第10話 迷宮攻略! 責任者でてこいや!
前回のあらすじ。
魔王四天王が襲撃してくれたおかげで寿命がいっぱい伸びました。
また来てほしい!
俺達は今切実な悩みに頭を抱えていた。
「もうそろそろやばいわよ、どうにかしなさいよ」
「痩せてきたって、街の人に心配されます……」
金が底をつきたのである。
俺の寿命を優先させすぎた結果大したことクエストもせず、無償で働きすぎた結果ワイバーンで得た金をどんどん食い潰し、宿屋の料金を払えないところまで来てしまった。
どうにか善意でもらう野菜などで食いつないできたが、3人分の生活費は馬鹿にならず、独り暮らしの経験などない俺は甘く見ていたのだ。
「面倒くさいなぁ……」
四天王襲撃のおかげで5年とは言え寿命を獲得できたので元々自堕落な性格がたたって特に行動に移さなかった結果が今の状態なのである。
「じゃあさ、もうどっかの洞窟で雑草でも食べたらいいんじゃない? そしたら金も使わなくて住むし、あれ? これ名案じゃない?」
「ふざけんじゃないわよ! 私これでも女神なのよ! むしろ今までよくこんな生活に我慢してたものだわ! これ以上貧乏な生活するなんてゴメンよ!」
「ていってもさ、俺モンスター倒しちゃったら寿命へるしなー、お前がつけたスキルのせいで金とか作ったら金持ちになる前に死んじまうよ」
スキル『万物創造』には経済や市場価値を変えないように高価なものを生産し売り飛ばすことが禁じられているのだ。
「どれもこれも誓約、罰則てお前は俺を苦しめたいのか!」
「アンタみたいな馬鹿がムチャしないようにつけたのよ! 駄目ニートが!」
「まあまあ、落ち着いてくたさい、今はお金を稼ぐことを考えましょう」
正直お前がいなきゃもっと生活に余裕ができるんだがな。
エルフは体質のせいか魔物の肉を食べない、魔力が体に影響を及ぼしやすいのでダークエルフに変わってしまう可能性があり、エルフ達にとってもっとも避けるべき事らしい。
そのせいで安い魔物肉を買えず、清潔と自然が好きなユリヤがパーティーの中で1番金を食う存在なのだ。
だが俺は褐色エルフのほうがそそるので、こっそり食事に混ぜてやろうと実行しようとしたら俺の寿命がえげつない程削られたので泣く泣く諦めた。
「だって魔王は勇者に打倒されたしさ、正直魔王四天王は残しときたいんだよね、あいつらの被害者を助けたほうが寿命の稼ぎが多いし長い目で見ればそのほうがいいでしょ」
「ホントに屑の発想ね、アンタのご先祖様に申し訳ないわよ」
「それはちょっとどうかと思うんですけど……」
すげぇドン引きされてるが俺は気にしない、命には何ものも代えられないのだ。
ただ俺も金の問題は重く考えている。
いくら最強とはいえ腹は普通に減るし俺だって多少は裕福な生活を送りたい、だが下手には動けないので頭を悩ませていたのだ。
「あ、そうだよ、ダンジョンがあるじゃないか!」
「なるほど、お宝が見つかれば場合によっちゃ稼げるわね、それよ!」
「ワタシ、ダンジョンなんて久しぶりです! ワクワクしますね!」
初心者がいくダンジョンではたかが知れている。
俺達が目指すのは上級者がいく不可思議なダンジョンだ!
不可思議なダンジョンとは邪悪な魔法使いが作った魔力の込められたもので、たびたびその姿を代え、侵入者を拒む魔のダンジョンなのである。
そこには進むごとに強力な魔物が現れ様々なトラップがあり、最奥には魔法使いが隠した財宝があるという。
「楽しみですね! 街の人にダンジョンに行くって言ったらサンドイッチ作ってくれました!」
ユリヤが楽しそうにブラブラとサンドイッチの詰まったバスケットを振り回している。
性格がよく裏表のない彼女は俺達の中でも随一の人気をもっているのだ。
「上機嫌ね、そういえば昔パーティーを組んで冒険してたんだっけ?」
「はい! そうなんですよ、でも長い事封印されてたせいであまりおもいだせないんですよねぇ」
300年も封印されていては無理もないだろう、ムムムと頭を抱える彼女だが直ぐに楽しそうにスキップを始めた。長い事独りぼっちだったので今は何もかもが楽しいらしい。
「よし、ついたぞ、俺が先頭を行くから」
「いいんですか? 危ないですよ?」
「大丈夫よ、マサルは防御力も最高だからむしろ先頭で罠とか踏んでもらったほうが安全だからね」
ダンジョンには様々な危険がつきまとう、魔物は勿論のこと1番やっかいなのはトラップだろう。
最強の装備をつけたのに罠のせいで死んでしまい幾度となくゲームを投げた俺にはわかるのだ。
ダンジョンに入ると不思議な感覚がした、曰く魔法使いが作ったダンジョンは1つの世界であり、『転移』などダンジョンの存在を揺るがすようなことは世界の理として禁じられているようだ。
たしかにそんなことがゲームで出来たら萎えてしまうだろう、俺なら出来るかもしれないがそんなに野暮ではないし、普通に攻略することにしよう。
だが、
「へぶっ!」
「きゃー! 気持ち悪いです!」
「なにこれ! 臭っ! 臭すぎるわ!」
このダンジョンは何かおかしい。
ダンジョンといえば転がる岩や飛び出る槍などの罠が定番な筈だ。
出てくるのは生ゴミやら悪趣味な人形、得体のしれない悪臭ばかりで、出てくるモンスターもヘドロスライムやら巨大ゴキブリなど不快感MAXのものばかり。
宝箱を見つけた思ったら足が生えて逃げるなど常軌を逸している。
何とか追いつき宝箱を開け、スカと書かれた紙が入っていた時は俺ではなくカヤノが無言で叩きわった。
「きっと、きっと最後にはお宝が眠ってますよ!」
俺とカヤノが喋らなくなってもユリヤだけは健気に盛り上げようとしていた。
きっとカヤノと2人で来ていたらこのダンジョンは消滅していただろう、諦めずに攻略しようとしているのはユリヤのおかげである。
「ほら、宝箱ですよ! 何が入っているんでしょうね! 開けてみます!」
顔についた腐った肉を払う気力も無くなった俺には眩しくみえる。
しかし開けようとした宝箱はホログラムだったらしくそれに気づいた時、とうとうユリヤからも表情が消えた。




