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宇宙船は俺の楽園~百年の眠りから目覚めた、孤独な億万長者~  作者: まいぷろ
第6章:宇宙要塞計画の始動前夜

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29.宇宙要塞の提案

リリィに導かれ、2人が足を踏み入れたのは、プロトコル・ゼロと呼ばれる広大な倉庫だった。


そこは、さまざまな設計図が積み重ねられ、モジュールが所狭しと並べられた、混沌とした空間だった。


まず、3人は商談エリアの端にある1つのテーブルについた。


リノベーションの話に入る前に、リリィはある提案を切り出した。

「佐々木さん、リベラさん。ここで一度アークの目標を確認しませんか? 」


佐々木とリベラは、リリィの真剣な眼差しに注目した。

「アークは、通常では考えられないほどの莫大な資源を持っています。この状態で生活環境の改善だけで考えるのは、アンバランスかと思うんです。当初のリノベーション規模を遥かに超える目標も立てるべきではないでしょうか」


リリィは、今後のビジョンを提示した。

「アークのリノベーションは二本立てで進めてはどうでしょう。一つは、佐々木さんが望んでいる生活の快適化、つまり居住環境の徹底的な向上です。そしてもう一つは、宇宙船を越えた存在、『宇宙要塞』を目指すというのはどうでしょう。鉄壁の城に築いてこそ、快適な空間は生まれます」


リリィのスケールの大きな提案に、リベラが最初に反応した。

「リリィさん。素晴らしいコンセプトです。佐々木様。宇宙要塞というコンセプトは、アークに必要な防御力と、私が優先的に考えていた兵器の強化という観点から見ても、合致しています。私もリリィさんの提案に賛同します」


リベラは、さらに追加提案を行った。

「しかし、私からは、防御と攻撃システムの強化を専門的に検討することを提案します。つまり、リノベーションは三本立てとすべきです」


佐々木は力強く頷いた。

「では、そのコンセプトで進めましょう!」


リベラは、それぞれの提案に担当を割り振った。

「宇宙要塞化は、発案者であるリリィさん。快適な居住空間は、生活の質を追求する佐々木様。そして、要塞の防御・攻撃システムは、私が主体となり、検討を進めましょう」


リリィは要塞化における設計図の具体的な選定方法を提案した。

「このプロトコル・ゼロには、価値ある設計図がたくさんありますが、私たちが1番に探すべきは、過去の大戦で何度も敵艦の攻撃を跳ね返し、難攻不落の代名詞となったような要塞の設計図です。例えば、『アヴァロン』のような要塞の設計図を集め、アークのリノベーションの基盤にしてはどうでしょう!」


三人は興奮を胸に、不落の要塞を築き、その内部を最高の居住空間にするという壮大な夢に向けて、具体的なステップへと進み始めた。

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