序章 歩く災害と出会ってしまう。
「もしかしたら、古代兵器の変形したものかもしれない」
勇者志望のスレイは、そこらへんのスライムに変な妄想をして、ひどく警戒している。
「今ここで出ていって生存できる確率はかなり低くなるぞ⋯⋯」
そう警戒しているスレイの横をるんるんで通り抜ける者がいた。
「仲良くしーてくーださーい!」
そこには、魔法の杖を持った魔法使い、ラソラがいた。
「私ラソラ! あなたは?」
スライムは喋らない。まったくもって喋らない。
「へー。私のこと、無視するんだぁ。ひっど。最低」
だんだんとラソラの言葉遣いが荒くなっていく。
「私を無視するテメェなんか、この世にいらねぇ。死ね」
恐怖の笑みを浮かべている。これが本物の恐怖というものなのか。
「『ニベーディム・プラヤ』」
ラソラがそう言うと、目の前のスライムが細胞ごと破壊されたかのように溶けていった。
「私ラソラ! あなたは?」
さっきの暴言はどこへいったのか、もうケロッとしている。
「(こいつが1番の化け物なのか? まずは様子見? いや、観察して即座に逃げ出そう。その確率は――)」
スレイは考えていたが、攻撃されたくないのか、一応反応することにした。
「俺はスレイだ」
「ねぇスレイ。一緒にギルド行こうよ!私、一人じゃ寂しくて。――だめ?」
ラソラはすごい上目遣いで聞いてくる。
「いやだ。お前みたいなお調子者と一緒にいると腕が狂う」
「えぇ! いいじゃん! ね?」
スレイは聞こえないふりをして、先に進んでいった。
「沈黙ってことは、いいってことだね! やったぁ! 初めての仲間だぁ!」
ラソラはなぜだか一人で勘違いしている。
「ふんふふーん。仲間だぁ! これからよろしくね!」
「ラソラ、だっけか? ついてくるなよ。俺の計画が狂う」
「今からどこ行くのー? 私さ、ギルドに行きたいんだけど」
ラソラは、まったく人の話を聞いていない。それどころか、自分で言ったことすらも覚えていないようだ。
「勝手にしろ」
「じゃあ、私が決めていいってことだもんね! もちろんギルドに行くよ! 一緒にね!」
ラソラはスレイと共にギルドへと向かうことになった。そのとき、スレイが顔を引きつらせていたのをラソラは知らない。




