表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

6話 何か裏がありそうな

「待って待って! 私だから!」

「……華乃子?」

 浴衣姿の女は華乃子の声で話し始めた。

 博物館の中に招き入れると、本当に華乃子だった。

「はい、これお茶……それでどうしたの?」

「実は……喧嘩しちゃって」

 話を聞くと、華乃子は一時間前に父親と『跡継ぎ』の問題で揉めたらしい。

「『さっさと彼氏を見つけろ』だとか『祖父を見習え』だとか……思い出すだけでも嫌になるわ」

「それは大変だね………」

「頭にきたからコレを盗んできたのよ」

 と、華乃子はだいたい75センチくらいの日本刀の鞘を机の上に置いた。

「……かっこいい鞘だね」

「かなで……これ、鞘だけじゃないみたい」

「え?」

「持ってみて」

「じゃあ……」

 高そうなものなので手袋をはめて鞘を持ってみた。

「……!?」

 車のウォーターポンプくらいの重さに感じた。だいたい1キロかな?

 いやいやいや、鞘だけでこの重さはおかしいって。確かに鞘には模様が描かれているが、飾りなんて一切ない。

「ね?」

「ま、まさか」

「そう。刀身もあるみたい」

「完全に銃刀法違反~!!」

 逆にここに来るまでによく見つからなかったよ……!

「ねえ、かなで。その鞘って抜ける?」

「そんなの怖くてできないよっ!」

「一回だけ、お願い」

 ………これが実は呪いの刀で、手に持ったら人を斬りたくなる、なんてことになりませんように!

 私はゆっくりと鞘を引き抜くと、中から銀色に輝く刀身が出てきた。RZ34のルーフフィニッシャーみたいにきれいだった。

 これを持った華乃子は本当に美しいお嬢さん(フェアレディ)になる……。

「嘘……!?」

 そんな華乃子は鞘を引き抜いた私を見て驚いていた。

「私じゃびくともしなかったのに……!」

「………え?」

 私、本当に何かやっちゃったみたいだ。


 一旦鞘を戻し、華乃子へ渡した。

「見てて……んっ!」

 一分経っても鞘は抜けなかった。

「……っはぁ!! ほら、抜けないでしょ?」

「なんでだろう……あ、もしかして『選ばれし人物』じゃないから?」

「そうだとしたら、かなでが『選ばれし人物』になるわよ?」

 そういうのって同じ家系の人しか……みたいな感じじゃなかったっけ?

「……なんか面倒そう。誰かに追いかけられたりしそうで怖い」

コンコンコン。

「すみません」

 玄関から男の声がした。聞いたことある声……C12形の時に聞いたような。

「まさか、透明……かなで、上手くはぐらかして」

「えっ!?」

 そう言うと華乃子は階段を駆け上った。

「誰かいませんか?」

「は、は~い」

 ドアを開けて大丈夫かな……。『ドアを開けなさい』とか言われる前に開けてしまおうか。

 恐る恐る開けると、あの時出会った高本さんだった。でも、若干目つきが怖い。

「ああ、あなたでしたか。ここにお嬢様……浴衣姿の女性は訪ねてきませんでしたか?」

「いや~、来てないですね」

 私、落ち着いて。こういう時はハードコアを脳内再生させて……。

「ほぉ……」

 高本さんの視線は中にある115系……にかけ立てている刀に向いていた。

 やっちゃった。片づけるのを忘れていた。

「……あとはお嬢様を探すだけですね」

「へ……うわっ」

 なんというか、覇気というかオーラというか、そんな圧がかかってきた。

 私の周りには現実離れした人が多すぎやしない?


 一旦冷静に考えてみよう。私は耳を塞いで目を閉じた。

 高本さんは刀を見て『あとはお嬢様を探すだけ』と言った。華乃子を見つけて従わせ、刀を使わせるのかもしれない。

 もしもそれで華乃子の家族を傷つけるのだとしたら……。

 ……アモアモアモアモ。よし、決めた。


 私は刀に向かって走り、手に取った。そしてさっと鞘を引き抜く。

「……!? 僕はとんでもない勘違いをしていたのですね」

 やっぱり。高本さんは『二ツ宮の血縁者しか使えない』と思っていたのだろう。私だって華乃子に『鞘って抜ける?』と聞かれたときはそう思った。でも、目の前で華乃子がやっても引き抜けないことを知った。

 私はスマホを取り出し、イヤホン端子を差し込んだ。聞くのはもちろんハードコア。

()がなんとかしないと……ね」

 なんでこんなことになったんだろう。ただN700S系のノートの空白を埋めていただけなのに。


「あなた、そんなことをして許されるとでも?」

「そっちの方こそ、物騒なことしようとしてるでしょう?」

「気付かれましたか……そうです。お嬢様に会長と社長を斬ってもらおうとしましたよ。その前にお嬢様が喧嘩して出ていかれましたが」

「……本当に人間?」

「人間ですよ。人の道は踏み外してますがね」

「……」

「さて、こうなったらあなたを屈服させるしかないようですね」

「嫌だと言ったら?」

「もちろん、心を折ります」


作者「何で……? 何でこの流れになった( ゜Д ゜)?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