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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年一月
20/252

一月十七日 (後篇)すりあわせ

十七日目後半です。

 わいわいと騒ぎつつ移動した先は


「げーむせんたー?」


「ですですー」


「古風な呼び方」


 わたしの疑問符にユリカが答え、ルミに落とされる。今風なんて知らん。


 部屋に入ると見渡す限り様々なアーケードゲーム筐体(きょうたい)が。


鹿乃子(かのこ)、とりあえずこの辺の簡単なゲームからやる」


 何かやる気のルミちゃんが誕生?


「ルミちゃん好きなんですよー 対戦型のゲーム。あたし、苦手だからお相手出来なくて」


 へにゃっとしたかおりが説明。


「どうやるのか教えてくれれば」


 とりあえずやってみましょう。


 説明によると、宇宙空間を飛ぶ戦闘機に乗って、前方や側方、最終的に全天(ぜんてん)から飛んでくる敵キャラを打ち落とすシューティングゲーム。とのこと。


 動かし方を確認してとりあえずイージーモードで試してみる。


 こんな本格的ゲーム機、初体験(しょたいけん)ですよ。


 軽快な音楽とともにゲームスタート。飛来する敵に照準を合わせてトリガーを引き、突っ込んでくる敵からは機体の進路を変えて回避。ただただひたすら避けて打つ。


 加速や減速、回転旋回、そのたびに体があちらこちら引っ張られ振り回される。


 ファンファーレが鳴り響き、クリアーの文字が。


「驚異的。撃破率九十パーセント超えはイージーモードとはいえプロレベル」


 ルミちゃんに大絶賛されております。ゲームにプロ、いるんだ。


「狙いを付けてトリガー引けば当たるんだからそれほどのことでは…」


「かおり。見本」


「私ですかー?」


 渋々と隣の筐体に座ってゲームを始めるかおり。


「え?え?ちょっと。待って待って。だめですー。あー…」


 ドーンという派手な音とともにゲームオーバーの文字が。


「これがゲーム初心者」

 どやぁ、と満足そうなルミ。


 で、ルミと対戦モードで一勝負。ハードモードでやってみた。勝っちゃった。


 初心者に負けたーと落ち込むルミがなかなか可愛かったり。


 その後も、多人数対戦やら、一対一の対戦やらみんなで勝負(めぐ)りを。


 どうやらわたしの反射神経と動体視力が異常な模様。


「ちょっと本気だしていい?」


「あたしもー」


 そう宣言したユリアとユリカには負けました。


 但し、ユリカの本気モードは、筐体がオーバーヒートしてクリア不可…。


 意外だったのがミュラ姫。


 パズル系のゲームにめっぽう強く、ルミ曰く、廃人御用達(ごようたし)という超ハードパズルをするすると解答。


 かおりは、これなら出来ますと挑戦したのがクレーンで景品を取るゲーム。


 百発百中。筐体の中身を空にしてました。


 ルミがこれが一番得意と言ったのは落ちものゲームとか言うパズル要素の絡んだアクションゲーム。


 最高難易度のゲームをノーミスで全問クリア。好きと得意は違うと少し しょんぼり。


 さつき、カミーラは、


「わたしは楽しめれば何でもオッケー!」


「ビデオ系のゲーム全部苦手」


 だそうです。


 そうしてわいわい騒いでいるところへ、


「あー。さつきちゃんはっけーん」


 と元気なおねーさん?が乱入。あれ?この人受付で手をぶんぶんした人だ。今は私服ぽいけど。メイクも落としてる?


 紫っぽく光る濃い(あお)の長い髪をポニーテールにして くりくりしたちょっと垂れ目の可愛い子。ただモデル体型で百七十㎝越え。受付で見たときは綺麗なお姉さんだったのに、今見ると可愛い妹キャラ。ギャップがひどい。


「ご飯が出来たよーと呼びに来ましたよー」


 ハアハアと息を切らせて。しかし ほんと元気だな。


 言うだけ言った後、ぐりん。と此方(こちら)を向いて、


「鹿乃子ちゃんだよね?わたし夢野(ゆめの)メグちゃん。総合案内で受付やってます(よろ)しくね」


「えーと、メグさん?」


「メグちゃん」


 じとっと見つめられまして。


「メグちゃん?」


「はい」

 ようやくにっこり笑顔のお返事。


「にゃんこさん装備が外れてませんか?」


 受付の時の出来るお姉さんはどこへ行った?


