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【急募】誰か常識人をお願いします。 〜パーティーメンバー全員の性格に難ありすぎて、せっかくの実力、無駄すぎるのだが〜  作者: 古治
第2章 東の砦の奪還戦

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第13話 『あの情報』を世にばらまくぞ

「『クルエール・メイデン』 テメェら、邪魔なんだよ!」

 

 ラソラの周りにいた異界生物(モンスター)はなにかに縛られたように動かなくなった。

 

「邪魔なんだよ! 二度と生まれてくるんじゃねぇ! 『インフィジャール・カリス』」

 

 あたりには大きな爆発音が空気をとんでもなく震わせた。天井がボロボロ落ちてきたほどだ。

 もう誰がいようと関係ない。理不尽に攻撃をしているラソラであった。

 

「あ、あの、僕でよければ、手伝います。どうせ力にはなれないですけど⋯⋯」

 

 低い姿勢でラソラに話しかける。

 

「話してる暇があったら早くやれ!」

「あ、はい」

 

 リデソは、ラソラの元に戻ってきた。ラソラは、そんなリデソにはまったく気づいていない。

 

「『滅』殲鏖壊(せんおうかい)骸軆廻(がいたいかい)!」

 

 リデソはすべてを蹴散らす、そんな勢いで敵の集団に飛び込んだ。

 

「テメェ、邪魔なんだよ! 私の攻撃が当たっても知らねぇからな!」

 

 リデソには聞こえていないようだった。

 そうは言いつつも、リデソが離れてから攻撃することにした。

 

「『インフィジャール・カリス』」

 

 その魔法で目の前にいる異界生物は倒れていく。

 

「ねえ、お願いがあるんだけど」

 

 戻ってきたリデソは、ラソラにお願いをする。

 

「あぁ? テメェの願いなんか聞いてる暇ねぇんだよ」

「上にいる人が倒れていてさ、回復してきてほしいんだ」

 

 リデソは強く言う。ラソラも一応耳は傾けている。

 

「頼むよ。ここはこんな僕だけど、任せていいから」

「いくらなんでも死体は回復できねぇぞ?」

 

 ラソラは忠告するように言った。

 

「気を失ってるだけだから」

「そういえばテメェ、リデソか?」

 

 ラソラは、ようやくリデソの存在に気がついたようだ。

 

「今頃なの?」

 

 リデソは、嘲笑うように言った。

 

「あ、異界生物来た。じゃあ、頼んだよ」

 

 リデソはそう言いながら、敵の方へ技を放っていた。

 

「仕方ねぇな」

 

 ラソラは仕方なく2階へ行くことにした。


 ******


「で、どこなんだ?」

 

 ラソラは突き破られた天井から2階へ上った。

 ラソラの周りでは、なぜか飛び跳ねているスライムがいる。

 

「あぁ、テメェか」

 

 ラソラはスライムを見た。この間ついてきたスライムだ。

 そのスライムは、なぜか飛び跳ねている。ラソラにも、なんとなく意図は察せられた。

 

「仕方ねぇ。ついていってやるよ」

 

 ラソラは扉を開け、廊下に出た。

 


 スライムが、また扉の前で飛び跳ねている。ラソラがそこに行こうとすると、スライムは体を縮め、扉と床の少しの空間から部屋に入っていった。

 ラソラは普通に扉を開け、中に入った。

 

「こいつのことか?」

 

 ラソラの目の前には横たわっている人間がいる。

 

「試してみるか。『アザーブ・ダル・イアーヴァ』」

 

 ラソラがそういった。

 するとその人間は意識を取り戻したように目覚めた。

 

「ああ、助けてくれたのか。感謝だ」

「テメェ、誰だ?」

 

 ラソラにはわからない。一切部屋の中身を見ていないからだ。いや、見てもわからないかもしれない。

 

「私か? 錬金術師だ。腕を気に入られてここにいる」

「テメェ、ちょっと待ってろ」

 

 ラソラはその錬金術師を置いて下へ行こうとする。

 

