93.
勇者「小部屋だ」
僧侶「いわゆる中ボスの部屋のようですね」
魔法使い「いわゆるって何よ、知らないわよ」
勇者「奥に何かいる……」
魔法使い「ガーゴイル系統か、厄介ね」
僧侶「その後ろに上への階段がありますから……」
勇者「なるほど、やることはシンプルだね」
魔法使い「残り魔力少ないけど、頑張るか……」
勇者「安心して。無茶はさせないよ」
魔法使い「勇者……」
勇者「だけど、僕も疲れてるんだよね」
魔法使い「勇者?」
勇者「なので、ここは誰も疲れない方法で突破します」
僧侶「疲れない方法、ですか?」
勇者「うん。幸いなことにまだ気づかれてないみたいだから――」
魔法使い「中ボス、未発見、嫌な予感がしてきた」
勇者「屈んで端っこを通りましょう」
魔法使い「やっぱり‼」
僧侶「わぁ、懐かしいですねそれ」
勇者「あの時は失敗したけど、今はほら、ね?」
魔法使い「……不謹慎よね、それ」
僧侶「あ、あはは……」
勇者「ともかく。気を引き締めるよ!」
魔法使い「心が疲れるのよねコレ……」
僧侶「隠密の加護もしておきますね」
魔法使い「盗賊ならいけるのかしらね……」
勇者「ほら頭を下げて、見つかるよ」
魔法使い「相変わらずバカみたいな作戦……」
僧侶「部屋も小さいですし、いけそうですね」
魔法使い「奇跡的に動かないものね、アイツ」
勇者「ガーゴイルに感謝だね。ほら階段」
僧侶「まさか、本当に行けてしまうだなんて……」
勇者「動かないことに感謝だね」
魔法使い「なーンか納得いかないのよねーッ」
魔法使い「やっぱりアタシは、魔物に感謝はできないわ」
魔法使い「……動かない魔物よりも」
魔法使い「こうやって、動くニンゲンに感謝したいから……」
魔法使い「ほら、また蹴った」
勇者「本当だ」
魔法使い「ふふっ、動くことに、感謝よね」
死まで、あと8日