「あれは玄関ホール限定装備なので今は解除してまーす。全然だいじょーぶでーす」


 エッヘン!とばかりに胸を張る。


 迫力で押し切られました。


 と、後ろでミュラ姫がポンッと手を。


「ああ!にゃんこさん装備ってネコさん着ぐるみ(ねこかぶり)!」


 やっと判りましたーとうれしそう。


 それを見て笑いが決壊した毛玉が一つ。つられて肩がぷるぷるの人影二つ。


「さつきちゃん。とにかく、ご飯が冷めちゃうんで行きましょうよー」


 さつきが腕をぐいぐい引かれて混乱中。


「何でメグちゃんがそんなに一生懸命なのかが判らないー!」


 頭も目もぐるんぐるんさせながら さつき。


「えー?わたしだけのけ者ですかー?ひーどーいー」


 さつき同様、メグちゃんの行動に?大量発生中。


「あの子私たちの幼なじみなのよ。勢いで飛び級しちゃって三年前に十三歳で学部卒業しちゃったんだけど」


 申し訳なさそうなユリア。同い年かよそっちに吃驚(びっくり)だわ。


「勢いで出来るの?それ」


「疑問、そっち?鹿乃子らしいちゃ、らしいわね」


 あれ?何か他に疑問点あった?


 きょとんと返したら吹き出すユリア。


「これ、天下の姫野グループ本社内の出来事って、絶対信じてもらえない光景だな」


 ひどくまっとうな感想を持たれた模様。わたしもそう思うよ。カミーラ。


 ひとしきり笑った(一部除外)後「ご飯が冷めちゃうー」とかしましいメグに引っ張られて例のお部屋へ。





 ダイニングルームが豪華です。


 でっかいテーブルに豪華な椅子に。


 やっぱり、こういったお部屋には食事専門のスペースがあるんですね。それはもう、見るからに豪華な食事でした。


 過去形なのは食事が終わったから。


 栄養があって食べられればOKのわたしに料理の説明なんか出来ん。


 おいしかったです。以上。



 で、現在はクッションやらソファーやらくつろげる環境のスペースにて弛緩(しかん)中。


 お昼の放送でカメラが入ってた点が気になったんだけど、午前中は総会長のぼけを撮りたくてスタッフがこそっと待機していた模様。


 普段盗聴すらゆるされない部屋だと言われて安心したところです。





 ところで、なぜかメグちゃんも混ざってますね。


「鹿乃子、鹿乃子。この子もメンバーズ」


 時々チラ見してたのがばれたらしい。ユリカが教えてくれました。


「Aクラスエスパーって事になってまーす」


 手を上げながら元気よく発言。


 なってますって、何?


