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悪役令嬢レティシアは怒っていた  作者: 南蛇井


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第36話(最終話)

断罪とは何か


王都大法廷。


重い静寂が空間を満たしていた。


裁判は最終局面に入っていた。


被告席には最初に告発された財務局高官。


だが。


今や視線は別の席に向いている。


新しく座らされた男。


王国政務会議の一員。


有力貴族。


つまり――


真犯人。


観客席は騒然としていた。


貴族たちが顔を見合わせる。


記者が必死に筆を走らせる。


国家裁判が。


政治陰謀の暴露劇へと変わっていた。


断罪官席。


レティシアが立つ。


その後ろには学生たち。


断罪アカデミー。


最後の授業。


卒業試験。


レティシアは静かに言った。


「証拠提出」


レオンが前に出る。


帳簿。


送金記録。


資金の流れを示す図。


「再分析の結果」


レオンは冷静に言う。


「賄賂資金は」


「この人物の政治資金へ流れていました」


ざわめき。


真犯人の顔がわずかに歪む。


次にクラリス。


「心理分析」


彼女は言う。


「被告(財務局高官)は冤罪の反応」


そして真犯人を見る。


「しかし」


「こちらの人物は」


短く言った。


「隠蔽反応」


法廷の空気が凍る。


次。


フィオナが証言を整理する。


「内部告発者」


「証言の誘導」


「証拠提出の順序」


彼女は手を広げた。


「完璧な脚本でした」


小さく笑う。


「でも」


「脚本は矛盾する」


最後にリリス。


「人間関係調査」


彼女は言った。


「この政治勢力は」


「財務局の席を狙っていました」


資料を掲げる。


「この人が失脚すれば」


「次の候補は」


真犯人の名前。


観客席がざわめく。


レティシアは結論を告げた。


「以上の証拠により」


静かな声。


だが力強い。


「本事件は」


「政敵排除のための冤罪工作」


少し間。


「真犯人は」


レティシアは宣言した。


「被告席の人物です」


沈黙。


次の瞬間。


法廷が揺れた。


怒号。


驚き。


ざわめき。


だが。


証拠は揃っていた。


証言。


帳簿。


政治関係。


すべてが一致している。


法廷係が宣言する。


「判決」


静寂。


レティシアは言った。


「被告」


「有罪」


真犯人の顔が青ざめる。


そして。


レティシアは続けた。


「最初の被告」


財務局高官を見る。


「無罪」


観客席がどよめく。


冤罪は回避された。


政治陰謀は暴かれた。


そして。


断罪は。


正しく機能した。


王都大法廷。


人々は今。


一つの事実を見ていた。


断罪制度は機能する。


学生たちは静かに立っていた。


卒業試験。


国家断罪。


成功。


リリスが小さく言う。


「終わった…」


フィオナは満足そうだった。


「最高の舞台」


レオンは頷く。


「制度は証明されました」


クラリスは被告を見ていた。


王子は小さく笑う。


「本当にやったな」


そして。


王国中で話題になった。


断罪アカデミー。


政治を止めた裁判。


断罪制度は。


ついに。


国家制度として認められることになった。


夕方。


法廷の外。


裁判が終わり、人々は帰り始めていた。


王子アルフレッドがレティシアに近づく。


少し照れた顔。


レティシアを見る。


そして言った。


「今度は」


少し間。


「ちゃんと準備した」


レティシアは首を傾ける。


王子は少し恥ずかしそうに言う。


「その」


「婚約破棄イベント」


リリスが後ろで吹き出した。


「まだやるのそれ!?」


フィオナも笑う。


「恒例行事!」


レティシアは少しだけ微笑んだ。


そして静かに言う。


「では」


王子を見る。


その目は落ち着いていた。


「始めましょう」


王子は苦笑する。


「やっぱりやるのか」


学生たちの笑い声が広がる。


断罪アカデミー。


いつもの光景だった。


数日後。


王都港。


帝国視察団の船が出航準備をしていた。


カサンドラは船の前に立っていた。


荷物はすでに積まれている。


レティシアが港へ来る。


二人は向かい合う。


しばらく沈黙。


やがて。


カサンドラが言った。


「あなたは面白い」


レティシア


「そうですか」


カサンドラは微笑む。


「国家に逆らう制度」


「帝国では議論になるわ」


レティシアも少し笑った。


「また議論しましょう」


カサンドラは振り向く。


船へ向かう。


そして最後に言った。


「次は帝国で」


船の汽笛が鳴る。


帝国視察団の船がゆっくり港を離れた。


レティシアはそれを見送る。


遠ざかる船。


静かな海。


やがて船は小さくなった。


レティシアは振り返る。


背後には。


断罪アカデミーの校舎。


あの場所で。


学生たちは今も議論している。


証拠。


正義。


制度。


そして。


断罪とは何か。


正義か。


国家か。


答えは一つではない。


だが。


この学校では。


それを問い続ける。


断罪アカデミー。


物語は終わる。


だが。


議論は終わらない。

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