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新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!  作者: 椎名 富比路
第八章 敵は魔物生態系最強 ドラゴン

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第69話 幼女、竜退治

『アトキン、あれやべーな!』


『先生、ムチャしないでくださいね!』


 懲りもせず、またカニエが二台目のドローンを飛ばしてきた。メフティのゴーレムもいっしょである。


「ふたりとも、それ以上近づいたらアカン。来るで!」

 

 大穴から、影が這い上がってきた。生き物というが、テネブライの思念が生き物の形を取っている。


「なんやあれは? あれといっても、どこにおるんや?」


 眼の前にいるはずなのに、大きすぎて存在が捉えきれなかった。

   

【ドラゴン】という、ファンタジックな生命体ではない。【竜】といった、概念的な不気味さを感じさせる。

 

 顔や体型を、どう描写していいものやら。

「ヤマタノオロチの正体は、溶岩でした」という説があるが、それが一番近いかも。


 全体的に赤黒く、個体なのかどうかもわからない。あれが魔物なのかさえ、掴めなかった。


「脳が、存在を認識してくれへんぞ。アイツを見てても」

 

 ゴースト系のような、おぼろげさではない。気配自体はハッキリしているのに、目が実体を捉えるのを拒否する。

 

 伝承に出てくる魔物とか、不思議存在というより、災害と描写すべきだと思う。


「ゾクゾクしてきましたよ、アトキン」


 クゥハも、久々の大物に身を震わせていた。


「ああいうのを、人は【神様】っていうんやろうな。たしかに人間では、太刀打ちできんわ」


 これが、テネブライの本気か。


 ようやく、テネブライの魔物どもがなにと戦ってきたのか、わかった気がした。

 テネブライが、外界とのコンタクトを避けていたのかさえも。

 

 コイツを、抑え込むためだったのだと。


 

 コミュニケーションが、一切取れなさそうであるが……。


「いちかばちかや。【邪神コンタクト】!」


 ダメ元で話し合いを試みようと、魔力電波を発してみた。

 口がないとか、思念波で会話する魔物もいるため、こういうスキルも取ってみたのである。


「さあ来いや、災害。どんなクソスレで煽られても、こっちもクソリプで返したる。ガールズ掲示板を一夜で封鎖させた、ウチの実力をナメんなよ~」


 しかし、相手は秒で拒絶。というか、ただのノイズとしか捉えていない気がする。


「門前払いかいっ! ATフィールドが分厚すぎるんちゃうけっ!?」


「アトキンって、たまに意味がわからないワードが飛んできますね」


「ほっとけや」


 

 

 ボオオオオオオオ! っと、災害が吠えた。



 

 咆哮というより、ノイズに近い。ASMR中にマイクの音量に気づかず、フル音量で吹き出し笑いが入っちゃったみたいな。


 久々に見た。こんな理性のないラスボスは。


「アトキン、これはえげつないですね。ウチの母より強い敵を、ワタシは初めて見た気がします」


「たしかに、相手にしたらアカンタイプや」


 天狗(イーストエルフ)が、コイツを封印していたのが、うなずける。


「……アトキン。お先に相手をさせてもらって、いいですか?」


 クゥハが、剣を振り回す。

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