「こら、メグ。まだ入会一週間そこいらの()に混乱するような発言するんじゃないの」


「えー?まだそんななの?でも神格(しんかく)持ってるよ?」


「それな。本人無自覚だから」


 ユリアの注意に疑問符のメグちゃん。カミーラも参戦してわたしのダメージが上昇中。


「いっそセラっちたちも呼んじゃうー?すりあわせた方が良くない?」


「待って。火曜日に暴走したばっかし。まだちょい早い」


 メグちゃんの言葉に慌てるカミーラ。


 くるん と此方に体ごと向き直り、ちょっと小首をかしげた後ニパっと笑顔。


 ホント、リスみたい、くるくるよく動く。全く受付嬢の時と一致せん。


「ダイジョブダイジョブ。よゆーありそーだもん。って事で」


 ぴょんと立ち上がり


「呼んでくるねー」


 だーっと掛けだし、部屋から飛び出してゆく。


「あーいっちった。まあ此所(ここ)なら良いかー」


 何か投げやりなご様子ですよ?カミーラさん。わたし危機的状況ですか?もしかして。


「あははははははははははははははははははははははははははは」


 危機感を覚えてオロオロし出したらユリカ爆笑。おまっ。人の不幸を爆笑って。


「ユリカちゃんがひどいと思います。私」


「かおりに、一票」


 ありがとう。かおりとルミ。さつきとユリアがこっそり吹き出していたのは知っています。まだぷるぷるしてるミュラ姫も。


 じとっと見つめたら決壊しました。姫…





 そんな感じでじゃれていたらメグちゃんが三人連れてやってきました。


 三人とも受付嬢。四グループの各チーフだそう。制服着てる娘が現在の当番。


 その受付嬢そっくりな顔の女の子一人。 ちょい人間離れしたかわいさの娘一人。


 綺麗なエメラルドグリーンに染めた肩口でそろえた髪。。大きなちょっとつり気味の深い緑の眼。肌は白くて唇真っ赤。


 化粧っ気ゼロなんですけど。


 はい?地毛ですか?大変綺麗な色ですよ?奇跡の色ですね。


 だんだんとうつむきながら(ほほ)を染めていく様子を ほけーと見入っていたらユリカが唐突に


「鹿乃子。アルファが可愛いのは認めるからヨダレ拭いてヨダレー」


「ヨダレ?垂れてないよ?」


 慌てて口元を袖で拭ってしまった。


 大爆笑。ちくせう。


「顔の作りが整ってるのは自覚してるが、()め殺しはやめてくれ」


 片や、容姿を褒められた本人は顔を両手で(おお)って座り込んでしまった。容姿がコンプレックスなの?


 笑いが収まった頃、おもむろに顔を上げて自己紹介。


「アルファ・セブンと言う。色々人間離れしてるのはホントに人間じゃないからなんで諦めて」


 どでかい爆弾が投下されました。え?みんな普通に聞いてるけど?ふつーなの?


「アルファは人間ですよ。ちょっと遺伝子操作受けちゃってますけど人類ですから」


 (さと)すようにミュラ姫が言う。ならば、


「なんか、神様に成り掛かってるらしい (まき) 鹿ノ子です。もうすぐ人類やめちゃうけど宜しく」


 ちょっと(おど)けた言い方してみる。事実みたいだし。なるようになるっしょ。


 驚いた顔でしばらく見つめられた。


「ありがと。宜しく」


 天使の笑顔をいただけました。ラッキー。正解出来たようです。


「あー。これはなんというか……馴染んでるね」


「ちょっと言い表せない馴染み方ね」


 馴染んでないよ?自覚皆無ですけど?


「あっはっは。あたいセラ・ジョセフィン。双子の妹」


「姉のリディア。ジョセフィン。あたしたちも一応Aクラスエスパーになってるよ。宜しく」


 受付嬢とそのそっくりな人。やっぱり双子さんでした。


 二人とも、これプラチナブロンドって言うの?綺麗な白銀(しろがね)色、妹さんは若干レモンがのっててどちらも凄く綺麗。


 身長も百七十無いかな位でやっぱモデル系の体付き。お姉さんの方は額にバンド型のアクセサリー?


「これ、Aクラスのテレパスであることを表す標識みたいなものよ。テレパシー波を抑止する機能付き」


 全然全く抑止されてませんが?


「鹿乃子ちゃん わかりやすいもん」


 がっくりと項垂れる。





 その後、わたしの落ち込みを余所に、ミュラ姫を中心に説明会大開催。盛大にあさっての方向へ舵を切るユリカが、とっても邪魔。少しはおとなしくしてくれ。


 先ず、エスパーと纏めて呼ばれてるタイプの方達は超能力やP・K(サイコ・キネシス)・テレパシーといった能力を持っていて、A・B・Cの三クラスに分けられる。全部、登録して管理の対象。


 Cクラスはテレビ番組で取り上げられれば大騒ぎになるレベルの人たちまで。離れた位置から蝋燭(ろうそく)の火を消したり、伏せたカードのマークを当てたり。


 Bクラスになると、十キロの重量物を持ち上げ、移動させる。考えに深く集中した人の思考を一メートルの距離で読み取るなど。


 で、それを超えると全てA。車をPKで動かすことが出来る人もタンカーを持ち上げることが出来る人もA。


 クラス分けを決めるとき、頭が石材化した人が何人かいて、Bクラス以上なんて現れるわけはないと言い張り三クラスに分ければ十分だと決まったらしい。


 逆に今、とっても便利とはさつきの言葉。Bを超えたら全てAなので、報告書の処理が楽ちんとのこと。ホントはどこまで出来るのか書かなくても良いからと言うのがその答え。


 とってもわるい…いやいや良い笑顔で(おっしゃ)いました。


 で、受付の四方がこの能力者に該当するそうです。


 理由はひとえに悪事防止のため。困った考え方の持ち主をはじいたり、問題が起きないようあしらったり。もちろん悪事を働こうとする人も。


 それぞれ、P・K (メグ)・テレパス(リディア)・テレポート(セラ)・アポート(アルファ)を最も得意能力と登録しているもののテレパス能力は程度の差があれ 全員使えるのでこの職務にうってつけ。