「あ、これを持っていきたまえ。一時的だが、能力が格段に上がる優れモノだ」

 

 錬金術師は、袋に入れた瓶をラソラに手渡した。

 

「テメェ、動くんじゃねぇぞ?」

 

 ラソラは一応言った。一応。


 ******


「テメェ、はよどっかいけ!」

「あ、やってくれたんだ。わかった」

 

 リデソは、少々驚いていた。本当にやってくれたんだと。

 

「テメェ、舐めてんのか?」

 

 リデソはラソラの話は頭に入っていなかった。もうとっくにそこにはいなかったからだ。


 ******


「なんだこれ? 気味の悪い空間だ」

 

 スレイは階段を登りきり、扉をあけると、不思議な空間についた。

 そこは薄暗く、なぜかジメジメとしたような空気が広がる空間だった。

 歩くたびにネチョネチョと音がする。

 

「もしかしたら、罠があるか?」

 

 スレイは段差の裏に隠れ、あたりを観察した。

 

「やっぱなにもないな」

 

 あたりを見るが、罠らしきものは一切見当たらない。罠すらも最新技術で見えなくなっている可能性は否定できないが。

 スレイは段差や障壁に隠れながら中央へ向かって進んでいった。

 このまま何もなく終わるのが1番よいが、あまり期待はしていない。

 

 そこは、もとの姿を無理やりかき消されてこんな姿になっているようだ。

 もう、なにがなんだかよくわからない状態になっている。スレイにこれが解明できるとは思わない。

 

「これ、どうするべきなのか」

 

 あたりには静寂な空間が広がっている。

 スレイがつぶやくたびに、そのすべてが空気中に飛び回る。

 

「本当に、なにもいないのか?」

 

 すると、1つの物音がスレイの鼓膜を襲った。

 

「なんだ!? なんかいるのか!?」

 

 スレイがそういう。だが、反応はまったくない。一切存在しない。

 

「どこだ? 上か?」

 

 スレイは上を振り向いた。そこには、なにも見えない空間が広がっていた。

 スレイは剣を取り出し、いつでも戦闘ができるようにしておく。

 

「そこだ。それ以上影を踏み荒らすな」

 

 どこからか、声が聞こえる。姿形は、一切見えない。声だけが聞こえる。

 スレイは、周りを見渡すも、なにもない薄暗い空間だった。

 

「人の土地に侵入する、不届き者よ」

 

 心に突き刺さるような冷たい声で、スレイはそう言われた。


 ******


「今後のお前の言動次第では()()()()を世にばらまくかもな?」

 

 あの情報、というのは、ユスが偽名で生活をしていることだろう。いや、もうユスではないのかもしれない。

 

「我々一族の華美な名を捨て、その汚らしい名前を使っていくのか? ()()?」

 

 なぜその情報まで知っているのか、わからなかった。

 

「わたくしは、わたくしは⋯⋯」

 

 ユスの声は、完全に縮こまっている。もう、誰にも聞こえないぐらいの声しか絞り出せていない。

 

「お前は一族から出ていった。お前はなぜ出ていったのだ? この素晴らしい一族から」

 

 どこが素晴らしい一族なのか、ユスにはわからない。得体のしれないことだった。

 

「わたくしの、わたくしの⋯⋯」

 

 ユスが理由を言おうと口を開いたときだった。

 部屋の扉が開き、誰かが入ってきた。

 

「父上! 1人の勇者と、幹部の接触が確認されました! どうしますか?」

「命知らずな勇者だな。そういうやつは大抵最初に死ぬアホだろ。放っておけ」

 

 お父様はそういう。だが、ユスにはこれが誰か、なんとなく察せられた。

 ユスはなにも言わずにその場を走り去ることにした。

 

「おいお前! 逃げる気か!?」

 

 後ろからは、お父様の声が聞こえる。

 ユスは、完全に無視する。これが、ユスにとって初めて、誰かのために動いた、そんな瞬間だった。

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