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94. 決勝戦


「先鋒、前へ。」


部員の人が今まで以上に真剣な顔で足を動かす。


「頑張れ!」


「お前ならいける。」


「自分を信じろ。」


「逃げるなよ。」


最後のレオの発言を聞き、部長が少し顔をレオの方に向けた。


みんな緊張しているな。

いつも通りの事しか出来ないのに。

まあ、俺も人のことは言えない。

魔物との戦闘で緊張した場面は何回かある。

そう考えると、素直に頑張ってほしいと思えてくるな。


「始め!」


ダッ!


両者同時に攻める。


キィィ

キィィ


部員が一線流で攻めるが、相手は風流の技を使って、

見事に受け流す。


そう言えば、俺のチームは俺以外みんな一線流だ。

そして一線流が主流みたいだし、あまり普及していない風流とは戦い慣れていないんじゃないか?

逆に相手は一線流だらけの中で練習しているはずだから、戦い慣れているだろう。

つまり不利だな。


「がー!!」


キィィ

トン


「え?」


部員は渾身の速度で攻撃を仕掛けたが、それすらも受け流され、首に剣を当てられた。


「「「わー!!!」」」


観客の歓声がうるさい。

みんなはこれで集中出来るのだろうか。


しかし、先鋒の人が先鋒の人に負けたことは一度もなかった。

困惑するのも無理はない。

...俺は部員の名前すらも覚えていないのか。

でも、どうせ覚えられないな。


「次鋒、前へ。」


さっきの出来事で一層緊張した次鋒が歩み出す。


「すまねえ。」


「大丈夫だ。俺が取り返す。」


「「頑張れー!」」


次鋒の人、カッコいいな。

俺もそういう事を言ってみたい。

リリに言おうかな。


その後、ほとんど同じような展開で次鋒が負けた。


おいおい!

先鋒との試合を見ていなかったのか?

だとしたら緊張し過ぎだ。


「中堅、前へ。」


中堅はいつも通りの表情で歩き出す。


今、女の客が異様に多い。

それもそのはず、敵チームがイケメン揃いなんだ。

なんか、俺達が悪者みたいでムカつくな。


「始め!」


決勝戦だからか、審判の人も元気だ。


始め2人は、拮抗した戦闘をしていたが、後半にかけて相手の体力が落ち、我らが中堅が勝利した。


「「「きゃー!!!」」」


観客が悲鳴を上げている。

これじゃあ、本当に悪者じゃないか。

中堅の人もなんか嬉しくなさそうだ。


「空気にのまれるなー!」


「はい!」


部長のかけ声で、中堅の人も再度、集中できた。

流石は部長だ。


この後、集中できた中堅の人は相手の中堅の人まで倒したが、遂に相手の副大将に負けた。


「「「きゃー!!!!」」」

「「「わー!!!」」」


今大会一番の歓声が上がった。

中堅の人が可哀想だ。


「頑張った!」

「すげーよ!」

「ゆっくり休め。」

「やるやん。」


俺達だけでも安心する言葉を投げかけなければな。

中堅の人は頑張ったんだ。


「はぁ、はぁ、ありがとう。はぁ、体が思うように動かなかった。」


「そうか。あれだけ連続で戦ったんだ。本当に良くやった。」


「部長...」


コイツら、付き合ってないよな?

2人の奥底に、恋心があるように思える。


「レオ、頑張れ。」

「いけるぞ。」

「決めちゃえ。」

「頼んだ。」


「おう。」


レオはニヤニヤしながら中央に向かった。


意外と嬉しいものだな。

みんなからの言葉が結構安心する。


副大将同士の戦いだ。

俺が大将まで倒してやる。

身体強化も使わせてもらうぞ。

俺流拳以外は全て利用する。


「始め!」


ダッ


相手が凄い速度で突っ込んできた。


ギィィ


ガキンッ


レオは見事に受け流し、思いっきり剣を振ったが、

ギリギリで防がれた。


これは...勝てる。

ステラ先生より全然弱い。

当たり前だけど。


速度は凄いが、動きが単調だ。

どこを狙っているのかが分かりやすい。

まあ、複雑な動きをしたら速度は落ちるから、

そんな凄い速度とも言えないが。


ギンッ!


