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第14話 真相解明! キーワードはM!?

 前回のあらすじ。


 麗しくも神々しいわたカヤが下界の迷える仔羊達を導いてあげます!




「ごめんなさいねぇ、私もクフリさんに話を聞いたんだけど何も答えてくれなくて何も知らないの」

「そうですか、すみません。有難うございます」



「ジードのやろう家に行っても顔もあわせてくれねぇんだよ、なんか声が疲れた様子だったなぁ……」

「御協力ありがとうございます!」



「最近ジードさんの奥様道具屋でしょっちゅう何か買い込んでるわね、隠すようにしてるから何か知られたくないことでもあるのかしら?」

「うーん、おばさまありがとね!」





「やっぱり何か問題を抱えているようだけどなぁ……さっぱりわからんな」

「いろいろやってるワタシ達でさえ知らないですからねぇ」



 ぱぱっと解決してやろう!

 と、意気込んだはいいものの何が原因なのか、他の人達も揉めているとしかわからず捜査は難航していた。




 そもそもジードさんとクフリさんは無敵夫婦と、名前がしれた腕利きの冒険者達だ。

 邪竜討伐の際その血を全身に浴びた事により無敵の体を手に入れたことからついた2つ名らしい。


 数々の冒険譚に名前を残す程の実力者で常に2人が協力しあいその絆は無敵の体よりも硬いと言われるくらい仲の良い二人なはずだが。




「なあ、『アカシックレコード』で調べちゃだめなのか?」

「そんなの駄目に決まってるでしょ! 人様のプライベートをスキルで覗き見なんて、あんた罰があたるわよ!」



 探偵と称してかぎ回るのはありなのか?

 言ってしまえば楽しみに水を指すなということなのだろうが、カヤノは一応この世界の女神だ。

 苦しんでるであろう人間を放っておけないと言うのも本心だろう。



「こうなる前は単純に仲睦まじそうな夫婦だったんだかなぁ……」



 やはりどうにもわからないな、そう頭を悩ませていると道具屋からユリヤが戻ってきた。



「すいません、遅くなりました。道具屋のご主人は教えてくれなかったんですけど、どうやらお店の回復薬が殆ど売り切れているみたいですね」


「てことはクフリさんが頻繁に買い込んでるってのは回復薬か、でも無敵だからいらないんじゃないか?」

「それはおかしな話よね、でもこの街で頻繁に回復薬を買う人なんて来ないものね」



 あまりの不死身の体故についた名のだから回復薬など要らないはずだし一体何に使うのだろうか。



「今日はもう遅い、このくらいにして明日にしよう」




 辺りはもう日が暮れ始めていてこれ以上は実りがなさそうだ。

 俺達はそれぞれの部屋に戻り明日また詳しく調べることにした。



 

 やっぱりファンタジーでもこういう事はあるんだな、俺は一人ベッドの中で考え込んでいた。

 以前クフリさんに何かなやんでないですか? と声をかけたときのあの困った表情がなんとなく頭に残っている。



「ちょっと散歩でも行くか」



 頭の中のもやもやが眠気を妨げるせいで全然寝れそうにない。

 俺は少し夜の散歩でもして気分を晴らそうと街をぶらぶら歩くことにした。



 

 夜の街もいいものだ、俺がいた所では常に眩しいくらいの光があって星なんて見えなかったが、ここでは星と月だけでも十分なほど明るくてらしてくれている。


 そんな柄にもないことを考えながら歩いていると、何かを力強く叩くような音が道の先で聞こえた。



 音は街の噴水がある広場から聞こえてきた。

 何かあると、走った先には蹲っているクフリさんがいる!

 誰かが立ち去るような音が聞こえたがまずはクフリさんを!


