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まずは三人です(2)

「重吾の親は『最近の子供はぁ』なんて、間違ってもわが子には言わないでしょう。重吾は頭がいいからね、親がため息をつくことなんてあるはずないもん」




 多少の皮肉を込めて言ったのだが、重吾は皮肉が通じないのか『そりゃそうだね』と笑っている。




「でも、おばあちゃんがお母さんに言ってるということは、重吾のお母さんは俺たちと同じということか?」




 健太がそう言うと、大きな画面の右端に写る健太の顔を見ながら重吾が眉を寄せた。


 左端には大笑いしている蜜芽の顔が映し出されている。


 重吾は面白くなさそうに、マウスを動かすと新聞社が運営しているニュースサイトへと飛んだ。




「ねぇ、暇なんだけどさぁ。ブロックゲームやらない?」




 たった今、大爆笑していながら暇だとぼやくのだから、一体何がどうなったら暇ではなくなるのか聞いてみたいものだ。




「いいよ。でも、ちょっとまって。今、このゲームをセーブするから」


「ゲームしてたんだぁ。ネトゲ廃人になるぞー」


「ネトゲ廃人になれるほど、パソコンに依存してたら殴られるよ」


「健太のお母さんパワーあるもんね」




 蜜芽と健太が笑っていると、重吾の声が不愉快そうに聞こえてきた。




「おい、こんなニュースがあったよ」




 そう言うと、蜜芽と健太の画面にURLが表示された。


 それをクリックすると、文字の羅列が目に飛び込んできた。




「なんだよこれ! オレは文字ばかりのサイトは好きじゃないんだから、止めてくれよ!」


「それじゃ受験勉強できないじゃない」




 蜜芽が茶化すと、『オレはスポーツ推薦で高校進学を目指すんだ』と息巻くのだ。


 幼稚園時代はお互いの学力レベルに差はなかったが、中学二年ともなると、大分レベルの差がはっきりとしてくるようだ。




「小学生や中学生が突然消える事件があるらしい。消えると言っても、帰宅しないと言うことで、その場から急に霧のように消えるわけじゃないけどね」




 重吾がニュースの解説を始める。


 いつものことながら、重吾が興味を惹かれたニュースは必ずこうして解説付きで二人に披露するのだ。




「それも少女ばかりだって」


「それって、どこの話?」




 蜜芽が記事に目を向けながら聞くと、




「オレたちの県だよ。もう、五件も起こっているそうだ」


「何で女の子ばかり狙うんだろう……。やだなぁ」


「蜜芽は心配ないよ」




 健太がやっとオレの出番だとばかりに参加してきた。




「なんで?」


「男にしか見えないから、狙われる心配はないよ」




 蜜芽の画面に満面の笑みの健太が映し出され、別の枠には笑いを堪えている重吾の顔が映し出されていた。


 重吾と健太の画面には、眉を吊り上げた蜜芽が鬼のように一点をにらんでいる顔が映し出されている。


 不穏な空気を読めないまま、自分の言葉に酔いしれる健太と、この後の展開に恐れをなしている重吾の顔が蜜芽の画面に映っていた。


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