占い師の記憶⑤
おじさんだれ?
ボクを知ってるの?
何度繰り返したか分からない。
何も辛いことも悲しいことも苦しいこともない全く同じ人生が何度も続いて、思考すら億劫になってしまったんだ。
あれ?そうだっけ?
くり返し?
何だっけ?
お願いだ助けてくれ。もう精神を保っていられないんだ。
このままじゃボクの心が消えてしまう。
何言ってるんだろう、ぼく。
よく分からないなあ。兄さんなら分かるかな?
助けて、助けて、ボクが悪かった。
消えるのは嫌だ、怖い、そんなの望まない!
このあとね、兄さんとあそぶんだよ。
おじさんもいっしょにかくれんぼする?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
消えたくない!消えたくない!消えたくない!
ボクはボクだ、無知で愚かな子供なんかじゃない!呆けた老人でもない!
もう何周したか分からない!
同じ、同じ、全部同じなんだ!何も変わらないんだ!周りが人形に見えるんだ!
ボクが一周目と違う行動をしても、周りは一周目と全く同じ行動を、反応をするんだ!今のボクを見てくれないんだ!
愛せる筈だった人達が、一周目には愛しくて堪らなかった人達が今では皆人形としか思えないんだ!
世界を変えようと繰り返したあの時と違って、今のボクには何を犠牲にしてでも叶えたい願いがない!
ボクには筋書きを決めても、その後にまた変えられる力はなかったんだ!
助けて、助けてくれ!答えてくれ!無視しないでぇ!
おじさん、どうして悲しそうなの?
ぼく、おじさんに何かした?
助けて、グラキエス...。
「漸くだ」
「お前の呪いで、私は記憶を保ったまま、色々なものに転生させられた」
「人間はともかく、動物、虫、植物、魔獣になり...記憶を持ったままでは、それは地獄のような日々だった」
「漸くこの姿に転生し、お前を嘲笑いに来たが...あまりに予想通りの結末だな。以前の気概はどこへいった?お前は初めて会った時から目に狂気を宿していたが、信念を貫くお前の姿に感動し、私は手を貸したんだ。今のお前には、失望した」
「だが、私はお前を救おう」
「何故なら私は、助けを求める者を決して絶望に奪わせない、完璧な人間だからな」
「私には世界を変える力はない。が、お前が転生する度に、私はお前の元を訪れ、お前を連れ出し、お前の世界を広げよう」
「お前は私がお前の指示に従ったと言ったが、私ならば言われずともレックスを救っただろう。何故なら私は完璧だからな」
「この世界にも本当の終わりはある。お前が精霊を消したおかげで、精霊によって調整されていた魔の均衡が崩れつつある」
「近い内にこの世界は消滅する。もう繰り返されることもなくなる」
「それまで私はお前に世界を見せてやろう」
「今のお前は人間だ。精霊の時には感じられなかったものを、お前に感じさせてやろう」
「さあ、行くぞ」
蛇足終わり。
拙作を最後まで読んでいただきありがとうございました。




