Log02:効率の障害
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さぁて、今日も億劫な学校に行くとしようか。
ん?なぜ僕がこんな生産性のない学校に通うのか?
そんなもの、未来への投資に過ぎない。
先述のように、高校はゴミだ。
特に専門的に学ぶことなどない。
でもな、高校でいい顔をしているといいことがある。
それはいい大学に行けること。
大学は専門的なことを学べる。
つまり、それは効率がいいのだよ。
それに気づかないバカは、今日も学校学校と力を分散し続けている。本当、どうしてそんなことできるのか。
もっと効率を求めないのか理解に苦しむな。
「おい如月、おい!」
おっと、篤ではないか。存在感の薄さで気が付かなかった。
「んだ。何か用か?」
「それはねぇだろ。孤立してるお前に、俺は話しかけてやってんだぞ?」
孤立している俺を、気遣っているとでもほざくのだろうか?
はぁ、わかってない。
イヤホンで聞こえてないふりでもしておこう。
今は資格の解説動画を聞いているのだよ。
「…。」
「はぁ…。聞こえてないのか知らんが、本当に後悔するぞ?」
心底イライラするやつだなこの野郎は。
僕が権力を持ったなら、お前は真っ先に退学させてやるからな。
「なぁ、うるせぇんだけど。用がそんなくだらないお説教なら、さっさと終わらせて気持ち良くなって行ったらどう?自分の都合で他人の効率を奪うのは、犯罪のようなもんだぞ。」
「あーっそっかよ。お前が心開くのはいつのことやらな。」
で、篤は睦月準むつきしゅんの方へ走って行った。
もう初めからそうしとけよ。
僕は何があろうとお前と正当な位置で話すことはない。
ずっと、ずっと僕の方が上。
そんなことを考えてると、前にコンビニが見えてきたわけだ。
僕はそこへ入る。嫌だった。なぜって?
今日、あのバカ親は弁当を作ってくれなかった。
だから僕は今日このような下等な場所で食物を漁り、それを買わなければならない。
全部あの非効率な親のせいなわけなんだが。
どうしてくれようか。
「あれ、如月くんじゃん。」
後ろから声をかけてきたのは沙羅だった。
「は?なに。」
「珍しいね。こんなとこに。」
なんだか見下されている気がする。
なんでだ。見下すのは僕だろう。
いつもこんな下等な物を貪るお前と、僕は違う。
「それ、バカにしてんの?」
「ふぇっ!?そんな!そんなつもりないよ!」
間抜けな声出しやがって。
同じ酸素を吸いたくない。
「もう行っていい?」
「…うん。」
また時間が奪われた。
僕の1分とお前の1分の違いは、未来どちらが役立つかだろ。
僕の方が役立つんだから、お前に僕の時間を奪う権利はない。
さっさとレジに着いて出て行ってやる。
「はい。こちらとこちらと…」
ああ、もう鬱陶しいな。さっさと会計ぐらいしろ。
「もっと早くできないんすか?ああもう。」
「…すみません。」
は?なんで少し濁った?僕、間違ってる?
遅い会計を急かすのはダメなのか?なあ?
「いいから早くしろよ。」
イヤホンしながら、僕はそう言ったさ。
なのにそいつ、手つきが変わらない。
「あのね、ほんと生産性がないですね。お前の心が貧しいからじゃないすか?」
事実だろ。無能は心が発展途上なんだよ。
まあ、そんなの甘やかしに過ぎない。
バカはバカ。それだけ。
「…合計2134円になります…。」
「は?高。あと、それだと日本語おかしいから。2134円です、な。そんなんだからコンビニ店員なんすよ。」
はぁ。こんなこともわかんねぇのか。
と思った時、周りが僕を見つめている。
哀れみのような、そんな目だ。
許せない。僕は日本の未来だぞ。そんな目でみるなよ。
…いやここでキレても何も変わらないか。
「なんか文句ある?」
なんだよ。そんな目で何かを見る暇があるなら仕事しろよ。
所詮雑魚だな。今ので済ませてやる。
「あ、nuica で。」
僕はそれで財布を出したさ。
そしたら、こう言われた。
「すみません、当店はnuica 使えなくて。」
「…は?」
僕はいつも現金を持ち歩いてなくて。
合理的な会計を求めた結果、一つの電子マネーに全部入れとくことにした。nuicaは今、日本で最も流通してる電子マネーだと聞いたのだが。
「すみません。現金などございますか?」
なんだと?その立場で僕に頼み事でもしたのか?
