5話:太陽光発電と日本の政策
京都議定書において、日本は1990年の数値と比較して温室効果ガスの排出を6パーセント削減する事を世界に約束した。紆余曲折はあったものの京都議定書は2005年に正式発効し日本でも数値目標を達成するために「マイナス6パーセントキャンペーン」が展開され。二酸化炭素排出を
削減するには二つの方法が有効。一つは二酸化炭素を吸収する森林の機能を強化する事、そしてもう一つは石油など化石燃料の使用を減らし新たな二酸化炭素排出を削減する事。太陽光発電はこの後者に対して大変有効なエネルギーであるため電力事業者に対し発電に利用するエネルギーに占める新エネルギーの比率を高める目的で特別措置法を制定した。
加藤機械の太陽熱温水器の設置台数が1997年で、最盛時1980年の7分の1まで、落ちてしまった。そこで、営業部隊の人数も3分の1に減らしたが、仕事が減り、困っていた時、地元や山梨で注文住宅を作っていた宮下工務店が、住宅用品大手器用の傘下のローコスト住宅のフランチャイズとなり、そこで特徴のある格安住宅を考えていた時に太陽光発電パネルとソーラ・システム付きの住宅をつくろうと考えた。そして、その話を加藤機械に持ちかけた。そして、現在、注力している、モデル住宅、総2階の建坪40坪の3LDK1300万円に太陽熱システム100万円で1400万円、太陽熱システム+太陽光発電システムで1600万円、総2階の建坪50坪の4LDK1600万円に太陽熱システム100万円で1700万円、太陽熱システム+太陽光発電システムで2000万円で販売していきたいと提案した。
この宮下工務店とのタイアップによる説明会に山倉光男が出て行き加藤機械のセールスマンを山梨県内の宮下工務店の展示場4ヶ所に2人ずつ貼り付け、相談会に参加させた。すると、この時期、ネットバブルの最盛期で株で儲けた人達が太陽光発電パネルとソーラ・システム付きの住宅の販売が増えてきて、特に売電による収入、ローンを借りての売電のメリットを十分に説明していた。また、モデル住宅での太陽光発電や、床暖房のテストも土日には開いて、お客さんを取り込む活動を接客的に続けた。
NEDOと呼ばれる独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構はニューサンシャイン計画策定時に新エネルギー開発推進のために発足しており太陽光発電技術の開発や利用促進について、現在でも中心的な役割を果たしています。NEDOは太陽光発電の普及をさらに進めるためには技術面でのさらなる発展が必要であると考えており、太陽電池のモジュール効率や寿命の向上、またモジュールや蓄電池などの製造コスト低減に関して具体的な数値目標を提示しています。そのためには広く開発能力やアイディアを公募することが有効であるとして
「革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発」の公募を開始。
「革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発」の公募制度は、これまでの概念にとわられない発想やアイディアによって、NEDOが掲げる数値目標を達成しうる研究機関に対しては委託研究の形で研究費を負担するという制度。
これは現在太陽電池や太陽光発電の分野において世界をリードしている日本が、さらに今後も世界をリードし続けることが出来るようにするための国家戦略。2002年にRPS法の成立した。日本語に訳すと「再生可能エネルギー利用割合基準」となる。電機を供給している電気事業者に対して、需要家に供給・販売している電力量の一定割合を新エネルギーで発電された電力でまかなうという基準を定め、それを義務づける制度。つまり、これ迄のような火力や原子力などの資源に依存していた発電だけでなく、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電を一定割合以上含んでいなければならないということ。RPSの基準をクリアするためには電気事業者は自ら太陽光発電所や風力発電所を設置して一定割合以上の電力を、そうした再生可能エネルギーの発電所で得るという方法が考えられた。また一方で系統連系という方法を用い、各家庭に設置された太陽光発電システムからの余剰電力を購入することによっても可能となる。
結果としてRPSは電気事業者及び各家庭において太陽光発電などの再生可能エネルギー発電を促進する効果が期待できます。2007年の日本の太陽光発電の現状はサンシャイン計画やニューサンシャイン計画などの成功により日本は世界に先駆けて太陽光発電システムを順調に開発し導入してきた。当初は石油の代替エネルギーとしてエネルギーの安定供給を目的としたものだったが地球規模での二酸化炭素削減やクリーンエネルギーへの需要が高まった結果、日本の持つ太陽光発電技術が大きく注目された。積極的な研究開発、そして普及促進のための助成制度などが功を奏し太陽光発電分野において日本は生産量、設置数ともに世界一の地位を守り続けた。
ところが、その地位に異変が生じた。太陽光発電システムの生産量こそ日本が依然として首位を守っていますが設置数においてはドイツが日本を追い越した。ドイツと言えば欧州最大の経済大国で、なおかつ早い時期から環境問題への意識が非常に高い国として知られている。ドイツはその、お国柄通りに、太陽光発電を再生可能エネルギーの中核となるエネルギーとして積極的に導入し、遂には日本を追い抜くほどの普及を果たした。一方の日本では、国の助成制度が終了したことによって設置数の伸びがマイナスに転じるなど普及促進に課題を残している。