56.
僧侶「ここが魔法学校ですか~」
戦士「今は魔法訓練をしてるらしいぞ」
生徒「――!」
生徒「……!」
生徒「――……‼」
戦士「無言なのは不気味だがな」
勇者「……あの、これはいったい何を」
先生「これは勇者様。今はですね、詠唱訓練をしております」
勇者「無言で杖振ってるだけにしか見えないんだけど」
先生「詠唱破棄の訓練ですからね」
勇者「エイショーハキ?」
先生「――魔法は速度の時代!」
戦士「うわっ何だ急に」
先生「急速に進行するタイパの波! それは魔法とて例外ではない!」
先生「かつては長い詠唱ほど強いという時代もありましたが……」
先生「より早く、より効率的に! 今はそういう時代なのです」
僧侶「魔法にも時代の波が来ているのですね……」
戦士「何だか世知辛い話だな」
勇者「でもみんな、かなり苦しそうだね」
先生「無詠唱は、大人でも苦労する方法なのです」
勇者「それを生徒に?」
先生「やはり時代はタイパですから!」
勇者「うーん」
戦士「門外漢だが、なんとなく忌避感があるなぁ」
先生「門外漢なら黙ってくれませんか」
戦士「すみません」
先生「……ですが、魔法とは言葉の体系でもあります」
先生「それなのに詠唱を捨てるというのは、邪道もいいところです」
僧侶「では、なぜ教えるのですか?」
先生「……強いて言うなら、時代が我々にそうさせているのでしょう」
生徒「先生! できました!」
先生「おおそうか、少し待っていなさい」
先生「……そしてこの子たちは、そんな時代を当然として生きている」
先生「……変えるべきか、変わるべきか」
先生「教壇では、常にそれが問われている気がしますよ」
死まで、あと45日




