第43話 二番弟子、先客の芸人プレイを見る
「さてゴドウィン、行くぞ。素材回収だ」
そう言って俺はゴドウィンの背に跨り、結界製グライダーを展開した。
「……素材回収? 今のエイリアン、かなり遠くに落下したように見えたが……今から行っても、もう他の誰かに拾われてしまっているってことはないのか?」
「結論から言うと、ギリギリ間に合う。だが、間に合うかどうかの瀬戸際とも言える状況だ。説明は、飛びながらにするぞ」
そう返すとゴドウィンは「分かった」とだけ言い、飛行用の風魔法を発動した。
☆ ☆ ☆
「……で、間に合うとはどういうことだ? 人間のことだから、『素材を討伐者の許可なく拾うと罪に問われる』みたいな法律でもあるのか?」
上昇気流に乗り、飛行が安定してきたところで、ゴドウィンがさっきの質問を再開してきた。
俺も、それに答えていく。
「そんなものはない。第一、俺が正当討伐者だってどう証明するんだ」
「言われて見れば、確かにそうだな。だが、そうだとしたら余計に分からん」
「答えは、死後硬直だ」
「……死後硬直?」
「そうだ。死んだ直後、死んだ人間や魔物の筋肉がカチンコチンになる現象は聞いたことがあるだろう。それは、エイリアンも同じなんだ」
「それは……なんとなく理解はできる。だが、それがどう素材回収が可能なことと結びつくんだ?」
「簡単なことだ。死後硬直中のエイリアンはな、体表に超高濃度の魔力を纏っているんだ。この時代の人間で、あれを触って命が無事な奴はいないだろう」
「なるほど」
「クトゥグアの場合、死後硬直の時間は平均40分。このペースだと間に合う計算ではあるが……個体差で死後硬直が早めに終わったらまずい。少し、急げるか?」
「構わない。だが、ちょっと飛行が不安定になるぞ。そこの補助は頼んだ」
そう言って、ゴドウィンは風魔法を強めた。
同時に、気流にちょっとした乱れが生じる。
それを相殺するかのごとく、俺は結界の角度の微調整を繰り返した。
そうして、30分と少しが過ぎた頃。
「……あれか」
「そうだな」
死体だと言うのに、未だに禍々しい雰囲気を放つクトゥグアの巨体が、視界に入り出した。
だが。
「……ん? あの男、素材を持ち帰ろうとしていないか?」
ゴドウィンがそう言うので、目を凝らしたところ……確かに、今にもクトゥグアに触れようとしている1人の男がそこにいた。
まさか、死後硬直中のクトゥグアに近づこうとする奴なんていないと信じていたんだが……無謀なやつもいるもんだな。
止めに入りたいところだが、間に合わない。
俺は男の冥福を祈った。
男がクトゥグアに触れる。
すると、男の腕は一瞬で焼けただれ、男は腕を抑えてのたうち回り出した。
そして十数秒間、男はのたうち回り……とうとう、クトゥグアの元から逃げ出した。
それを見て、ゴドウィンはポツリと呟いた。
「テーラス、『あれに触って命が無事な奴はいない』って言わなかったか? あの男、生きて帰ったぞ?」
男の正体の見当がついた俺は、その呟きには返事をしなかった。
☆ ☆ ☆
クトゥグアの落下地点のすぐそばまでやってくると、俺は気でツボを刺激し、リミッターを解除した。
そして右手に魔力を集め、クトゥグアの体表の魔力を相殺するための魔法を発動した。
死して尚、こうまでしないとおちおち素材回収もできないほど悍ましい奴ではあるが、だからこそとんでもない価値を持っているとも言えるのだ。
クトゥグアに触れると一瞬にして手の感覚が麻痺するほどの痛みが走ったが、即座に収納術を発動したおかげで、大怪我はせずに収納してしまうことができた。
「一件落着、だな」
「ああ」
ゴドウィンの発言に適当に返事しながら、俺は思った。
まだ一件しか落着してないな、と。
落着してないもう一件とはもちろん、先ほどの「クトゥグアに触ったにもかかわらず命が無事だった男」のことだ。
……面倒な奴が現れたものだ。
それが、正直な感想ではある。
だが同時に、俺は心の中でガッツポーズしてもいた。
短期的に見れば、確かに別の問題が増えてはいるのだが……長期的に見て、それをプラスに転じさせることができる秘策を思いついたからだ。
流石に今はそれを実行できる体力も魔力も残ってはいないが、奴だって、大怪我したこのタイミングで決着をつけようとは思ってないだろう。
「……帰るか、ゴドウィン」
数日後につけるであろう決着の結末を想像しながら、俺は晴れやかな気持ちでクトゥグアの落下跡を後にした。
えー、非常に私ごとではありますが……実は僕、youtuberもやってます。
昨日こんな動画を上げてみました。
【甲虫王者ムシキング】パズドラしながらムシキングをプレイしてるかのような実況をやってみた結果www
リンク→https://youtu.be/0sl9Rmwuv4o
【次回のあらすじ】
今回の話で現れた謎の男との決着をつけ、更に◯◯◯◯をしちゃいます! お楽しみに!




