暗闇の長蛇の列
「あなたも順番待ちですか。」
ひとりの男が話しかけてきた。無言でうなづく。
「もう私三回目なんですよ、人間になるの。毎回苦労しますけど、
思い返すとつらい方が楽しかったりするんですよね。」
その言葉をとって、口を開いた。
「俺、人間は初めてなんです。今まで草食動物ばっかりで・・・。」
自分の不安をごまかすかのように男につぶやく。
すると男は微笑みながら言った。
「大丈夫ですよ。いろんな人がいますけど、あなたが心を
開きさえすれば、必ず力になってくれる人が出来ますから。
もちろん現在も人間界はたくさんの過ちを犯すものがいますけど、
自然界で弱肉強食を味わってきたあなたなら、大丈夫なはずです。」
「そうですか・・・。」
「失敗してもいいんですよ。経験の積み重ねが成功へと繋がるんですから。」
出口が近づいてきたようで、段々と光が増してくる。
前のものたちは次々と出口に飛び込んでいく。
男が、別れのセリフの代わりであるかのように
「向こうで関わりがあったらよろしくお願いしますね。
お互いわからないでしょうけど(笑)」
「そういうもんなんですか?」
「たまに自覚がある人もいるみたいですけど、
ほとんどのものがここでの記憶を忘れます。
でももし向こうであなたにあったら、何かしら
感じるものがあるかもしれません。」
「そうですか・・・こちらこそよろしくお願いします。」
出口が近づいてきた。俺の番だ。
「またいつか、会いましょう。」
「はい。」
男に再会の言葉をかけられ、出口に飛び込んだ。




