呪いの村⑦
1週間後。
同じ時間、同じ場所で彼はこの前のように微笑みながら大山を待っていた。
「……やあ。」
「……。」
2人は場所を移動して、公園のベンチに座った。
「はい。コーヒー。」
鬼門院蓮が、先程自動販売機で買っていた缶コーヒーを渡す。
「……ブラックかよ。」
「んー?まだまだお子様だねぇ。」
「うっせ。」
「…………で?どうする?僕を殺すのかな?」
鬼門院蓮は大山を見つめた。
大山はコーヒーを一口すする。
「……にっが、、、、貴方ももう分かっているんでしょ?殺すなら、とっくにやってます。上には鬼門院蓮は見つけられなかった、って報告しておきますよ。」
鬼門院蓮は大山を見てふふっ、と笑った。
「……そっか。」
この1週間、大山は再び、ありとあらゆる情報網を使い、様々な妖魔師を調べあげた。もちろん、鬼門院蓮についても生い立ちから調べた。
妖魔師の大半は平凡な生活を送っていて、妖怪と契約をするのは基本、護衛のためらしい。
鬼門院蓮が悪事を働いたという記録、噂も全くみつからなかった。
「まあ、僕が君に言いたかったのは、決めつけは良くないってことだよ。
妖魔師だからって全員悪い奴だと思い込んではいけない。……逆もまた然りだけどね。陰陽師の上の人達が君に暗殺命令を出したんだろう?自分達は手を汚さないで。」
「そうですね。なんか……俺、誰かを殺める前に、貴方と出会えてよかったです。」
それを聞くと、鬼門院蓮は大山の頭を優しく撫でた。
「はは、僕、君のこと気に入ったよ。……こんなド田舎でもいいなら、また遊びにおいで。」
大山は照れたように、笑った。
「……うっす。」
「……と、まあ、こんな感じで、君のお父さんとうち解けたわけだ。」
「……そうなんですね。」
「蓮とは歳が若干離れていたけど、かなり馬があってね、その後も月に1回会ってたよ。…………そして、最後に蓮に会ったのは、彼が亡くなる3日前だった。」
「……。」
茉莉花は拳をキュッと握った。
「はぁっ…はぁっ……」
大山は待ち合わせした公園まで全速力で走った。
公園にはすでに彼がいた。
「……やあ。覚。」
いつものように、彼は微笑みをうかべている。
「やあ、じゃないでしょ!?貴方、命狙われているんだぞ!」
鬼門院蓮はいたって冷静だった。
「……うん。わかっているよ。娘が新聞に載って、僕の居場所がバレてしまったかもしれない。」
大山はくしゃくしゃと頭をかく。
「…………とりあえず、陰陽師の上層部には、俺が蓮を殺すと伝えた。…だから、しばらくは狙われないと思うけど…。」
「いや、僕は数日のうちに死ぬかもしれない。」
鬼門院蓮ははっきりとそう言った。
「……!」
「僕は鬼門院を裏切り、抜けた人間だ。そのうち、鬼門院の誰かから殺られるだろうね。」
「そんな……!」
大山は膝から崩れ落ちる。
そんな大山の肩に鬼門院蓮はポンと手を置いた。
「だからね、大切な僕の友人に、託したい事がある。」
「……。」
大山はこくり、と頷いた。
「…………僕の娘、茉莉花のことだ。」




