【第二章】第三十一部分
二回表、半巨人の三番は、あたりそこねの打球を一塁に転がした。
「ナッキーはヒーロー、ナッキーはヒーロー、ナッキーはヒーロー♪」
ファーストのナッキーは一回裏の自分の妄想世界にトリップしていて、ボールを捕れず、バッターランナーは一塁を回り、二塁まで到達した。
『ボク、ドラエロ悶。公式記録はエラー出塁。ナッキー選手の一回の活躍は帳消し。』
「大きなお世話、ビッグヘルプですっ。ううう。」
再び泣きモードに回帰したナッキー。三分間天下だった。
続きトップバッターは敬遠された。これでランナーは一塁、二塁の満塁となった。
「よし。エロザと正々堂々と真っ向勝負だな。」
「ソウコナクチャデス。コチラモ、手抜キデ気持チヨク、ナリマスカラ。」
「手抜きしないでやってくれよ!その方が気持ちはいいはずだからな。」
「ハテ?異ナコトヲ申サレマスガ?」
「変なところにツッコむな。えぃっ!」
ランボウは力一杯の速球を投げ込んだ。
『コツ。』
「スクイズだ!」
ランボウが叫んだ時、すでにランナーはホームを駆け抜けていた。キャッチャーのトモヨンは、慌ててファーストに投げた。それを見た一塁ランナーもホームを狙って突っ込んできた。
「ナッキー。ホームへ投げろ!」
ランボウはファーストのナッキーに指示を飛ばした。
「???」
ナッキーはクビを傾げるだけ。
「ポンコツキャラはやめろ!泣き虫だけでも家賃が高いんだ。早くホームへボールを返せ!」
「だって、ナッキーはボール持ってないですっ。うわ~ん。」
泣き虫モード再開のナッキー。
トモヨンはホームでランナーを待ってから余裕のタッチアウト。ボールを隠し持っていたキャッチャートモヨン。
「よし、これでワンアウトだな。」
ランボウはマウンドに戻るべく足を動かした。
『ボク、ドラエロ悶。一塁ランナー、ラブプレイでアウト。』
ベンチから美散が大きな野次を飛ばした。
「今のどこがラフプレイなんだよ?エロザは乱暴なんかしてないよ。」
『ボク、ドラエロ悶。エロザ選手は、ナッキー選手に強引にキスした。ラブプレイは禁止行為。』
ラブプレイは夜にとっておくべきである。
「ナッキーのファーストキスが、こうもあっさりと奪われたですっ!うわ~ん。」
数え切れないほどの泣き虫モードを露呈するナッキー。ファーストキスとは、無論ファーストを守っているナッキーのキスという意味であり、決して初めてとかではない。
ダブルプレーのあと、半巨人の三番はあっさり倒れて、二回裏の攻撃へと移った。
巨人軍は1点取られて、またも追い込まれた状態での攻撃となる。




