さらば刺激のない人生
俺の名前は佐藤三鶴。今年で三十歳になり、彼女いない歴=年齢でもちろん独身だ。
顔は悪い訳ではなく、身長も高めで元々スポーツマンだったので体格だって他の奴らよりは自信がある。
しかし、彼女を作ろうとして幾度も失敗した経験からか、彼女を作るのを諦めてしまっている自分がいる。
一応大手のゲーム会社に勤めて八年経つが、相変わらず働いてるだけの人生で癒しもないし息抜きの時間も全くない。
家族は兄と姉、父と母はまだ元気に田舎に暮らしている。
俺は東京のワンルームで一人暮らし、寂しくご飯を食べて好きなアニメを見て寝るだけのつまらない人生で、そろそろ飽き飽きしている。
今日は珍しく早く仕事が終わった。なのでコンビニに寄って今日新発売のアイスと雑誌を買って今は家に帰る途中である。
俺が勤めている会社は歩いて行ける距離にある。だから毎日歩いて出社をしている。
昔からスポーツをしていたおかげで体力には自信があるから全く疲れない。残業とかは疲れるけどな。
「はあ、つまらん人生!いいよなあ、同期の奴らは……みんな結婚結婚って、取り残されたのは俺だけか」
信号が青に変わったことに気付き歩き出す。
歩き出したその瞬間、俺の体は宙に浮いた。
いや、これは……何かにぶつかり吹き飛ばされたんだ。
浮遊感を得たのは一瞬で、理解する間もなく俺は吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。
血が流れ、体が冷たくなっていく。
熱い、寒い。色々な感覚が俺を襲う。
(あ、これ死ぬのかな……くそ、最後が信号無視の車に轢かれて死ぬのかよ)
俺を轢いた車はその後逃走してしまった。
まあ、死ぬんだから正直どうでもいいと思った。頭の中は酷く冷静で、死ぬ間際を体験しているのに不思議と涙も出てこない。
体を動かそうと思っても殆ど感覚は失われ、抵抗する気にもならなかった。
色々な人が駆け寄ってくる。救急車!とか大丈夫か!?とか。
(はあ……生まれ変わることがあるなら次はもっと、刺激のある人生を送りたいな)
こうした出来事を最後に、佐藤三鶴は信号無視の車に轢き逃げされあっけなく生涯を終えた。




