三月一日 狐
六二日目 三分の一です
星暦二千百十一年三月一日 火曜日
お早うございます。
今朝も既に恒例となりつつ有るランニング…もとい、何だか良く判んないマシンでランニング。
少し重力設定を弄って二Gで走ってきました。
よさげな負荷で楽しかった。
いい汗かきました。
一緒に走ったユリカがげんなりしてたけど。
お前、一Gじゃん。何で?
「そっち、違うー。距離、距離ー」
ほんの二百キロほど、軽く走っただけだよ?
「それ、人間の走るジョギングの距離と違うー」
軟弱な奴だな。
「ええー?」
何だかヨレヨレになって、わたしと一緒にダイニングに向かうユリカ。
そう言えば、何だか酷く汗かいてるな。病気か?
「一時間すら掛けずに二百キロも走ったら。てゆーか、ふつーは走れんわー!」
叫ぶユリカ。
そうなのか? 付いて来てたじゃん。
「サイボーグ能力全開だよー。バイオニックやESPまでは使ってないけどさー」
…どう違うの?
「機械で強化したのがサイボーグ。人工臓器や筋肉で強化したのがバイオニック。鹿乃子やさつきみたいにいろんな能力で強化するのがESPって大雑把な区分けだよー。はぁ」
一気に喋って溜息ついてる。そんなに疲れるの?動いてたの、機械部分でしょ?
「強制的に筋肉の運動させられちゃうんだよー。ベルトコンベアーの上で走らされるようなもんなのさー」
ホー。なるほど。良く判らん。
「だと思ったよー!」
げっそりしていらっしゃる。
とりあえずシャワーと着替えだ。
「バイオニックと併用すれば良かったよー。あんなに一気に走りきるとは思わなかったー」
ぼやくユリカと別れて部屋に戻る。
で、ダイニングへと向かえばユリカも出てきて、テーブルに着いた途端にへたり込む。
そんなに疲れるんなら途中で止めなさいよ。
筋肉回復の治癒を掛ける。
「おおー。有り難うー。楽になったー」
やっと起き上がった。
ウイーがオーダー取りに来たけど、みんなが揃ってからにして貰う。
代わりにお茶をお願いして水分補給。
多分、今直ぐご飯じゃユリカがきついんじゃ無いかと思う。
十五分ほど待ったらみんなが揃って朝食開始。
朝食を終えて、登校の支度を整え、玄関に集合。
「行ってきます」×六人
「イッテラッシャイマセ」
恒例の、ウイーのお見送りで出発です。
で、公園の門を通過したら、昨日見た覚えの有る光景が…
「オハヨウ ゴザイマス。 サクジツニ ツヅキマシテ トウガイチク タントウキノ キンキュウメンテナンス ニ トモナイ ハケン サレタ ダイガエキ デス」
あ、もう判っちゃった。
絶対あれだ。何か増えて帰ってくる奴。
他五人も爆笑中だし。
昨日の今日で? 何故に!?
まあ、良いよ。
ツイッギーが戻るまでよろしくね[代理]君。
「エ? ワタシハ コレカラハ ダイリクン ト ナノレバ ヨロシイノデ ショウカ?」
はい!??
背後で、五名様が爆笑中。
いや!? ダイリクンが名前って酷くないか?
そんな意味で言ったんじゃないよ!?
「ヨカッタ ホット シマシタ。 オキヲツケテ イッテラッシャイマセ」
「行ってきます」×六人
吃驚した。
タウンスイーパーって、どいつもこいつもユーモアのセンスが有るんだなぁ。
「「そんなわけ無いよ!?」」
ミュウとサリーから即座に否定されちゃった。
NINJAとユリカが爆笑中。
恒例の賑やかな朝の一コマだね。
「「「「「違うよ!?」」」」」
違ったらしい。
笑い声が賑やかだよ? 間違ってないよ?
笑い声が一際おっきくなった。
あれー?
騒ぎながらも学園に到着。
サリーと別れてホームルームへ。
重役コンビと受付コンビが来てた。
「お早う。おかえりー」×六人
「お早う」×いっぱい
「ただ今」×四人
「もう片付いたの?」
「だいたい終わったよ。後は専門家に任せてきた」
ミュウの問い掛けにユリアが答える。
「詳しい事は帰ったら話すよ!」
さつきが追加で。
「「「「で?何があった??」」」」
おや、情報のお早い事で。
四人が詰め寄ってくる。
帰りにいやでも判るよ。
「「「今、詳しく」」」」
帰ってからなー。今は黙秘する!
「「「「残念だ」」」」
なんでそんなに息ぴったりなんだよ、お前らはさ。
「「「「打ち合わせしたから!」」」」
あー。そうですか…
不貞腐れて机に伏せたら、周りで爆笑が拡がった。何で!?
まあ、それ以降はとりあえず日常。
下校時刻となりまして。
何故か、帰宅メンバー以外も集まってたり。
「で?一緒に見に行くのは六人?」
「十人で!」×十人
女子全員じゃねーかよ。なばちゃんはお仕事、大丈夫? 後、男子は良いのか?
「問題ないですよー」
と、なばちゃん。
信用出来ないんだけど。
「男子は興味なさそうだったよ?」
と美玲が。
あ、声は掛けたんだね。
てことで、ゾロゾロと移動開始。
当然ミュラ姫とサリーも合流。
徒歩なんで遅い。非常に遅い。
「これが普通ですからね?鹿乃子ちゃん」
かおりから指導が入りました。
賑やかくお喋りしながら、四十分ほどかかってツイッギーの居る場所に近付いた。
なんか、茶色い塊がある。
むくっと起き上がった。
「オカエリナサイマセ カノコサマー」
ツイッギーだった。
声だけ。
頭が付いてる! 狐の頭!!
今まで顔を表示してた端末は胸の辺りに移動して。
尖った三角お耳とヒゲの生えた逆三角形でデフォルメされた狐の頭と、若干スマートで上下に大きくなったボディーに尻尾が二本!
何故、尻尾増やした!!??
足まで付いてるし!!。
色も、お腹と口の周り、尻尾の先が白で、耳の後ろと手足の先が焦げちゃ。後はきつね色!
しかも全身もっふもふ!!
もう、まるっきり別物じゃんか!
三十センチ位、身長も大きくなっちゃって。
わたし以外は大爆笑ですよ。どうしてこうなった?
変わり果てた姿になっちゃって、まあ。
「カノコサマ!? ワタクシ、コワレテ マセン! ゲンキ デスヨ!?」
あ、笑い声がおっきくなった…
みんなの気が済むのを待つ間、ツイッギーになんでこうなったのか聞いてみた。
何でも、工場惑星の偉い人がちょうど来ているそうで、ツイッギーの耳を付けて欲しいって陳情を目にして悪乗りしたのが事の始まりっぽい。
夜の内にもう一度メンテナンスセンターに移動、色々状況を確認して、ツイッギーの要求の儘に色々した結果が今の状態なんだそうで。
「あー。小百合ちゃんかー」
突然、背後からユリカの叫び声。
何処で聞いてたんだよ。てか、いつから聞いてた? お前。
「ああ、小百合さんなら来て貰ってるわよ? それが、どうかした?」
その叫びを耳にしたユリアが、話に加わった。
三分の二に続きます




