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新大陸を開拓するため、幼女型モンスターに魂を転送した魔女は、後に邪神と崇められる(自力で幼女になりたかっただけやのに!  作者: 椎名 富比路
第四章 幼女、ドワーフと荒野を目指す(ちびっこ同士やな!

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第28話 幼女、遺跡のボス戦

『アトキン、無事か?』


 メフティの操っているゴーレムから、ベヤムの声がした。

 

「おおお、おおきにな、ベヤム。そっちはどないや?」


『まったく問題はない。なあ、オレならそこの案内ができると思うんだ』


 ゴーレムの操作はメフティに頼んで、ベヤムがゴーレムの目になる作戦はどうかと提案してくる。


「ええな、それ。カニエ。一旦探索を打ち切るで。簡易的にでええから、ベヤムの目をゴーレムに追加や」


 ウチもこちらで、遺跡のアイアンゴーレムの目を奪う。


「ほんで、こうやってメフティのゴーレムと繋げて、っと」


 目が四個あるゴーレムが完成した。アイアンゴーレムのパーツも少し分けてもらい、ボディも強化してある。


『さすがアトキン先生ですね。即席で、そこまでパワーアップさせるなんて』


「おせじはええから、行くで」


 ウチは、遺跡の奥へ進むことに。


「ベヤム。壁画の解読を頼むわ」


『任せろ……順路は、コチラで合ってる』


 ゴーレムの後ろを、ウチらはついていく。


 見れば見るほど、近代的な建築物だ。この世界の文明とは、発想がかけ離れている。


「テネブライにも、電気や鉄鋼の文化があるとはねえ」


『この付近にはありませんが、ドワーフ産の列車があるくらいですから』


 たしかに。

 この世界には、列車もあるんだった。


 ウチは飛空艇も作ったし、自分だけならホウキで飛ぶ。

 そのため、列車なんて利用しなかったが。

 

「なんでドワーフは、こんな世界を作ったんや?」


『壁画の文章によると、瘴気避けのためだ』


「地下にあなぐらを作って過ごせば、テネブライの瘴気を回避して過ごせるのでは」と、ドワーフたちは考えたらしい。


 どこの奴らも、考えることは一緒だ。


 ウチにも、その発想はあった。森のダンジョンに入って、それは間違いだと気づく。

 

 瘴気は、大陸全土に広がっているのだ、地下や地上を問わず。

 

 ドワーフも、同じ発想と絶望に行き着いた。結果、悪魔に魂を売って、テネブライに身体を適合させたと。


『ここにいるゴーレムは、ダークドワーフと戦っていたドワーフ種らしいな』


 ドワーフの中で、衝突があったらしい。悪魔と契約してでも、テネブライへ積極的に攻め込もうとする者、おとなしくあきらめる者、そして、自力で制圧を試みる者が。


「同じドワーフで、対立があってんな?」


『ああ。なにが悲しくて、魔族なんかと手を組む必要があるのかと、この壁画には書かれている。もっと他にいい方法があるはずだと』


 ベヤムは壁画の文章を読みながら、ときどきため息をついている。

 

 ウチは古のドワーフたちを、弱虫と罵ることはできない。ウチだって、同じように肉体を魔物と融合させたのだから。


 やり方に違いはあれど、テネブライに住みたいという情熱だけは同じである。


 ダークドワーフもウチと同じように、テネブライの生物と融合すれば……。


 いや、それは酷というものだ。


 ウチがその考えに行き着いたのは、転生の経験があったから。

 魔族となったドワーフには、転生の概念自体がなかろう。


 単に、ウチは運がよかったのだ。魔族になる以外に、テネブライに入る方法があったから。


 でなければ……こんな姿にならなくて済んだだろう。


「あれが、ボスやねんな? ベヤム」


『そうだ。あれはドワーフの、変わり果てた姿だ』


 遺跡の地下深くに鎮座していたのは、二メートルもある巨人だった。機械仕掛けで、猫背のドワーフである。


 ドワーフが、ウチに気づいて起き上がった。そばに置いてある斧を手にして、振り回す。


「避けて、アトキン!」

 

 クゥハが前に出る。剣で、敵の斧を防いだ。


『パンチ!』


 メフティが、飛びかかって拳を振り下ろす。


 だがドワーフは、クゥハを盾にして攻撃させないようにした。


「回し蹴りにシフトしてください!」


『わかった。そりゃ!』


 クゥハの肩を踏み台にして、メフティがドワーフに回し蹴りを浴びせる。


 ドワーフの頭だった部分の、皮がめくれた。


 頭部には、ドワーフの脳らしき個体が、魔石に守られながら培養液に浸かっている。

 

「瘴気を動力にするってところまでは、たどり着いていたんやな」


 だが、そこで力尽きたと。テネブライの瘴気に汚染されて、死を迎えてしまった。

 ドワーフといった、生命的な感じはしない。ヨロイを身にまとった、ゴツゴツしたロボットと形容したほうがいいだろう。

 ここにいるのは、ドワーフの姿をしたアンデッドである。


「二人とも、手を出さんとってや」


「よろしいのですか、アトキン?」


「コイツは、ウチ一人で倒す」


 クゥハとメフティには、どいてもらう。


「大丈夫ですか、アトキン? なんだか、感傷的な表情になっていますが?」

  

「コイツは、ウチや……」


 テネブライに棲む魔族に魂を売らず、いかにテネブライで生きるか。模索の先にあったのが、この異形だったのだろう。

 

 同じような考えを持ったウチだから、彼がいかにテネブライで生きようとしていたのかがわかる。

 

「かなり強いですよ。魔族のちからを得ていないとは言え、強さはダークエルフに匹敵するでしょう」


「あんたと同じくらいは、強いってわけやな?」


 なら、ちょうどいい。


 コイツはウチ一人で、勝たなければならん。でなければ、過去の自分を超えられない。

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