ドーナツの穴
「ドーナツの穴……?」コンピュータの前に座り、ネットサーフィンをしていたときのことだ。ネットショッピングブラウザをウィンドウショッピングの感覚で楽しんでいたのだが、一つの商品が目に入って離れなくなった。ドーナツの穴という商品名と共に出品された商品。イメージ写真にはドーナツの中央部が拡大されて載っており、商品説明欄には『※実際の商品にはドーナツは付いておりません』と添えられていた。少々余談だが、証拠品があることを証明することは容易だ、それを目の前に持ってきて見せれば良いのだから。だが、無いことを証明するにはその他の「有」全ての存在を証明しなければいけないため、不可能に近い。ドーナツの穴とは正に「無」の象徴だ、本当にそんな物が存在せし得るのだろうか……。疑問と期待を持ちながら、マウスのボタンをクリックした。後日届いた箱は軽く、受け取って開かんとするそのときまで、謎の緊張感が鼓動を速めた。額に入れて壁に飾ってあるのが、そのとき届いた『ドーナツの穴』と筆で書かれた横長の紙切れだ。
有る物は証明するのが簡単だから。
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