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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年一月
22/252

一月十八日 (後篇)日本列島(仮)

十八日目後半です

 回復するのに三十分ほど。


 んじゃ日本列島(仮)行きますかという事になりました。


 距離、どれくらい離れてるんだろう。


「一万キロちょっとじゃなかった?」


「それくらいー」


 レスポンスよくお答えが返ってきます。便利便利。


「って、一万キロ?」


 音速で飛んでも十時間近く掛かるんじゃね?


「コミュータじゃ十四時間近く掛かるんじゃないの?」


「あ、へーきへーきー。一瞬だからー」


 日帰り無理じゃんと声を上げるとユリカの軽いお返事。


 横でユリアは床にブルーシートを広げてまして。


 あるんだね。ブルーシート。不滅の人気商品?


「はーい。みんな乗って乗ってー」

 と仰いますが。


「空飛ぶブルーシート?」


 やべ。


 再び大決壊。


 ついだよ。つい口にしちゃったんだよ。


鹿乃子(かのこ)ちゃん。最っ高。グッジョブだよ」


 両目にでっかい涙を浮かべてお腹を抱えヒーヒーしてるメグちゃんに()められました。ラッキー


 あれ?そういえばメグちゃん、一緒に行くんだ。お仕事平気?


「か、鹿乃子。ちゃん。勘弁して。色々。ダダ漏れ。で。ぼけ。続けるの。やめ。て」


 ミュラ姫が息絶え絶え。


 いやぼけてないよ?疑問が浮かんだだけだよ?


 ……なんでだろう?大惨事になっちゃった。



 再び三十分。


 ミュラ姫のお願いに答えて、瞑想(めいそう)して待ってました。


「私が悪かった。鹿乃子にシートの意味を説明するべきだったよ。みんなごめん」

 涙を拭いつつユリアがみんなに謝る。


「いやー、いつものことだからそこまで考えつかなかったー」

 疲れ果てたユリカが答える。


「私ね?テレポーターなのよ。鹿乃子ちゃん」


「テレビのレポーターさん?」


 ぶふぅっと吹き出す音。…気にしないでおこ。


「いや…テレポーテーション。瞬間移動って知らない?」


「えーと…確か離れた場所に一瞬で移動する能力?」


 何かを一生懸命こらえながらユリアが説明してくれるので真面目に答える。


 さっきから吹き出したり悶えたりする気配が背後からビンビン感じられるんですけど。なぜでしょう。


「そう。だから、私がみんなをつれてテレポート。私跳ぶって表現しますけど、それで 連れて行きます。」


「はい」


「でね。行き先が森の中なんで、土の上なのは理解出来るよね?」


「うん、そうなるね?」


「だから、足下が汚れないようにシートを敷いてみんなに乗ってもらうの。一緒に跳べば汚れずにすむでしょ?」


 ……了解。理解した。あれ?


「テレポーテーションって、長距離を移動すること出来ないんじゃなかった?」


「一般的にはそう言われてるよね。でも詳しく言うと、あんまり離れたところにテレポートすると地球の自転に置いてかれちゃうのよ」


 ??


「一番判りやすいのがね、赤道上のどこかから、地球の反対まで跳んだとしたらどうなる?」


 ????


「赤道付近の自転速度、音速超えてるんだよね」


 一周四万キロの赤道部が二十四時間で一回転してるから、時速一千七百キロ弱?


「それが、反対側に行っちゃうんだから、移動方向真逆。相対速度で時速三千キロ超え。空中に飛び出したとしても一瞬でバラバラになっちゃう」


 はー。案外不便ですなー。


「まあ、行きたい先の移動方向とか速度とか確認して合わせてあげれば問題ないんだけど、厳密には、惑星の公転速度とか恒星自体の移動速度とかまで絡んで来ちゃうので、そこまで合わせられる能力者がなかなかいません。で、一般的にはそう教えております」


 なるほどねー。でもそれ、計算しようとしたらとんでもなく手間と時間が掛かるよね?


「でね?そこまで説明しておいてなんだけど。私、そー言うのかんけーなくどこでも行けちゃうのでとっても便利なのよ」


「色々台無(だいなし)しだー」


 背後に()まっていた諸々が三度(みたび)、決壊した模様。


 ユリアは耐えた。でっかい溜息(ためいき)をつきながら。



 二人で待つこと三十分。


「じゃ行くよ」

 と、ユリアの合図で足下確認しながらシートに乗って、顔を上げたら森の中。


「えー?」

 思いっきり声を上げちゃったよ。


 見たかったんだよ。テレポートする瞬間を。


 四回目の大決壊だよ。もう大惨事。みんな転げちゃいました。


 ユリアも耐えられなかった模様。


 シートの意味なんもねー。


 いや、もっとなんかないの?こう もやーっとか、うにゅーとか。ちょっと期待してたのに。


 周りを見ても答えていただけそうにないのです。


 封印だけ解いてくれないかな?