レオは力いっぱい剣を振り、相手を吹っ飛ばした。


これは身体強化を使わなくても勝てるぞ。

使うけど。


ヒュ!!


「!?」


なんだ!?

急に体が動かなくなったぞ。

いや、少しは動ける。


ガキンッ


「くっ。」


相手はお構いなしに攻めてくる。


コイツ、ニヤニヤしている。

なんかやってるな。


ガキキキキキンッ


レオは軽くいなしつつ、周りを見る。


「あっ。」


誰かが風魔法を使ってやがる。

ゴリゴリ不正じゃねえか。

それも結構な人数だ。

俺の身体強化は少しの風魔法じゃ効かないからな。

なんなら、今でも動けるし。


「はぁ、はぁ、はぁ、なんで動けるんだよ。」


「喋っちゃってるじゃん。」


いいのかよ、喋って。

隠す気はないのか?


「おっ。」


風魔法が更に強くなった。

なかなかに動きにくいな。


「!?」


その時、レオはおじさん審判の長い髪の毛がなびいているのに気がついた。


「あははははは!」


この審判、不正を許可しなきゃいけないから髪の毛

めっちゃ暴れてるのに真顔で立っている。

明らかにおかしいだろ。


ビュッ!!!


「くっ!」


風魔法が更に強くなった。

これが最大か?


「!?あははははは!」


審判の人、もうおかしいじゃん。

髪の毛が凄いことになってるけど。

なんでそんなに真顔でいられるんだ。

ほっぺもブルブルしちゃってるし。


「いやほっぺ、あはははは!」


この審判が太っているせいで、見るも無残な姿になっている。

一旦真顔をやめてほしい。


「ぐっ!」


「あはははは!!」


相手の人、風魔法が強すぎて近づけてない。

何してるんだよ。

観客からはどういう試合に見えているのだろう。

目茶苦茶じゃねえか。


「あははは!お腹痛い!中断、中断だ!あははは!」


「ぐぁぁぁぁ!」


トン


レオがお腹にダメージを受けている隙をついて、相手が剣をなんとか当てた。


「それまで!」


「いや、え?」


剣で触っただけじゃないか。

こんな速度では斬れないぞ!?

こんなんでいいのかよ。


闇の深い大会だな。


レオは仲間の所へ戻った。


「レオ、良くやった。」

「あれはおかしいな。」

「絶対に風魔法使ってるぞ。」

「審判がおかしかったもん。」


「ああ、絶対そうだ。」


やっぱり気づかれているじゃないか。

観客は気づいてないっぽいけど。

なんで気づかないんだ?

審判の顔と髪が明らかに異質だっただろ。


「このままでは俺も勝てない。」


部長が下を向いて話す。


「もう手段は1つしかないんだ。」


部員の人は興味深そうに部長の方を向き、話を聞く。


「俺達もやるぞ、風魔法。」


「「「え?」」」


そんな事していいのか?

こっちも不正をするのか。

まあ、勝つにはしょうがないよな。

風魔法を使っている人を裏で止めてもいいと思うけど。 


「この中で風魔法が使える人は?」


「俺、使えます。」


「俺も。」


「2人か...なんとかなるだろう。」


ルベルの生徒は基本優秀だ。

2人いたら、最低限の抵抗はできるかも知れん。

こういう時俺は役に立たないんだよな。

結局、1勝もしてないし。

笑ってたら終わった。

酷い試合だ。


「あの〜、早くしてくれませんかね?」


「わっ!?」


審判が近くに来ていた。

びっくりさせやがって。


「もう少しだけ待ってください。」


部長が、人の良さそうな表情をしてお願いする。


「もうっ!少しだけだよ?」


なんなんだ、この審判。

不正を黙認してるくせに善人を演じやがって。


「お前ら、バレないように軽く広がって、相手に

風魔法を放ってくれ。」


「「はい!」」


「ルベル学校の誇りを守るぞ!」


「「はい!」」


これが...誇り?






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