エピローグ 叶う願い
よろしくお願いいたします。
僕は部屋の隅に漂い自分を見ている
僕の手を握り泣き続けるユッタ
僕から離れた場所で胸にナイフを突き立てて横たわる妹
ドアから入ってくる聖女
僕は死んだんだな・・・
聖女は妹を見て僕の傍に跪くとユッタに声をかける
聖女は立ち上がり中に居る人々に外に出るように告げている
僕は死んだんだな・・・
僕は姉の言葉で救われた
だが妹を救えなかった
ユッタは僕の気持ちを理解してくれただろうか?
ユッタは僕の希望を叶えてくれるだろうか?
僕はユッタに幸せになってほしい
ユッタの幸せこそが僕の望みだ
ユッタ。本当に、ありがとう
そして僕は姉を思う
姉さん
僕の言葉でユッタは救われたと思いますか?
姉さん
僕の生涯は誰かの救いになったのでしょうか?
今更ながら姉の献身の偉大さを思う
僕は目を覚ます
周囲を見ると一面の新雪に包まれた広場と遠くに見える夕日
あの日見た景色
ユッタに愛を伝え、一生忘れないと誓った景色
本当に美しい
そして静寂の遥か彼方から声が響く、と同時に景色が消え白い壁に囲まれる
そうか、まだ約束した期限を迎えていないんだな
僕はやり直すことが出来るんだ
そう、やり直すことが出来る
でも何をやり直すんだ?
ユッタのいない世界で姉のいない世界で何をやり直すんだ?
それは僕の願いだろうか?
今の僕の願いは過去の僕の願いとは違う
なら僕は次の人生で何を求めればよいんだろう?
声が響いてくる
「強欲に目覚めし迷える子羊よ」
「約束は果たそう」
「望む舞台で望む舞台装置と過ごしたまえ」
その言葉を最後に周囲は静寂に包まれる
白い壁からは光が消え暗闇が訪れる
どうやら僕の願いは叶えられるようだ
姉は生き返るのだろうか?
ユッタは元気だろうか?
妹が死なない世界だろうか?
でも、分からない
僕は、何を願い、何を叶えてもらったんだろうか?
お読みいただきありがとうございました。
第四章完結 ~第一部完結~
作者より感謝に変えて
何度も悩み、書き換えた作品の一つの区切りが迎えられ感無量です
ひとえに無名の新人の作品をお読み頂いた読者の皆様のおかげです
ここに感謝の気持ちを表します。本当にありがとうございました!
令和8年8月吉日
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