 あ。龍さんが自分で解除してみると伝えてきた。お任せします。頑張って下さい。




 瞑想しろと伝わってきたので、立ったまま瞑想状態に入る。


 しばらくしたら体の真ん中辺りが熱くなる。


 そのままじわっと全身に熱が広がり…一気に体の外に向けて飛び散った。


 終わったよと伝わってきたので目を開ける。


 辺り一面金色の小さな光の粒が漂い覆い尽くしている。


 やがて、粒の一つ一つがしぼんで溶け去るように、あちらこちらで消えてゆく。


 そして、全ての光の粒が消え去って。元の森が戻ってきた。



 みんなが呆然としていた。今の光景を見てたんだろうな。


「綺麗だったよね」

 感想を口にしてみる。それしか言葉が出てこなかった。


 頷きが返ってくる。


「今のって、何?」


 カミーラが盛大にずっこけた。


 ユリカとメグも地面に手を突いて下を見てる。


 他の人もわたしを見てくれない。


 何でみんな肩がぷるぷるしてるのかな?


「何で現象起こした本人が判らないんだよ」


 いや!わたしここで立ってただけだし。


 いいや。龍さんに聞いてみよ。


 一瞬で理解出来た。超便利。


「あははははははははははははははははははは」


 もういいや。ほおっておく。笑いたければ笑うが良いさ。


 そうか、今のが体の中に溜まってた悪いもの、[(おり)]だったんだ。


 で、一度 体の真ん中に集めたときに熱が出た。そのまま体の外に向かって放出したときに全身が熱くなって、一気に抜けていったんだ。


 細かい粒子状になっていったん空中にまき散らされたけど、森の息吹が浄化してくれたんだね。


 浄化の時に反応して綺麗な金色に光ってたんだ。


 ありがとう。自然の営みに感謝を。


 色々手を尽くしてくれたみんなにも感謝…したいけど、これじゃなあ。


 みんな地面に座り込んで笑ってるんだよな。


 楽しいんなら、まあ良いか。


「みんな。ありがとうございます。なんだか今までで最高にすっきりしましたよ」


 感謝を伝えれば、拍手で返してくれました。笑ってるけどな。





 日も傾き始めたのでユリアのテレポートで帰還。


 どうなっているのか、今度はしっかり周りを見ていたら十分の一秒無い位の高速オーバーラップ。


 スパッという感じで景色が変わって終了でした。


 但し、泥だらけの体で返ってきたので部屋の床が大惨事に。


 今夜、中身総取り替えなのでだいじょうぶだそうです。


 泥だらけのまま帰るわけにも行かず、シャワーを浴びて着替えることに。わたし以外が。


 揃って綺麗になったところで荷物をまとめて帰宅です。


 さつきとユリアはこの後所用があるらしく、メグちゃんが送ってくれることに。


「オートパイロットだから無人で帰ってくるんだけどね」


 と言いつつ、用事もないからと同乗されるそうな。





 同じアパート住まいの三人から配達(・・)完了。コミューターを見送って明日から一緒に登校しようと約束し、それぞれの部屋へ。


 荷物を片付け、やれやれと一息つく。


 森で澱を放出してから龍の声がよく聞こえる。聞こえるというか判る?理解出来る?言葉ではなく感情がそのまま伝わってくるような感じ。


 やがてわたしの心に溶け込んで一体になるんだそうな。


 どうゆう事?と思ったら、何か楽しそうな、おかしくて仕方ないというような感じが伝わってきて、そのときになれば判る。と。


 そのときをお待ちします、と意識したら笑っている感じが。楽しんでいただけて何より。


 その後、しばらく眠ると意識が来て、奥に引っ込むように消えていった。


 困ったことがあれば助けてもらえるらしいので大船に乗っていようと思う。


 またね。と意識を投げて就寝の準備。


 今日も色々ありましたが、とっても有りがたい方に進んでくれています。みんなに感謝です。



 おっと。気になることがあったんだ。


 むくりと起き上がり、日本列島(仮)がどんな状態なのか端末使ってチェック。


 わたしの知っている日本列島の所々に大きな湖が増えてる感じで、全域自然公園として管理区域。


 観光用のごく一部を除いて完全に自然のまま。別名放置状態とも言う。


 観光スポットには宿泊施設始め、多少の人工物がある模様。


 で、増えてる湖が全部まん丸なのが謎。


 大量に水が必要になって人工的に作った?


 でも大きいのと小さいの、重なりあってるのもあるな。


 デザインの一種? まあ良いか。


 一般の人は上陸願いを申請すれば上陸出来るらしい。但し指定区域内に限る。


 一般人枠、外れちゃってますか。そうですか。


 諦めて受け入れましょう。


 思ったより楽しんでいた自分がいることに感謝を込めて。



 それでは、あらためて おやすみなさい。

十九日目に続きます

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