【第二章】第六部分
試合後、エロザは船の自室で、憤懣やるかたない様子である。
「アンナ汚イ野球デ勝トウナンテ許セマセン。絶対ニ仕返シ、シテヤリマス!学校ニ通ッテル選手ハ、イルノデスカ。」
エロザは学校の名簿をパソコンで検索している。
「ヒトリダケデスガ、イマシタ。コノ子ハ、コノ前、ワタクシノ邪魔ヲシテイタ女子。ナントイウ運命的な出会イデス。ワタクシガ、彼女カラ、ドレイクヲ奪エバ、自動的ニ野球の復讐ガデキルノデス。コレゾ一石二鳥、一粒デ二度オイシイッテ、慣用句ノ、パクリデスカ?トニカク、ドレイクヲ、モノニスレバ、美散サンハ確実ニ地獄行キデス、ヘルス落チデス。オーホホホッ。」
ちなみにヘルスとは、ヘルの複数形?で、たくさんの地獄に落ちるという意味である。
一方、巨人軍の寮では美散が智流美に作戦指南していた。作戦とは、当然玲駆攻略、具体的には玲駆への告白である。
「智流美、今度、恒例の遠足があるはずだから、そこでミッションを果たすんだよ。」
「わかってるわよ。いちいち念を押さなくてもちゃんとやること、やってあげるわよ。大船駅まで乗り過ごした気で待てばいいわ。」
「その例え、わかりにくいよ!」
翌日のホームルームで、男性教師が生徒に説明した。
「今年は遠足中止するから、いいな。」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・。」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
クラスの空中元素が固定された。固定化が溶解するのに、三分間を要した。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「えええ~!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
智流美もクラスメイトの悲鳴に同調していた。
無表情の玲駆の隣でエロザがほくそ笑んでいた。
この日の前日の夕方のこと。
男性教師は、学校から帰宅途上であった。
「先生、チョットダケ、オ話ガアリマス。ワタクシト一緒ニ来テモラエマセンカ。」
男性教師に声をかけたのはエロザだった。
エロザは男性教師に背を向けて、舌なめずりした。
ふたりはそのままクイーンエロザベス号に乗船した。




