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【38】可愛いワンピよ、さらば



陽が傾きかけた頃そろそろ邸に戻ろうかと話していると、ギネス師団長が声をかけた。

「エルファミア嬢、明日は午前中からいらっしゃいますか?」


今のとこ明日はこれと言って他に何も予定はない。


「今の所はそのつもりです」

「そうですか」


ギネス師団長は嬉しそうに頷き返事をした。

何だろ?明日何かあったっけ?



そして夜、晩餐の後にセシルと衣装部屋の中へ。

昼間にセシルが、最近の私が好んで着ている色を念頭に置き、着そうな色と着なさそうな色を分けておいてくれた。


「わぁ、分かりやすく分かれてる」

「はい、昼間クローネさんにも手伝って貰い頑張りました」


侍女頭のクローネさんね。


ていうか、私の好みっぽいって避けてある服はかなり少ない。いらない服の方には袖を通した事がないものも結構ある。逆にこんなに寄付に回して良いよだろうか?


「近頃はリボンもあまりお使いにならないので、リボンも纏めておきましたよ」


リボンか・・・

良く見ると太いリボンだけじゃなく細めのリボンも結構ある。これは使えるかも。

太いのも明るめな色以外は残しておこう。

ピンクや赤はちょっと無理。


「リボンは細めのと地味目な色だけ避けてあとは寄付かな」

「細いリボンは何かに使用するのですか?」

「うん、今は思案中かな?って事で、ピンクや赤、明るい緑や青のワンピースは全てこの部屋から出そう」


そこからセシルと二人でせっせと運び出した。

運び出していると、クレイが箱を持って部屋に訪れた。

「こんなに沢山ですか?!随分多いですね」

ワンピースの山を見て驚きを隠せないようだ。


「うん、持っていても着ないからね。服も着てくれる人の所に行った方が幸せよ」

「なるほど、そういう物ですかね。私も手が空いたので手伝いますよ」

クレイは、持ってきた箱に詰めては部屋から運び出しを数回繰り返し、すっかり服は片付いた。


「ねぇ、あの沢山の箱は孤児院までどうやって運ぶの?」

「それはですね、全てギルドに運び入れて、そこから領地内にあるいくつかの孤児院に運ばれる事になっています」


ギルドってそんな事もしてくれるのね。

何でも屋みたいなもんか。


「ギルド長のベルナルドさんはジェイルズ様のご学友でしたので、特別に色々と請け負って頂けるのです」

「父様とギルド長って友達なんだ?!」



知らない事まだまだありそうだなぁ

領地も、もっと色んな所に行ってみたいな


と色々なことに思いを馳せ

ベッドに入ると秒で眠りに落ちた。



朝いつも通りに目が覚め、何も考えずに衣装部屋に入ったが、スカスカの衣装部屋に一瞬驚いた。

ていうか服の為だけにここまで広い部屋要らないよね。

服のほとんどがなくなり選びやすくなった。

服って結局は気に入った物ばかり着てしまったりする。


そして今日はワンピース改2号だ。下は青、上は藍色の物に着替え、太腿にホルスターを装着する。


太腿にホルスターを着けると、気が引き締まるのと同時に妙な安心感に包まれる。


アデレ兄と早朝鍛錬をし、朝食を済ませ兄二人と訓練所に向かった。


室内訓練所のギネス師団長の執務室に着くと

「エルファミア嬢、お待ちしておりましたよ」

早々に声をかけてきた笑顔のギネス師団長の隣りにはエドガー騎士団長もいる。

「エルファミア嬢こちらに座ってくれ」


思わず兄二人と顔を見合わせた。

アデレ兄は昨日の帰り際にエドガー騎士団長から、明日の朝はギネス師団長の部屋に行くようにと言われていたらしいが、理由は知らないようだ。


兄二人に挟まれソファに腰をかけると、ギネス師団長がおもむろに大きな包みを渡してきた。


「何です?これは?」

「どうぞ、開けてみてください」

「これは俺達からエルファミア嬢への贈り物だ」


プレゼント!マジか!


私の目が輝いたのが見て取れたようで、ギネス師団長とエドガー騎士団長、兄二人は微笑ましく見ていた。


「ささ、開けてみてください」


ギネス師団長に言われゆっくりと包みを開いていくと、目に入ってきたのは黒い布地。

何だこれ?と手に取り広げながら持ち上げてみた。


広げると目に飛び込んできた黒と紫のツートンカラー

ヘンダーソンの騎士服だ。


「これ騎士服!私の?」

「そうだぞ、俺達が仕立て屋に頼んで作らせた」

エドガー騎士団長がニカッと笑った。

「色の割合は私とエドガー殿で考えて決めたのですが、いかがですか?」


上は背中は紫一色で、前身頃は紫と黒に分かれている。袖はどちらも黒だけど、袖口は紫だ。ボタンは黒と紫が交互に付いている。ズボンは黒一色。


「魔導師でも騎士でもあるエルファミア嬢だからこその、特製の騎士服ですよ。さすがにズボンが二色ではおかしいので黒にしましたがね」


ズボンも左右色違いのツートンカラーだったら、さすがに恥ずかしくて着れない。


めちゃくちゃ嬉しくて騎士服を自分の体に合わたりしていると、おもむろにエドガー騎士団長がもう一つ何か出してきて私の目の前に置いかれたのは、足首までの長さのブーツだ。


「おお!エルもこれで騎士団入りだな」

「エル、着てみてよ」


あまりの嬉しさに声が出ず頷くのが精一杯だった。


ギネス師団長の机の後ろにある、奥の部屋で着替えてみたらサイズはピッタリだ。


着替えて部屋から出ると四人は「おお」と声を上げた。


「初討伐は皆と同じ騎士服で行けるんだね」


あまりの嬉しさに久しぶりに人前で心からの笑顔になった。








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