A Curse for a Cure
ドアがゆっくり開いた。
誰かが隙間から覗いてきて、その瞬間、俺は怪物を見た。
左を見るとユミがいたけど、あんな状態のユミは見たことなかった。親友の俺でも説明できないくらいだった。先生は立ち上がって叫んで、いきなり戦いに突っ込んだ。
その瞬間――バン!
心情の糸みたいなものが先生の頭を貫いた。即死だった。
部屋の隅にいた少年の顔を見た。完全に怯えてた。
これは間違いなく人生最悪の日だ。
ユミのことも、どう説明すればいいか分からない。
みんなパニック状態だった。
逃げなきゃ。
いや、逃げるしかない!
男はゆっくり少年に近づいていく。
先生は床に倒れていて、頭から血が流れていた。目もおかしくて、まるで何かに取り憑かれてるみたいだった。その言葉すら口にしたくなかった。
男の周りには心情が漂っていた。
その時、ユミが急に立ち上がって、膝をついて男に必死に頼み始めた。
それくらい追い詰められてた。
最悪だ。俺は本当に運が悪い。
誰か助けてくれよ……助けてくれ。
ユミは必死に頼んでたのに、男は無視して少年の方に行った。
俺は震えて、泣いてた。
もう希望なんてなかった。
本当に、何もなかった。
男はユミを完全に無視してしゃがみ込んだ。
ポケットから何かを取り出した。バーみたいなやつ、チョコだった。
それを少年に差し出した。
小さく何か言ってたけど、よく聞こえなかった。
たぶん「食べれば生きる」みたいなこと言ってたと思う。
少年は怖がって拒否した。
でも結局、震えながらチョコを受け取って開けた。
ユミが戻ってきて、俺の腕を掴んだ。
「ヒカリ、今すぐ逃げよう…お願い、怖い」
俺は何が起きてるのか全然分からなかった。
少年が一口食べた。
息が荒くて、それを見てたその瞬間――
バン!!!
血が飛び散った。
なんで!?
ユミも俺も叫んだ。
何が起きたか理解できなかった。
少年を見た。
頭が……なかった。
思考が止まった。
心臓が一瞬止まったみたいだった。
何も聞こえない。
ただ静寂だけ。
ここ現実か?
俺もう死んでるのか?
そう思った瞬間――
またバン!!!
今度はもっとデカい音だった。
男が少年の体を掴んで地面に叩きつけた音だった。
俺はもう限界だった。
心臓が壊れそうだった。
少年はそこに転がってた。
頭もなくて。
もう何も感じなかった。
男がこっちに歩いてくる。
不安がどんどん膨らんでいく。
死ぬ。
マジで死ぬ。
男がしゃがんで言った。
「血が欲しい」
俺は小さな声で言った。
「お願い…逃がして…ちゃんといい子にするから…親もいないし…お願い…」
なんであんなこと言ったんだろう。
ユミが俺の手を掴んで、無理やり立たせて走り出した。
俺は転んだけど、すぐ立ち上がった。
でも体が引っ張られる。
動けない。
男が言った。
「まだ行かせないよ、お嬢ちゃん」
押しても無理だった。
その瞬間、ユミは手を離して一人で逃げた。
……は?
最悪の状況で、友達に捨てられるってあるか?
なんで俺なんだよ。
俺、悪いことしてないのに。
最低だろ。
もう誰も信じられない。
男が戻ってきて、俺の手を掴もうとした瞬間――
ドン!!!
ドアが吹き飛んだ。
誰かの叫び声も聞こえた。
振り向くと――校長だった。
マジで救われた気分だった。
でも正直、もっと早く来てほしかった。あの子、もう……
それでも、今までで一番安心した。
校長は影みたいな雰囲気で剣を持って立ってた。
一瞬で距離を詰めて斬りかかった。
男は心情で防いで後ろに飛んだ。
でも次の瞬間、校長がしゃがんで突っ込んで――
男の足が切り落とされた。
終わりだと思った。
校長は無表情で男を見下ろしてた。
男は「なんでだ…こいつ俺より強いのか…」みたいな顔してた。
でも次の瞬間――
首が飛んだ。
完全に。
俺は理解した。
校長は何かを知ってる。俺が知らない何かを。
その瞬間、俺は全部どうでもよくなった。
この施設なんて大嫌いだ。
ユミももうどうでもいい。
窓が見えた。
俺は校長が見てない隙に、外に飛び出した。
走った。
とにかく走った。
窓をぶち破って、転んで、それでもまた立って走った。
街に続く道が見えたから、全力でそこに向かった。
校長は追ってこなかった。
あの場所は夢みたいだった。
いや、悪夢だ。
思い出したくない。
夢なんて嫌いだ。
幸せな生活を思い出させるから。
……まあいい。
目の前に「心情アカデミー」って書かれたデカい建物があった。
夜だった。
暗くて、人もほとんどいなかった。
ドアを開けたら、普通に開いた。
警備もいない。
中に入ると、誰もいないのに電気はついてた。
なんか妙にあったかかった。
教室を見つけて、すぐ入った。
中はめちゃくちゃ散らかってた。
クローゼットを見つけて、中の服を全部床に投げて、その中に入った。
寝ようとした。
でも無理だった。
怖い。
まだ誰か来る気がする。
また殺される気がする。
それでも無理やり目を閉じた。
俺は助かったのかもしれない。
でも同時に、呪われた気もする。
ユミは失った。
でもこの場所を見つけた。
ここが救いだといいけどな。
…本当に。




