30.
僧侶「ふぁああああああ~」
魔法使い「情けない声ね」
僧侶「秘境の温泉ですよ、情けない声も出ます~」
魔法使い「まあ、気持ちは分からなくもないわ」
僧侶「竜の討伐も無事終わりましたしね」
魔法使い「でも船の修理の都合上、しばらく滞在することになりそうよ」
僧侶「私は大丈夫ですよ、温泉があるので~」
魔法使い「相変わらず、のほほんとしてるわね……」
僧侶「魔法使い様も、肩の力を抜いてはいかがですか?」
魔法使い「お生憎様。アタシは魔物への恨み一本で勇者パーティやってるから」
僧侶「そうですか、何だか寂しいお話です」
魔法使い「……そう言うアンタこそ、もうちょっと危機感持ったら?」
僧侶「危機感、ですか?」
魔法使い「見たでしょ、この建物の改修中の文字」
僧侶「確か、魔物の被害でしたよね」
魔法使い「こんな島でさえ魔物の被害が出てるの。悠長にしてられないわ」
僧侶「……それでも」
魔法使い「ん?」
僧侶「それでも私は、今この時間にある楽しさを、見ないフリしたくないです」
魔法使い「……はあ。それは、殊勝なことだわね」
僧侶「私はもっと、魔法使い様に笑っていただきたいのです」
魔法使い「魔王が死ねば、アタシも笑うようになるかもね」
僧侶「……むー」
魔法使い「何よ」
僧侶「えいっ」
魔法使い「アッツ! 何考えてんのよ!」
僧侶「このお湯は美肌効果もあるらしいですよ」
魔法使い「だからっていきなり顔面にぶっかけるのは話が違うでしょう、よ!」
僧侶「キャッ! っもう、私も容赦しませんよ!」
魔法使い「望むところよっ!」
勇者「いやーまさかここに温泉があるな、んて――……?」
僧侶「……。」
魔法使い「……。」
勇者「ま、間違えちゃったッ⁉ ご、ごめん二人ともバイバイ!」
僧侶「……。」
魔法使い「……。」
魔法使い「――どうする?」
僧侶「――とりあえず、回復魔法の刑でしょうか」
魔法使い「もう刑罰認定してるじゃないのよ」
死まで、あと71日




