか」「あら、今からでも遅くはないわよ」 幸子さんは丸い目をさらに丸くして続ける。
「人生はいつだって今が一番若い日なのよ。そうよ、だから今日から幼馴染になりましょう。福ちゃん今日からよろしくね」「ええ、さっちゃん」
彼女のこういう考え方が私は大好き、幼馴染のさっちゃんの。