 ちなみにリディアさん。テレパス抑制装置、あってもなくても関係ないそうです。ただのアピール。


 最も他のお三方も付けたところで「ちょっと邪魔」程度だそうですが。


 後、リディアさん以外、登録用紙の項目に該当する得意能力がないので適当に書いてあるのだそう。意味あるの?それ。


 次に、サイバネティクスとかバイオニクス。昔サイボーグとも言った改造人間系。


 此方(こちら)はAとBしかなくて、身体に障害のある方が補助のために使えばB。管理対象外。健康な人が能力向上のために使うとA。此方が管理対象。


 Aの処置を行うためには、大量の申請書を提出し、完成後に確認試験が必要で、実質、該当者になることは不可能になっているはず だそうです。


「わたし該当者ー。こっそり軍事用ー」


 と、のんきに手を上げていたのはユリカです。なぜそうなった?秘密ですか。そうですか。


 後、区分がないけど特殊扱いされるのが人造人間とかヒューマノイドとか、アルファみたいな遺伝子操作系。


 ひとくくりに管理対象だそうで、「ま、お役所仕事だしな」とはカミーラの弁。


 当然アルファちゃんはダブル登録。


「扱いがひどくね?」


 最初の感想はこれでしたね。


 ちなみにわたしはどこ?と訊ねたら、神様は対象外だから該当なしなんだと。エスパー扱いになるだろうとのこと。


 カミーラも同じく。メディカトリクス(治癒能力)のAクラスエスパーとして登録されているとか。


「だから、姫野(うち)で保護してる事になってる(・・・・・・)のよ」


「ウチで全責任取るから管理権寄越せってちょいと脅迫をした。…らしい!」


 連邦政府とやらを相手に?よく権利獲得出来たね。


「今の連邦、姫野(ひめの)がないとエネルギー自給出来ないのさ!」


 なぜそうなった?政府としてだめだろ?それ!


 ユリアとさつきの説明に驚愕するばかりです。


「色々手を回した」


 カミーラががっつり絡んでいる模様。神様怖い。


「鹿乃子。いずれそうなるよ」


 そうですか。


 此所(ここ)、もしかして(しん)の連邦政府じゃないですかね?


「かっこいいね!それ。今度記者会見で使う!」


「ヤ・メ・ロ!」


 さつき、カミーラに掴まれて「収集が付かない事態になるわ!」とお説教中。



「そう言ったわけで、鹿乃子ちゃんには出来れば能力を獲得して私たちと頑張ってもらいたいなって思っています」


 ミュラ姫、ちょっと真剣な表情で仰います。


「直ぐにハイと言える状態でもないですから…役に立てそうになってから考える。でも良いですか?」


 前向きに考えたいけど、現状何も出来ないしなぁ。これ以上の答えが出せない。


「現段階ではとっても良い答えをいただけました」


「ユリカと対等に付き合えてるんだぞ?()ぐだよ直ぐ」


「あー。そういえばそうでしたね。逆に心配になってきちゃったんですけど?」


 あれ?お礼を言われたと思ったんだけど、違った?カミーラさん?ミュラ姫?


「鹿乃子ちゃん、もーバッチリ立ち位置ができあがっていますよね?」


「長く不在だったユリカの相棒。ガンバ!」


 かおり?ルミ?不吉だよ?とっても怖いよその立ち位置。


「良かったねーユリカちゃん。コンビ結成みたいだよ?」


「乾杯しよー乾杯ー。良いことがあったらみんなで乾杯だよー」


「よっしゃ、りょーかい」


「直ぐ準備するね」


 なんかノリノリなメグちゃんとユリカに双子が乗っかっちゃったよ?


 だめじゃない?色々だめなんじゃない?わたしが最後に弄られるの決定事項なの?


「グラス回ったかー?ほとんどのやつ未成年って事でジュースな。」


「じゃ、ユリカちゃーん」


 グラスを配り終えた双子の片割れが不穏な発言を。


「んじゃ、ユリか乃子ペア結成にカンパーイ」


 なんなの?このノリの良い集団。ユリカは変なコンビ名付けるんじゃないよ!


 ハー。と溜息(ためいき)。手渡されたグラスに目を落としたら隣からもう一つグラス。


「カンパイ」


 チンッと軽くグラスを合わせささやくように言うのはアルファちゃん。


 大変綺麗なとびきりスマイル頂いてます。


 なんだか(なつ)かれました。説明会の間中隣におりました。


 可愛いから全然問題なし。むしろご褒美(ほうび)



 その後開き直って波に乗りましたよ。明け方近くまで。


 はっちゃけすぎた自覚はある。だから何があったか黙秘権を行使する。以上。



 これからお昼までみんなで仮眠です。


 では、おやすみなさい。

十八日目に続きます。

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