妖怪の住むマンション⑧
ナギの契約も終わり、私とナギはマンションの前のちょっとした段差に座り込む。辺りはすっかり暗くなり、シーンとしている。
ハクと猫太郎には、マンションにいる数多の妖怪たちを処理しに行ってもらった。帰ってくるにはしばらく時間がかかるだろう。
「……なんか、僕、茉莉花ちゃんのこと誤解してたよ。」
ナギがボソリと言う。
「えーと、どういう誤解?」
「前はすごく冷たい印象があったんだよな〜。今考えてみると、それって陰の気が強いせいではあったんだろうけど。」
「ふーん。じゃあ、今の印象は?」
少しだけ、緊張する。
「……意外とお節介焼きだよね!僕もあいつらも今日は茉莉花ちゃんに助けられたからね〜」
「お節介焼きって……。もっと言い方あるじゃん!?優しいとかさー。」
ナギは、ハハっ、と笑い私を見る。
「それに、頼もしいんだよね。マンションにも恐れることなく入っていったし、指示も的確だったし。」
そんな言葉生まれて初めて言われたんだけど。
慣れない褒め言葉に完全に照れてしまう。
「いやぁ、ほんと、別に私は大したことないんだって。結局今日だって、妖魔師の2人逃がしちゃったし、3人も被害にあった後に助けたわけだし。」
チャラ男は身動きとれないようにしてから、置いていくべきだったなぁ。
3人曰く、汗びっしょりの姿でマンションから走り去っていったらしい。
「…………あの妖魔師たちにしろ、茉莉花ちゃんが話してた八岐大蛇にしろ、ちょっと不穏だよね。もし、大パニックみたいなことが起きたら茉莉花ちゃんはどうする?」
大パニックって、すごい大まかだなぁ。
「うーん。まあ、赤の他人助けててもキリないし、自分の持ってる力全部使って、自分を守るかな。死にたくないし。」
「ぷっ、…………あははははは!」
ナギが笑いだす。
「なんだよー!人って結局自分が1番可愛いんだよ。なんなら自己犠牲できる人が変人なんだからね!?すごいとは思うけど。」
「あははは、……いや、茉莉花ちゃんらしいよね。そういう、素直に思ってること言いきっちゃうとこ。」
「それってー、褒めてんの?」
悪口をやんわり言われてる気分なんだけど。
「うん!………………茉莉花ちゃん、……僕さ、茉莉花ちゃんのこと結構…」
「生きてるかー!!!茉莉花ちゃんー!」
突然、みやびの声が聞こえる。なんか、めっちゃ懐かしい感じだなあ。
「はーい。元気でーす。」
みやびは私の姿を見つけ、こっちへ駆け寄ってくる。
「ごめんなぁ、遅くなって。ケガはない?」
「うん。3人も無事(?)救出したし。」
「はぁ、面倒をかけさせる奴だ。まったく。」
うわぁー。月城も来たよ。相変わらず毒舌。
あ、あと潤もいる。
みやびはナギの存在に気づく。
「!……確かー、藤崎くん、よなぁ?」
「ナギ、でいいよ!」
「じゃあ、ナギ、なんでここに?」
「それはー……いろいろとあって……。」
私とナギは事の顛末を3人の陰陽師に説明した。
………………………………
「………………つまり、お前、妖魔師を増やしたんだな!?このアホ!」
やっぱり月城に怒られたよ。
「スミマセン。」
私とナギで謝る。
みやびは月城をなだめる。
「まあまあ、ええやん!そんなことより、妖魔師2人についての情報が得られたのは、大きな収穫や!ありがとな。」
おお、みやびが天使に見えてきたぞ……。
「うん。じゃ、私は帰るね。夜ご飯作んなきゃ。」
「OK!うちらは、このマンションを調査して帰るわ。また明日な〜。」
「ばいばーい。…………あ、そういえば。」
私はナギの方を振り返る。
「ナギ、さっき何か言いかけてたよね?」
すると、ナギは困ったような表情で頭をかいた。
「あー……。別に大したことじゃないから、また今度言うね!……そうだ!家までおくるよ、暗いし。」
「……俺がおくる。」
さっきまで静かだった潤が急にしゃべりだした。
「でも……調査があるんでしょ?陰陽師の皆さんは。」
ナギが貼り付けたような笑顔で潤を見る。
「あ!そういえば、潤は茉莉花ちゃんと同じマンションやもんな!調査はウチらに任せて、おくってあげて!」
みやびはニヤニヤ笑い、わざとらしく言った。
そんなに私、か弱く見えるか?
「もー。心配性だなぁ。このマンションの敷地を出たらすぐに商店街あるし、大丈夫だって。なんかあってもハク呼ぶし。じゃ、お疲れ様ー。」
そう言って私はそそくさとマンションの敷地から立ち去った。なんかよくわからないけど変な争い起こりそうな雰囲気だったし。
……茉莉花が立ち去った後、みやびはがっくりとうなだれる。
「あんな鈍感おるか……?これ、相当苦労するで。」
ナギはうんうんと頷く。
「そうだよね、彼女にはストレートに接した方がいいのかも。」
みやびは目を丸くする。
「っ……!ナギ、茉莉花ちゃんのこと好きなん!?」
「うん。」
ナギは恥じらうことなく認める。
そして、潤の方を見る。
「…………陽道君は?」
「…………いや、、、」
潤は目を泳がせる。
「そう。……僕も帰ろっかな。明日も学校だし。じゃーね!」
そう言ってナギもさっさと帰ってしまった。
「百寺〜、潤〜、調査行くぞー。」
マンションの入口で月城が呼んでいる。
「ああ。」
潤は一瞬、ナギの後ろ姿を見たあと、月城の方へと向かった。
こんにちは、香織です。
投稿20話目and妖怪の住むマンションの章が完結して、キリがいいので後書きを書いてみました。
この作品は用語とかいろいろあって、読みにくいところも多いと思います(汗)
いつか、キャラクターと用語をまとめた番外編も出したいですね!
ちなみに、筆者は一切陰陽道とか知りません。そして、みやびの関西弁も適当です。読んでいて、なんじゃこりゃ、と思う方もいらっしゃるとは思いますが、そこは暖かい目で見ていただきたいです(笑)
投稿ペースは筆者が暇な時は上がり、忙しい時は下がると思います。
最後になりますが、ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございます!これからも頑張りますので、もしよろしければブックマーク、評価等よろしくお願いします!