「大丈夫ですか!」

「え、ええ、なんともないです……」



 俺が声をかけるとクフリさんはなんとも複雑な顔をして困ったように「なんでもありません」と言って去っていってしまった。



「クフリさん……」



 なんでもできるはずのスキルとステータスを持った俺だ。

 しかしこの時はどうしようもないくらい無力な存在としか思えなかった。



 しばらく俺はベンチに座り呆然としていたが、まだできることがあるはずだ、その為にはしっかりと寝て明日に備えよう。


 広場から帰ると、いつも泊まっている宿屋からなにやら揉めているような声が聞こえた。



「そんなこと言われても困ります!」

「いいからやるんだ!」



 この声はユリヤと……ジードさんだ!



「何してんだ!」

「ッーー!」



 急いで駆けつけるとジードがユリヤの腕を掴み、何かをしようとしてる。

 俺に気づいたジードは咄嗟に逃げようとしたがそうはさせない。



「ユリヤに何してんだお前! 場合によっちゃただで済まさねぇぞ!」

「お前に関係ない! 放せ!」



 必死に振り払おうとするが俺は許さず胸ぐらを掴んで壁に押し当てた。

 ユリヤは何か怯えたような態度 でこちらを見ている。

 やはり何かしようとしたんだな!

 なおも抵抗しようとするジードに俺が拳を振り上げたとき。



「違うんです! マサルさん、ジードさんは……」

「待ってくれ! 頼む!」


 

 様子がおかしい。

 俺はてっきり何か酷いことをされそうになったんだと思っていたが必死に俺を止めようとするユリヤに焦って何かをやめさせようとするジード、ちゃんと話を聞く必要があるかもしれない。



「すまない、君には勘違いさせてしまった。 女性のいる所に押しかけたらそう見えるのも無理はない」


「ワタシは何もされていません。ただジードさんが非常に困っていることがあると……」



 廊下で騒いでいると迷惑になるだろうと、俺の部屋で詳しく話を聞くことにした。

 ジードさんをよく見ると非常にやつれていて最初に見た頃のたくましさは微塵も感じられなかった。

 なぜか彼の手はボロボロで、とても無敵と言われた冒険者の姿には見えない。



「何があったんですか、流石にここまできて言わないというのはなしですよ」

「……………。」

 


 やつれた顔で下を向き、押し黙っていた彼だったが、やがて観念したように口を開いた。



「俺の体を見てくれ、酷くやつれていて体のアチコチがボロボロだろう?」

 

 そう言って腕をまくり、ズボンの裾をまくる彼の体はアチコチが何かに打ち付けられたように痣ができていた。



「近所で俺達は噂になっているだろうな、たびたび大きな物音をたて、怒鳴り声をあげていると……」


「ワタシも聞きましたが、まさか奥様にされたんですか!」



 俺達は今までジードさんがクフリさんに暴力を奮っていたので無いかと思っていた。

 しかし外に出ているクフリさんは特に目立った傷などは見当たらず、外に出ないジードさんがボロボロになっている。

 

 そう考えると辻褄があう。

 回復薬を買い込んでいるのもジードさんにつけた傷を治すため、そして家から出ないのではなく暴力がバレないように閉じ込められていると、俺達は勘違いをしていたのだ。



「ジードさん、辛かったですね……」

「わかってくれるかい……!」


「俺達は街の便利屋です! 何でもします! 正直に言ってください!」

「マサルくん! ああ、すまない、今まで誰にも言えなかったんだ……!」



 涙を流しているジードさんはとても苦しんできたのだろう。

 何が彼をここまで追い詰めたのか。

 涙を零すジードさんを慰め、落ち着くまでまつ、彼は誰かに救いを求めていたのだろう、寿命なんか関係ない、彼の力に成らなければならない、俺はそう強く思った。



「すまない、いい大人がなこんな醜態を晒すなんてな」

「いいんですよ、私達は助け合って生きていくんですから」

「そうです! 気にせず話してくださ!」



 泣きやんだあとの彼は吹っ切れたような顔をしていた。

 あの頼もしい無敵のジードの顔に戻った彼は決意を込めた表情で悩みを打ち明けた。




「妻がMなんだ」


 

 俺達は勘違いをしていた。

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