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不可能なこと
「完璧な球体って存在しないんだって」僕がそう言うと、目の前の彼女は片眉を上げながら訊いた。「急に何だよ」彼女に僕は微笑んだ。「いや、別に何も無いけど、急に思い出して」彼女は、ふうん、と興味無さそうに鼻を鳴らし、隣で踏ん反り返った。手を後頭部で組みつつ、適当に言葉を発する。「ボールも地球も球体じゃないのか?」広場で数人の子供の手を往来するボールは、一つの歪みも無い球体に見えた。「こう見ても歪んでいるようには見えないよ。でも、実際は僅かに凹凸があるんだ。地球は洋梨に近い形をしているらしいし」再度、彼女は退屈そうに「へえ」と相槌を打ったのちに、続ける。「つくってみてえな」そう呟く彼女に僕は「多分、どうやっても不可能だけど」と付け足す。彼女は鼻で笑いながら、言った。「夢が無えな、不可能なことほどしたくなるもんだろ?」僕は彼女の横顔を見て、微笑んだ。「──そうだね」
できないと言われたら、証明したくなるものだ。
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