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9話:巨大台風の弱体化作戦2

 台風の聖女作戦は、その後もはかばかしくなかった。1969年に熱帯低気圧制御実験が成果を出したとはいえ以後の実験はあまり進んでない。その理由は、いろいろな制約があり実験に適した熱帯低気圧の数が少ない事。この種の実験で進路の急変など思わぬ結果が出ることを懸念する意見があるためだ。熱帯低気圧をの制御方法については各国の利害調整等が非常に難しく、各国の利害関係はおろか同じ国の中でも、いろんな意見があり、まとめることが難しい。台風は災害をもたらすだけでなく貴重な雨をもたすという面もあり、常に不要のものではないからだ。雨を望んでいる人にとって途中で雨を降らせる行為は本来は得ることができた雨を盗まれる事になる。


 台風の制御は技術開発という難しい問題があるが、それ以上、どのような制御方法が望ましいか意見集約が難しい。台風の制御が実現すれば防災上はかりしれない貢献をするが難しい問題だらけで時間がかかる。従って現状では熱帯低気圧の予報精度を上げる研究、その精度をあげた予報を活用する研究に主眼がおかれています。また、いずの対策にも莫大な費用がかかり、そう簡単に実行できるというわけには行かないと言う問題も大きい。なかなか巨大台風に対する人類の挑戦の切り札となる作戦は、その後、世界中から聞こえなくなっ2010年、三重県桑名市の鋼構造物設備会社、伊勢工業が台風が進む海域に潜水艦を出動させ、海中の低温水をくみ上げ海面水温を下げることで勢力を弱める構想をまとめ、このほど日本とインドで特許を取得した。海面水温が高いと台風の勢力が維持される事に着目して考えた模様。この会社は伊勢工業で2006年1月に日本と米国、インドの3カ国で申請、今年7月に日本とインドで認められ近く米国でも認められる見通しという。


 特許は「海水温低下装置」という名称で潜水艦の両側に長さ20メートル、直径70センチのポンプ付き送水管を8本取り付けたうえで、水深30メートルから低温の海水を海面にくみ上げる仕組みだ。発案者である同社の北村皓一社長84歳によると潜水艦1隻当たりの送水能力は毎分480トン。潜水艦20隻を台風の進路に配備すると1時間で周辺海域5万7600平方メートルで水温を3度程度下げられ、台風の勢力を弱められるという。茨城県つくば市の気象研究所などによると台風の発生には海水温が25から26度以上である事が重要な条件で勢力を維持するには27度以上が目安になる。同研究所は今回の特許について「現状では台風の進路予想の精度などに課題もあるが、理論上は台風を小さくすることが可能」と評価している。北村社長は、これまでも水道管の漏水を内部から補修する「内面バンド」など約30件の特許を取得しているが、特許使用料などの対価は求めてこなかった。今回の特許も構想に対する公的機関のお墨付きを得るのが目的と話している。


 何か、巨大台風の弱体化対策についての情報が少なくて、不満が残るので、少しでも、希望をも持ってもらう意味で、現在、考えられてる。巨大台風を止める7つの方法について書くことにする。大型台風の発生数は過去30年で2倍になり更にその数が増えてる。台風が1秒間に放出するエネルギーは長崎型原発の10倍以上。私達人間には手も足も出せない相手。もし台風の被害でこうむる数10億ドルの損失を事前の対策費に使えば、巨大化する台風を止められるだろうか?。止められないという科学者が多い中で、何人かは止められると考えている。


 現在課学者や発明家、気象学者などから台風を止められるという多くのアイディアが提示されている。それらの中からもっとも有望な7つを取り上げる。そのうち3つは海上での計画。1つ目はジョンソン・スタントンの液体窒素の噴射。2つ目はウラジミール・プドフ、化学薬剤による膜の生成。3つ目はフィル・キチルの深層水の汲み上げで表面海水温を下げる方法。他の3つは空中からの計画。4つ目がウイリアム・グレイの炭素微粒子の煙。5つ目が、ジョー・ゴーデンの雲へ種の散布、6つ目がロバート・ディケルソンのレーザーによる放電作戦。7つ目がロス・ホフマンの宇宙空間からマイクロ波を照射する方法だ。



 台風は熱力学で説明できる自然現象だ。まず海水温が26℃以上になると海水がどんどん蒸発し熱風となって上空に吹き上がる。地球の回転によって熱風は渦巻きになり中心に下向きの風が吹く真空の目ができる。するとより多くの湿った空気がアイウォール「目の壁」の雲に飛び込んで雲を厚くする。この時に風速は80m以上になる。科学者達は原因を断定したがらないが、この10年間に台風の発生頻度が増し大型化が進んでいることは疑いもない事実。2005年はアメリカ史上最大の台風の当たり年で最大級に位置づけられるカテゴリー5が頻発、甚大な被害が発生した。台風が消滅するには、そこに蓄えられた熱が発散されなければならない。その熱は陸地との摩擦や陸上の乾燥した空気が奪ってゆく。もし台風から熱の元、つまり湿った海水やその海から盛んに蒸発する湿気などのエネルギー源を奪い取ることができれば台風を弱められるだろう。問題は人の手でそんなことができるかどうか。


 凶暴な嵐の雲の下に広がる海面が考える出発点。フィル・キチル、

「カトリーナがあった年の春、妻と私はジャズフィスティバルに行った。ニューオリンズに友達がいた。ところがその友達と娘がカトリーナで家をなくし、私の家に2ヶ月ほど避難していた。その内他の台風もきて何とか方法はないか考えた。すると深層水という深い海の水は表層よりはるか冷たいことを思い出し今ある技術で汲み上げることにした。」


 フィル・キチルのアイディアはこうだ。台風の進路を遮るように100万個のポンプを浮かべる。そして冷たい深層水を海面に汲み上げて台風のエネルギー補給を抑える。キチルは早速貯金をかき集め、投資者を募りプロトタイプをテストするために海に向かった。


キチル

「これが150マートルの深さに沈める装置。構造は単純で底に蓋がついたバケツのようなもの。波で下がった時に底のパルブが開き、中に冷たい深層水が入ってくる。次の波で持ち上げられると、バルブが閉じてその波の高さだけ水も持ち上げられる。これを繰り返すと冷たい水がホースの中をどんどん上に上がってきて、そのうち海面につく。そしてブイの口から流れ出して海面を冷やす」。


ウイログビ

「問題は深層水は冷たく海面の水より密度が高くて重いので上まで上がってこられないだろう。」ウイログビは水を冷やせば台風を弱くできるという考えには賛成だが、このポンプでは冷水を汲み上げられないか、あるいはポンプ自体が嵐で壊れてしまうだろうと評価した」。

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