20.
戦士「気になるあの子に恋文を渡してくれ、か……眩しい依頼だな」
勇者「かわいい便箋だね、頑張って用意したのかな」
魔法使い「こういうのは自分で渡しに行くものでしょ」
僧侶「私はあの男の子の気持ち、わかりますよ。恥ずかしいんです」
戦士「懐かしいな、俺も恋文を書いたことがあったな」
勇者「え、戦士も恋愛したことあるの?」
戦士「まあな」
僧侶「戦士様、確か奥様がいらっしゃったんですよね?」
魔法使い「……えぇっ⁉」
戦士「よく知ってるな、前に話したか?」
魔法使い「ちょっと! どうしてこんな旅に参加してるのよ!」
戦士「どういう意味だ」
魔法使い「だって。――生きて帰れるか、分からないのよ」
僧侶「魔法使い様……」
戦士「――ダァッハッハッハ! やっぱお前、ガキだな!」
魔法使い「ちょっ、頭撫でないでよ!」
戦士「いいか? 分からないんじゃない、帰るんだよ」
戦士「ガキ共、お前らに大事なことを教えてやる」
勇者「なになに?」
魔法使い「……なによ」
戦士「俺の故郷、ガルゴンに伝わる冒険の大原則だ」
戦士「――いのちだいじに」
勇者「あ! 何か聞いたことある」
戦士「ガルゴンと勇者は関わりが深いからな」
魔法使い「それが、何だって言うのよ?」
戦士「大したことじゃねぇさ。帰るべき場所に帰る、そういう心構えだ」
魔法使い「何よそれ……」
僧侶「……魔法使い様、少しお耳を」
魔法使い「ん?」
僧侶「戦士様、数年前に奥様を亡くしているそうです」
魔法使い「えっ⁉」
戦士「おい僧侶、余計なことは言うなよ」
僧侶「ふふ、もう手遅れかもしれませんね?」
勇者「ねえねえ! 皆で何の話してるの?」
戦士「何でもねぇよ。さ、冒険を続けようぜ」
僧侶「そうですね、疲れたら私が癒して差し上げますから!」
勇者「僧侶の回復魔法、チクチクするからイヤなんだけど……」
死まで、あと81日




