移り行く雲
「雲って綿菓子みたいだけど、実際は凄く汚いんだ」空を見ながら呟く僕に、隣の彼女は「あはは」と笑いながら突っ込んだ。「夢くらい見させてよ。現実的だなぁ」彼女の方を見ると、その目は遠くの蒼穹を見据えていた。僕も再度、永く続く水平線と、直上に広がる蒼穹を見た。綿菓子のようでもある雲が、刹那一つの形になり、また別の形になり、留まること無く変形して流れていた。「でも、ああいう不思議な物でも科学的に証明できると、何だか夢が広がらない?」僕の問い掛けに彼女は直ぐに返答できなかった。「どういうこと?」彼女は問い返してきたので、僕は人差し指を振りながら答えた。直ぐ隣から視線を感じた。「つまり、他にも不思議なことが現実にあるかもしれないってことさ! 例えば、翼の生えた馬とか、君の身長の何倍もある雪男とか」最後には彼女の方を見た。彼女の目の輝きは、どんな宝石よりも煌びやかだった。「成程! もしかしたらあの雲みたいに、形も居場所も留まらないで、ずっとずっとあり続ける物も、他にあるのかも!」彼女の発言で、僕の目は見開かれた。蒼穹を見てふっと微笑むと独り呟いた。「居るよ」彼女の笑顔が忘れられない。
ずっと変わらず、そこに。
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