第七話 首脳会議2
「成る程、同盟国としては頼りない限りというわけですか。しかし具体的な方法というのは」
「この情報は我々と極一部の高官しか知らない。よってまだ決まったわけではないのだけど、考えられる方法としては大まかに二つ、外交筋から抗戦派の支援か援軍を送り込んで戦闘状態を引き返せないところまで持っていくかだね」
穏便にいくなら外交。ガイウスがどこまでパイプを持っているか知らないが、恐らく金銭的な援助が主だろう。つまり票を金で買い取る、買収というやつだ。だがこの方法は他人頼みのところが大きく確実性に欠ける。
一方で援軍を送る方法ならセラムにも多少予測はつく。例えば国境付近で軍隊を動かし戦闘状態にもつれ込んだままノワール共和国の統治地域に入る、勝手に援軍を送ってグラーフ王国を牽制する、はたまたスパイを送り込んで国境地帯でお互いの領地に攻撃を撃ちこむ等々。
とはいえやり方次第では外交感情が悪化し逆効果になりかねない。政治的な判断はセラムでは難しい。
「やはりここはリカルド公爵に行ってもらうのがいいと思います」
アドルフォが言う。
「早急に手を打たねばならん以上あちらの国の人間だけに頼るのは心配です。しかしながら外交が絡む問題に我々軍人が取り組むのは少々荷が勝ちます。それらの平衡感覚が優れているリカルド公爵こそが適任かと」
「うーん、宰相という立場からするとあまり事を荒らげてほしくはないんだけどねえ。けれど外交だけで解決させる自信がない事も確か」
「私ですか。うむむむむ……」
三人が眉間に皺を寄せる。こればかりはセラムも関わりたくないというのが正直な気持ちだ。
「セラムはどう思う?」
「!」
黙って聞いていたアルテアが唐突にセラムに振ってきた。セラムは不意を突かれビクンと体を震わす。
「ぼ、僕はアドルフォ大将の命令に従います。軍を動かすなら方法や編成の献策は出来ますが、国の方策に関わるのは一少将の身には分が過ぎます」
「私はセラム個人としての意見を聞いているのよ」
「………リカルド公爵に援軍……と称した何かを連れて行ってもらうのが良いと思います」
「そう。この件に関してはリカルド公爵に一任します。方法は任せますがこの情報は今知っている者以外には漏らさないように」
「はっ」
セラムは内心自分が直接関わらないでいい事に安堵した。同時にこうも思う。これだけならば自分が呼び出される必要はないんじゃないか、と。
そしてその不安は次の報告によって的中するのである。
予想の遥か斜め上に。