ふざけている。
「ねぇよ。どうにかできねぇの?」
「無理です。」
なんという無能さ。なんだこの店は。
だから売り上げも上がらずに廃れてくんだろ。
くそが。
「じゃあどうしろって?」
「すみません。順番譲ってもらって、退店していただけますか?」
「…は?」
僕はもう、その時頭の中で沸騰が抑えられる気がしなかった。
でも思ったのさ。ここでキレ散らかしたら、それこそ生産性の欠如。これに気づけるぼくは、やはり格が違う。
「あっそうかよ。」
せめてもの洗礼、いや教育として会計の台をぶっ叩いて出てきてやったさ。
これで、昼飯は無くなったわけだ。
なんの時間だったのか。
こんな、こんな時間ばかりなら死んだ方がマシだ。
背中の目線が刺さってるように感じてより不快だ。
さて、通学路を歩くのも一苦労。
だけどよく考えてみてくれ。
よく考えたらこの工程は、僕の足を鍛えている。
その点にだけは敬意をしてしておこう。
いやそれはないか。僕が尊敬するのは効率と生産性だけ。
「おはようございます!」
またいるのか。挨拶委員会。
「はいはい。」
冷たく返事でもすれば、相手もこれが非生産的だと気づくことだろう。
僕は捌いている。無駄を、誰かの甘えを、全て捌く。
そんな存在になればいい。
「おい如月。お前今日朝文化祭の準備するって言ったよな?」
ああ雄志か。まさかそんな話があったとは。興味なさ過ぎて聞いてなかった。
ちょうど今日から、文化祭の準備が始まるらしいな。
でも、僕がそれに参加するわけないだろ。
ただ楽しいだけ。それになんの生産性があるのか。
「なんだよ。この僕に手伝って欲しいのか?」
「ああ…まあ、人手はあった方がいいかなって。」
なんたる傲慢。
この僕に頼み事ひとつするのに、頭を下げることもできないのか。言ってやろう。
「なに、頼む時は頭下げるとかあるじゃん。…ないん?」
僕は人差し指で地面をさした。
当然だろう。太古から下賤は王に跪く。
そう決まっている。
「ねぇよ。手伝ってよ。」
…!なん…だと。こいつ、なんたる無礼。
一瞬頭の中の言葉すら詰まってしまった。
「立場とかわかってる?なあ。」
「は?立場?生徒と生徒じゃなくて?」
違うだろ。
そんな小さな枠でしか世界を見ることができないのか。
まさに愚の骨頂。
「もういいよ。去れ。」
「いややだよ。いいから手伝え。人手がないの!」
そんな強い口調を使いやがって。
更新だ。僕が権力を持った時、真っ先に切る首はこいつだ。
「具体的に何するのさ。」
いいだろう。これがチャンスだ。
くだらないことだったら、すぐに教室に駆け込んでやる。
「そーだな。誠にやってもらうのは…」
なぜ確定事項なんだ。クソめ。
「そうだな。ダンボールで看板作ってもらうとか。」
は?何が起きるか教えてやろうか?
無能が集まっている、つまり失敗する。
「はぁ、くだらね。じゃ。」
そう、僕は背を向けた。
「あ、おい!」
「ちょっと雄志!無駄だよ。」
雫の声がしたな。男にしか脳みそがないと思っていたが、無駄だとそう言ったか。少しは頭が使えるようだな。
「でもよ。さすがに…」
「いいんだよ。自ら孤立を選ぶ彼が、そんなに必要?」
なに?それは聞き捨てならない。必要だろ?
この世に僕が不要なものなど、犯罪以外何もない。
「黙れよ。お前みたいに男に必要とされるんじゃなく、僕は世界に必要とされてる。というか、お前みたいな人で態度を変えるやつ、まじ嫌われるからな。そういうの、まじ信用ならねえ。」
「…ひどい…っ。」
人にやって態度を変える奴はダメだ。
信用どころか人間としてなってない。
その点僕はどうだ。
全ての人間に同じ対応を施しているではないか。
くだらない。
そんなに僕に手伝って欲しいなら、
この文化祭を通して価値を示してみろよ。
僕は…そうだな…ま、ほぼ何もしなくても格の違いは出る。
クソみたいなイベントを、僕が華やかに傍観してやろう。
———しかし彼は知らないのである。
この文化祭が、この出来事が。
彼の人生を狂わせる導火線だということに。
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