第二章 『星子』
「ここは……」
目を開くと広がる視界と共に桃色の髪が頬を撫でる。「起きましたか!?」
「なっ…!!」心配そうなロゼがこちらの顔を覗き込んでいた。状況を理解するにロゼの膝に寝ていたらしい。バッと勢い良く身体を起こし距離を取る。
「はは〜んもしかしてユニって女の人慣れしてない??」
ニヤニヤとこちらを見るミカ等気にする余裕がないほどに顔が赤く熱く染まっていくのが分かる。最悪だ…こんな醜態を晒すなんて…。
「そういえば…痛く…ない…」
「私の力でエトワールの波を安定させてみたのですが痛みが引いたようで良かったです…!」
「さっすがロゼ!」
頭痛はロゼが治してくれたみたい。それにしてもエトワールの安定…。「安定って…?」
「その頭痛はエトワールによるものってのはミカから聞きましたよね…?」「私のエトワルトは花…治癒の力を持っているんです」
「プシュール限定ですけどね…」
少し悲しそうな顔をする。何かあったのか聞く勇気は僕に無かった。
「ありがとうロゼ助かった」
「あの〜?イチャイチャしてるとこごめんだけど、ユニに質問!此処残る?」
座ってる僕の方に手を乗せミカが聞いてくる。全員の目が僕に集まる。「僕は…」
「シエリアに、母親みたいな存在の人の居場所を探しに来た。もし、ここに留まることでその情報を得られるなら…僕はここに残る」
「……確実に得られるとは言ってあげれないけど、此処はなんでも屋みたいなものだし、情報屋とも通じてるから得られるかもしれないよ」
「分かった…行く宛てもないからみんなが良ければいさせて欲しい」「じゃあ決まりだ!!これからよろしくユニ!」差し出された手を取る。今の今まで感じたことない温かさだ。これはもしかしたら家族というものなのだろうか。本でしか読んだことは無いが…この温かさは嫌いじゃない。
歓迎会だ!と騒ぐミカを見て嬉しく思いながら微笑んでいると、「良ければこれを」とアルが話しかけてきた。手には『星の子』と書かれた絵本があった。それをありがとうと受け取り開くと可愛らしい絵と共に物語が書いてあった。
『昔昔あるところに隕石が落ちてきました』『隕石は街に墜落し、光を発し始めました』
『人々は最初驚きましたが、数日放置することにしました』『するとその付近の人々は次々と体調不良を訴えました』
『その村の人達は困りました。これでは村は滅びてしまうと』『その同時刻村の子供達は見に行こう!と隕石に近づきました』
『すると隕石の光は1人の少年の身体に吸い取られていきました』『数日経つと村の人々の体調はみるみる良くなり、吸い取った少年の身体はどんどん蝕まれていきました』
『これが最初の星の子でした』
「この後にエトワールについての文献が発表されたんですよ」ニコッとこちらにアルが微笑む。この金髪の少年見覚えがあるなと思ったが、この子アルか。
「アルが1番最初の星の子、プシュールだったのか」「そうですよ、僕が1番この中で長生きなんです」見た目では12歳くらいにしか見えない身長の小さな少年だが実際には何歳なのか聞かないことにした。この絵本の製造日が200年前だったから。
「まぁ、長生きしてもいいことはないんですけどね…なりたくてなった訳でもないし…」
何年ひとりで生きていたのだろうか、僕はまだ17。この子の苦しみは分からない。分からないけれど「頑張ってきたんだな、ここまで」気付いたらアルの頭に掌を乗せて、ぽかんとアルがこちらの顔を覗いていた。「あっ…す、すまない…」手をどけようとするとどけようとした手を取り自分の頭の上に戻した。
僕は少し驚いたが甘えたくなったのかと思いアルの髪がボサボサになるまで撫で回した。 プシュールとなってから人間からの視線の変わり様は小さな男の子には大変だったのだろう。僕が想像出来ないほどに。
撫でながらエトワールやプシュールについての話を聞いた。『エトワールを身体に取り込んだものは300年の寿命になること』『エトワール基寿命を使用して力を使うことができること』『プシュールを捕獲しようとしてる勢力や殺害しようと企む勢力が存在すること』初めて知ることばかりだった。
そんなことを聞いてしまったら更にアルのこと撫でくりまわしたくなるが、僕より大分歳上なことを思い出してスっと手を引いた。
「アル〜!ユニ〜!早く〜!!」
遠くからミカの声が聞こえる。「行きましょうか」とアルに手を引かれ食卓へ向かった。綺麗に飾り付けられ美味しそうなご飯が並べられていた。そういえばシエリアに来てから何も食べていなかった……
机に置かれた美味しそうなご飯を前にお腹が鳴る。恥ずかしいがシアとトアのご飯が美味しそうなのがいけないんだ…
ご飯をお腹いっぱい頬張り勢い良くソファに倒れた。今日はよく眠れそうだ…




